譜面を非公開にした理由

1. はじめに

 この記事は、私が譜面を非公開にするという決断に至った背景と理由について、詳細に説明したものです。このようなことを書くのは気が進まない部分もありますが、誤解や疑問を抱いている方が多いと感じたため、具体的に言及することにします。これから述べる内容は、私個人の経験と考えに基づくものであり、すべての人に同意してもらえるとは限りません。同じような立場にいる譜面作者や、発狂BMSのコミュニティに属している方々にとって、何らかの参考になればと考えています。


2.「モラルに欠ける人」について

 譜面は単なるゲームの要素に留まらず、楽曲のリズムやメロディー、雰囲気を伝える重要な役割を果たしています。すなわち、譜面は楽曲の魅力を引き出すための芸術作品としての側面を持ち、譜面作者の楽曲に対する独自の解釈や工夫が反映されています。 

 したがって、譜面で遊ぶ際には、譜面作者(もちろん作曲者やBGA作者も含めて)への最大限のリスペクトを払い、譜面作者の目的や意図に沿った遊び方をすることが、他人の作った譜面を扱う際に必ず守るべきことだと思います。モラルに欠ける人とは、それらに反する行為や行動を行う人だと考えます。  



3. Stella難易度表について

 少し昔のことですが、発狂難易度表の新規提案の話をします。当時、譜面が発狂難易度表に採用されるかどうかは、IRに賛成か反対かどうかをコメントをし、その賛否の数で決まっていました。現在発狂難易度表に入っている★21 Artificial Rose [INFERNO]を新規提案したのは私ですが、投票期間中に韓国人たちが反対票の集団投票をして、かつ譜面に対する誹謗中傷のコメントを残し難易度表に入れないようにする動きがありました(結果的にギリギリ発狂難易度表に採用されました)。そのコメントをした人の中にStella難易度表の管理人やその取り巻きがいました。

 Stella難易度表の立ち上げ当初、Stella難易度表の管理人より私の差分をパッケージに搭載しても良いかという連絡がありました。★21 Artificial Rose [INFERNO] に対して「普通の知力面白くない」というコメントをLR2IR上でしているので、もちろん拒否することもできました。Stella難易度表は、★21 Artificial Rose [INFERNO] のような「普通の知力」の譜面を集めた表であったので、困惑しました。しかし、今後のBMSコミュニティのことを考えると、許可した方が高難易度譜面を嗜む人たちが楽しめる環境が整うと思ったので、許可をしました。

 Stella難易度表に多くのOther譜面が採用されて以降、私の譜面をプレイするプレイヤーが増え、それに応じて「モラルに欠ける人」も増えました。その結果、配信、TwitterおよびDiscordなどで、譜面に関する誹謗中傷のコメントが散見されました。

 一部のOther譜面の全押し動画を上げている人について、私は良く思っていません。全押しでのクリアは譜面本来の楽しさを損なうものですが、その行為自体については特に気にしていません(ただ、 譜面の楽しさを味わえていないのはもったいないと感じます)。しかし、そのことに関してからかってきたり、わざわざ動画にしてYouTubeなどにアップロードする人は好きではありません。その中に譜面制作者もいますが、距離を置きたいと感じました。 例えば、主に配信やSNSなどで「この譜面は面白くない」と真っ当に発言している人は、無意識に共通の敵を作って仲間意識を生ませたいというのが目的として存在していると思います。少なくとも精神的に成熟している方であれば、たとえ面白くなくてもそういう敵を生むような発言は対人関係を悪化させる可能性があるため、控えるべきだと理解していると思います。論理的ではない意見(根拠がない意見)は基本的に無視すればいいのですが、あまりにも目に余る状況でした。今までは、自分だけで楽しむにはもったいないと思って差分をアップロードしていましたが、他人に何か言われて萎えるのは嫌であり、他人に介入させず、自分で自分を楽しませる時間が大切であると改めて感じました。「難易度表に搭載されるような譜面かどうか」あるいは「他人がプレイして面白い譜面になっているか」など他人の評価は二の次であって、実際に差分を自分自身でプレイして納得したような譜面になっている・面白いと思えるのであれば、私はそれで良いと思っています。

