KSP460th

第460回KSP(関西社会心理学研究会)のお知らせ


11月のKSP例会を下記のとおり開催いたします。多くの皆様にご参加いただけますよう、お願い申し上げます。

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日時:2018年11月10日(土) 15:00-17:00

場所:関西大学梅田キャンパス705(7階)

発表タイトル:集団を超えた協力:入れ子型社会的ジレンマを用いた検討

発表者 稲葉美里・日本学術振興会/関西大学社会学部(共同研究者 北梶陽子・広島大学ダイバーシティ研究センター)

概要

人間社会の特徴は集団を形成しその中で協力していることである。これまでの社会的ジレンマの研究の多くでは、個人と集団の利益が葛藤する場合に、どのようにして利害対立を解消できるのかが検討されてきた。しかし規模の大きい集団ではより複雑な構造をしていることがあり、その場合には個人と集団の間以外にもジレンマ構造が存在することがある。本研究では、階層的な集団の入れ子構造をもつ集団において(例:国家の中に複数の地方が存在、学部の中に複数の研究室が存在)、ジレンマをどのように解決可能かを検討した。実験には入れ子型社会的ジレンマ(Nested social dilemma)ゲームを用いた。このゲームではそれぞれの個人は、個人、サブグループ、複数のサブグループのメンバーからなるグローバルグループの3つの間に、自身の資源をどのように投資するのかを意思決定する。個人と二つのグループの間にはジレンマ構造が存在し、さらにサブグループとグローバルグループの間にもジレンマ構造が存在する。そのため、特に仕組みが存在しなければ全員が自分自身に投資を行い、共貧状態に陥る。そこで通常の社会的ジレンマ状況で協力率を上昇させる効果を持つ罰制度を条件として設定し、入れ子型の社会的ジレンマにおいても同様に協力率が上昇するのかを検討した。なお複数のレベルの集団および個人に対する投資の分割行動は、定数和制約を持つ変数である。発表では、このような特性を持つデータを分析する手法である組成データ分析についても簡単に紹介する。

研究会終了後、18時頃から梅田周辺で懇親会を行います。参加いただける方は、恐れ入りますが11月3日(土)までに、稲葉(shangrileaf@gmail.com)までご連絡ください。懇親会のみのご参加も歓迎いたします。