第492回関西社会心理学研究会(KSP)は,「感染症から見る社会と個の交差点」をテーマに,この4月に竣工した大阪大学・日本財団感染症センターを会場として開催します.大阪大学の平井啓さんと,同志社大学の山縣芽生さんにご発表いただきます.是非多くの方にご参加いただければ幸いです.研究会への参加は事前申し込み等必要なく,どなたでも歓迎です.懇親会は事前申し込みが必要です.
【日時】2025年5月24日(土)14:00-17:00
【会場】大阪大学吹田キャンパス 大阪大学・日本財団感染症センター7階 共創スペース(アクセス)
※当日13:30-14:30の1時間は建物正面玄関を開放しますので自由にお入りいただけます.それ以外の時間帯はカードキーが必要ですので,メールでご連絡ください.
【発表者】平井啓(大阪大学)・山縣芽生(同志社大学)
【概要】
(平井)健康不安とリスクコミュニケーション
患者・住民と医療者・行政関係者とのすれ違いを「リスクコミュニケーション」の視点から紐解き、感染症や放射線影響に起因する健康不安に影響する認知バイアスや意思決定のメカニズムを解説する。両者は異なる視点・情報処理システム(System1と2)をもとに行動し、不安や誤解が生じやすい。特に放射線に関する不安では、知識や経験の有無、健康不安の高さによって情報の受け止め方が異なるため、ターゲット別の情報発信が重要となる。調査分析を通じ、合理的意思決定を支援するアプローチの有効性について論ずる。
(山縣)新型コロナウイルス感染禍を人々はどう受け止めたのか:4年間の調査から見つめる
新型コロナウイルスの最初の流行から5年が経ち,社会はようやく落ち着きを取り戻しています。いまやコロナ禍は過去の出来事のように思われるかもしれません。しかし,単に「もう終わったこと」として忘れ去るのではなく,当時の社会心理を現在の視点から冷静かつ客観的に振り返ることは,今後のパンデミックや緊急事態への備えとして重要です。私たちの研究グループでは,2020年1月から2024年3月にかけて,感染の脅威に晒された日本社会における人々の行動や心理の変化を明らかにするため,計30回にわたるパネル調査を実施してきました(KSP第475回ではその一部を報告しました+こちらで主要変数の時系列推移や調査概要をご覧いただけます)。本発表では,この長期データをもとに,コロナ禍における差別やリスク認知,記憶などに注目した研究成果を報告します。
【懇親会】研究会終了後に同会場で開催します.会費を実費で頂戴します.ご参加希望の方は下記宛にメールでご連絡ください.
【共催】大阪大学大学院人間科学研究科・大阪大学感染症総合教育研究拠点
【問い合わせ先】三浦麻子(asarin@hus.osaka-u.ac.jp)
※この研究会は,日本学術振興会 課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業「コロナ危機から視る政策形成過程における専門家のあり方」(JPJS00123812864)の補助を受けて開催されます.