 故意に全押ししなければ、tinnitus [Other] や CYCLONE [Other] などは普通にプレイできる譜面であるので、それらの譜面については修正をする気はないです。譜面を見ていただけるとわかると思いますが、それらの譜面は私自身がプレイしたいと思うような配置をしています。全押しを回避する方法は容易であり、例えば既存のnotesを減らす、あるいは増やせば全押しはできなくなります。もっとこだわりたければ、primitiveな配置およびその置換の選び方を変更すれば全押しを回避することは可能です。しかし、そうすると譜面に偏りが発生します。それが嫌だったので、全押しクリアは承知の上で(故意に全押ししなければクリアできないのを確認した上で)公開しました。ちなみに tinnitus [Other] の修正前の譜面は

http://www.dream-pro.info/~lavalse/LR2IR/search.cgi?mode=ranking&bmsid=224732

http://www.dream-pro.info/~lavalse/LR2IR/search.cgi?mode=ranking&bmsid=224415

であり、5000notesでした。これらの譜面は故意に全押ししなくてもクリアできてしまったので、修正して現在の5656notesになりました。一部の譜面は全押しでクリアできてしまうので、Stella難易度表から削除するべきということについては、Stellaのコミュニティで話し合ってください。

 


4. 譜面制作のPDFについて

 譜面制作には、感性と技術の両方が必要だと思います。感性的な面では、楽曲の感情や表現を引き立てる配置を考え、技術的な面では、地力の向上に直接繋がるような配置・挑戦的なプレイができる配置を考えます。この二つの要素はお互いに補完し合うものであり、どちらか一方だけでは成り立ちません。これらの要素を総合的に見て、普遍的な認識を持って譜面を制作することが大切だと考えています。譜面制作のPDF(私が学生のときにそのPDFは作りました)で記述した内容は、技術的な側面のある方法(群の理論を用いる)を記述したものです。譜面は楽曲の表現方法の一つであるため、曲に対する譜面の解釈方法は無数に存在し、notesの配置方法は一意に定まりません。

 Stella難易度表の管理者が、X(旧Twitter)でバズりを狙って、私が意図しないタイミングでそのPDFを拡散したことには不満を感じています。特に残念だったのは、学問を軽視する姿勢が垣間見えたことです。このPDFで紹介した方法は、大学の1〜2年生程度の知識があれば理解可能です。特に、群作用を知っていれば、より深く理解できる内容です。しかし、群論に関して何も知らないまま、表面的な理解で批判を行う人々を見ると、非常に残念な気持ちになります。学問的な基盤を欠いた意見がまるで正当性を持つかのように広められるのは、極めて無責任であり、知識を深める努力が不足していると感じます。私譜面を批判する際には、まず群論を学び、そしてそれが何を意図しているのかを真摯に考察して欲しく思います。

 PDFで述べた手法は癖譜面と対極にある手法であると判断する人々にも困惑を覚えます。癖譜面とは、楽曲の感情や表現を過度に引き立てるような配置をしている譜面(譜面表現の癖が大きく表れている譜面)のことだと私は考えていて、単に押しにくい配置をしている譜面、癖が付くような配置をしている譜面は癖譜面ではないと考えています(これらは個人差譜面と呼びたいです)。私の譜面をまともにプレイしたことがなく、他の譜面作者と私の譜面とを混同したり、誤った解釈をする人々には、やはり失望せざるを得ません。

 譜面について自動生成できるならそのツールはないのかなどの意見をしている方がいました。プログラムはすでに作ってありますが、現状公開する気はありません。モラルに欠ける人が多い中で、プログラムを公開すればどうなるのかは容易に想像することができます。

 ある韓国人より譜面作成のPDFを英訳するためにTeXファイルを共有して欲しいという趣旨の要望を受けました(要望文の日本語は不自然であり、機械翻訳をしたような文章)が、翻訳するためにソースファイルであるTeXファイルを共有する必要はありません。翻訳したいのであれば、PDFに書かれている文章を個人的に翻訳すれば良いと思います。その方は差分制作者なのですが、譜面制作のPDFの内容を剽窃しようとした可能性が高いと思います。

 譜面制作のPDFで記述した内容は、人に頼らずとも私一人で英語で書こうと思えば書くことはできます。私は(純粋)数学を専門とする大学教員であり、いくつかの(英語で執筆した)査読付き論文が国際雑誌に掲載されています。PDFの内容を非公開にした理由は他にもいくつかありますが、ここでは言及したくありません。



5. 投票・インプレについて

 匿名で某イベントにBMS作品を提出したことがありました。そこで、長年BMSに関わっている方(サーバーを管理している方、新たなBMSEを開発している方)から煽るようなインプレ(喧嘩を売るようなコメント)を受けました。このようなコメントには極めて残念な気持ちになりました。指摘をするときには、例えば、誰かが「57は素数である。」という発言をしたとき、「57は3で割り切れるから素数じゃないよ。」と言えば良い話であり、「57は素数じゃない。小学生でもできるのに情けない。」のように一言付け加えて、特に皆が閲覧できる場で発信するのはどうかと思います(実際は、そもそもの指摘の内容が間違っており、かつ余計な一言が書かれていました)。放置するか通報するか迷いましたが、一応返信はしました。彼はプレゼンテーションの方法(制作した過程の説明)について気に食わなかったみたいです。曲をより良くしようという意図が感じられない攻撃的なコメントについて、若い人がそうした発言をすることには、百歩譲ってまだ理解の余地があります。しかし、長年コミュニティに関わってきた人が、そのような攻撃的な意見を述べたことについて、大いに失望しました。私は海外含め学会発表を何回も経験していますが、プレゼンテーションというのは制作した過程など詳細をすべて説明する必要はなく、むしろシンプルに伝えるのが大事だと思います。

