1980年代の前半に、松代地区で子供に剣道を習わせたいと思ったお母さん達が、相談の上、近隣の町で道場を開いておられる先生にお願いして、手代木中学校まで教えに来ていただく事になったのが、松代剣志会の始まりと聞いています。
発足したものの先生はお忙しく、代理で工業技術院(現:産総研)の剣道部の方が教えたりしていたようですが、結局筑波大学の剣道部の学生お二人に先生をお願いすることになりました。細かいことはともかく、楽しく剣道やろうという先生と、厳しく練習をしようという先生のコンビはとても良く、トータルの雰囲気として、子供達はのびのびと遊んでいました。
卒業後も先生を続けていただいていたのですが、残念なことに後年お忙しくなり、そろそろ次期先生を探さなくてはと考え始めたころ、香田先生に来てもらうことになりました。練習日の変更に伴い、新たに手代木南小学校の体育館も借りることになりました。
香田先生に来て頂くようになってから、松代剣志会は大きく変わりました。香田先生経由で昇段審査登録ができるようになりました。子供と一緒に剣道をすることのみが目的だったお母さんお父さん方も、一つ上の段を目指すという目標を持って、剣道に励むようになりました。子供とは関係なく有段者も入会するようになりました。基本に忠実で、美しい剣道を体現されている香田先生から、直接指導していただけることは、剣道での上達を目指す者にとって、大変すばらしいことです。
また、筑波大剣道部から選りすぐりの学生先生が常時2人派遣されるようになりました。香田先生の勅命を受けているので、歴代のどの先生も皆、気合いの入った指導をしていただけるようになりました。選りすぐりですから、当然主将候補者でもあるわけで、松代剣士会の先生から多くの筑波大剣道部主将を輩出しています。
任期が終わり新学期から新しい先生に替わると、子供たちの学年の変わり目とも重なるので、雰囲気が大きく変わります。指導の上での継続性を保つために、現在は3名体制となりました。2回生の時3回生に付き、3回生で新2回生をリードする体制です。
松代剣志会の最近の最大の話題といえば、やはり香田先生の八段昇段です。日本で一番難しい試験が、剣道の八段審査だそうです。合格を目指して、香田先生も諸先輩のアドバイスを元にいろいろと試行錯誤されたものと思います。種々のプレッシャーに打ち勝って、みごと合格を果たされた先生の精神力と努力に感服しました。奥様もお招きして、ささやかながら盛大にお祝いをしました。
松代剣志会の子供たちはおしなべて、一糸乱れぬ規律ある行動は不得意です。これは昔からの”良い”伝統かもしれません。厳しい練習の中でも、香田先生の優しい語り口で、ホッとする場面があるのは、松代剣志会の自由な雰囲気の源ではないかと思います。
松代剣志会の成り立ち経緯から、長い間会の運営や役員はほとんどお母さん達がやってきました。最近は、子供さんと剣道を始められるのも、お父さんが増えてきました。今後も世の移り変わりと共に松代剣士会も変わってゆくものと思いますが、末永く続いて行くことを願っています。
後書き
この文章は、私がこれまで見聞きし、感じたことを基に書きましたので、事実と異なる部分があるかも知れません。あくまで私の私感ですので、不都合な箇所ありましても、ご容赦下さい。(松代剣志会歴22年目のT夫)