Post date: Oct 30, 2016 7:08:27 AM
第438回KSP(関西社会心理学研究会)のお知らせ
11月のKSP例会を下記のとおり開催いたします。
多くの皆様にご参加いただけますよう、お願い申し上げます。
****************************************************************************
【日 時】2016年11月19日(土)14:00~17:00ごろ
【場 所】立命館大学 大阪いばらきキャンパス B棟2F B275教室
※JR「茨木」駅の近くです。
http://www.ritsumei.ac.jp/rs/r2020/campus/oic/access/map.html/
【発表題目】裁判員裁判評議の分析:評議の人数比が評議構造に与える影響
【発表者】若林宏輔(立命館大学・総合心理学部)
【発表概要】
評議は、判決を誤判から保護することを意図する主要な法的予防措置 (Edmond,2011; Goodman-Delahunty & Wakabayashi, 2012) である。裁判員裁判の評議は、市民6名と裁判官3名で構成されており、法務省(2009)はこの評議構成を日本独自の制度として指摘している。しかし、この人数比の決定に法理論的また実証心理学的根拠は示されていない。よってこの制度の妥当性を検証し、制度をより発展させるための法心理学研究が必要である。しかし、実際に模擬裁判を行いデータを得るには多重の問題が横たわっている。
そこで本報告では、評議研究のブレイクスルーとして、テキストマイニングと多変量解析を組み合わせた手法による構造可視化の手法とその結果について報告する。裁判員裁判の人数比とその他の人数比で構成された評議を、同手法で可視化して比較し、市民と専門家の人数比の違いが評議の構造的変化として現れることを示す。これら結果を踏まえ、裁判員裁判評議の妥当性と法と社会心理学研究の関係について考察する。
【発表題目】取調べ録画は冤罪を防ぐのか?:提示方法と撮影フォーカスが及ぼす影響
【発表者】中田友貴(立命館大学大学院・文学研究科/日本学術振興会特別研究員)
【発表概要】
2016年に裁判員裁判対象事件において取調べの録画が義務化されることとなった。これまで取調べ室は密室であり、冤罪の温床などとの批判があったため、取調べの透明化が期待されている。一方で、自白が任意に行われているか判断する際に、取調べの録画の際のフォーカスの影響がすでに米国を中心に報告されている(Lassiter & Irvine, 1986).また日本において採用されている録画および提示手法は同時に2つの映像を用いる手法を採用しており、その影響も明確ではない。
そこで本報告では、取調べ場面におけるカメラフォーカスと提示の際の方法が裁判員に及ぼす影響についての2つの実験について報告する。2つの実験の結果、これまで明らかにされていた撮影フォーカスだけでなく、提示方法に関しても、自白の任意性判断に影響することが示唆された。研究会では、本研究の今後の課題や分析方法についてご意見をいただければと思います。
【懇親会】
立命館大学大阪いばらきキャンパス周辺で、18時ごろから懇親会を開きます。
ご参加いただける方は、3日前までに以下のメールアドレスまでご連絡ください。
どうぞよろしくお願い致します。
【問合せ先】中田友貴 dj.y.nakata@gmail.com
****************************************************************************
今後のKSPの予定です。
12月17日 柳澤 邦昭先生(京都大学)
2017年
1月21日 小川 翔大先生(神戸学院大学)
2月11日 三浦 麻子先生(関西学院大学)・山本 隆博先生(シャープ株式会社)
3月11日 藤島 喜嗣先生(昭和女子大学)・樋口 匡貴先生(上智大学)
4月22日 矢守 克也先生(京都大学防災研究所)