 また、プレイしてみて曲あるいは譜面が良いと感じたBMSについて、そのインプレを見てみたら、マウントをとってくるコメントなどが散見されて、萎えてしまうこともありました。基本的に自分の感性を人に押し付けているだけで、自分が「良くない曲」と思ったら人にも「良くない曲」と押し付ける、人の感性は多種多様なのにそれを押し付けるという、感性の押し売りはやめてほしいです。あなた達の言葉で「良い曲」が「良くない曲」になってしまい、人の潜在意識にそれが「良くない曲」だと刷り込まれてしまいます。

 Stellaの投票のコメントを見ていると(私はStellaに譜面を提案したことも投票したこともないですが)、曲のインプレと同様に感性の押し売りをしている人たちなどがいて、そういう言葉で気持ちが沈んでしまいました。譜面(曲)に対する評価は、音楽的表現や感性的な要素など、主観的な要素が強く関与しているため、定量的な評価指標を用いて評価することは困難です。しかし、感性的な要素が強く含まれる評価において、感性の押し売り(主観的な感性を他人に強制する行為)をすることは、他人に強い不快感を与えます。そのため、マイナスの言葉で表現する際には、自分の感性が個人的であることを認識し、柔らかい言葉で書く必要があります。また、他者の感性や意見を受け入れる柔軟性を持つことも必要だと思います。



6. 情報リテラシーの低い人 

 2016年頃に自作譜面を管理しようと思い、全体公開をしていない個人的な難易度表を作り始めました。しかし、2019年11月ごろに差分のリンクが誰でも閲覧可能な場所に貼られていることに気が付きました(2020年2月に気が付きました。この時期は非常に忙しく、気づくのが遅れてしまいました)。私としては、3節から5節で述べたようなことがあり、第三者に自作譜面をプレイしてもらうことを好ましく思っていなかったため、そのリンクを速やかに削除しました。 ところが、その後、別の人が差分を補完し、それがStella難易度表に提案されました。彼らは自らの行為に悪意はないと主張しています(そのまま悪いとは思わず、放置している人がいるのは極めて残念です)が、未だに某個人難易度表に私が全体公開をしていない差分が搭載されているのは気になります。レアな譜面を持っていることを見せびらかしたいのでしょうか。特に、「なぜ名前を変えてやっているのか」「なぜわざわざ全体公開せずに限界集落のあの掲示板に難易度表があるのか」の理由について考えて欲しかったです。私が考えた背景や意図について、相手に理解してもらえることを期待していたのですが、それが適切に伝わらなかったようです。



7. 最後に

 BMSの同梱譜面について何人か依頼されましたが、曲を送りますと言って未だに曲が送られて来ずそれ以降連絡がない人もいたり、とにかく常識がない人が多すぎるという印象を受けています。そもそも、BMSというゲーム界隈において、最低限の常識を求めるのは間違っていることかもしれません。曲や譜面などに対する他者の感性や意見を尊重する姿勢がない人たちが上手なプレイヤーでも極めて多く、そういう人たちと関わりたくない&私の譜面をプレイして欲しくないため差分を非公開にしました。この非公開という手段は、建設的な方法ではないかもしれませんが、基本的にはコミュニティに対する失望から生じたものです。この手段は、私の譜面を楽しんでくださっている方々にとっては不快感をもたらし、BMS界隈全体に影響を及ぼしているかもしれません。 

 上で述べたような姿勢は、楽曲や譜面を制作する人々の努力や想いを軽視するものであり、その成果を単なるネタや道具として扱っているように思えます。対話や意見交換などの場において感性の押し売りをすることは、意見の相違に対する受容性が低くなり、その結果、コミュニケーションの質が悪くなります。お互いの意見に敬意を払い、相手の意見を聴きながらコミュニケーションを行うことが必要だと思います。そうすることによって、より良い豊かなコミュニティが生まれると思います。もし、そのような豊かなコミュニティが存在するならば、そのコミュニティ内で譜面を公開するかもしれません。そのコミュニティ内における公開が、譜面を楽しんでくださっている方々にとっても、そして自分自身にとっても、有意義なものになると考えています。