国立天文台、渡部潤一先生は、「木星の閃光をとらえた画像から衝突した天体のサイズが 推定できます。木星を天体の検出器をして利用することで、小天体のサイズ分布に関する情 報を得ることができるでしょう。そうすれば、太陽系が生成されるプロセスの解明にもつながり ます。」と閃光現象を観測することの価値を述べられ、私たちに観測の呼びかけをしてくださ いました。
今回のキャンペーンは木星の閃光現象を検出することを目的としています。この点が従来 の木星観測とは大きく異なります。
従来の木星観測とは、木星面で起きている現象や木星の大気の組成を調べるために、木 星を様々な波長で撮影し、そのデータを解析することが中心でした。例えば、アメリカでは、 ハワイにある IRTF という赤外線撮影のできる望遠鏡で木星を撮影し、大気の内側での温度 分布を調べ木星面の現象を解明しようとしています。或いは、世界各地のアマチュア観測家 は、おもに可視光で木星を撮影し、模様の変化を追跡しています。こうした観測は、目的とす る画像を撮影することが中心となります。
一方、閃光現象を検出するためには、木星面を一定の時間、複数のサイトから監視するこ とが求められます。一か所のサイトだけで観測したのでは、人工衛星のフラッシュのような地 球近傍の現象なのか木星面での現象なのかの区別が難しくなります。そのため、複数のサイ トで監視することが不可欠です。