2010 年 6 月から 8 月にかけて、世界中の天文関係者が驚く出来事がありました。 直径数十メートルの小天体が木星に衝突した瞬間がアマチュア天文家によって撮影されたのです。一回目は2010年6月4日でした。オーストラリアのアンソニー・ウェズリーさんとフィ リピンのクリストファー・ゴさんという二人のアマチュアの惑星観測家が木星面に衝突する天体が発する閃光を撮影したのです。
こうした現象を撮影できることは奇跡だと思っていましたら、 今度は 8 月 21 日の明け方、熊本の立川正之さんら国内で4名のアマチュアが同様の閃光現 象を撮影しました。この前年 2009 年 7 月 20 日には、オーストラリアのアンソニー・ウェズリーさんが、木星に小 天体が衝突した痕跡を発見しています。
続けてこのような現象が検出されたことは、偶然だけではなく、アマチュアが使うカメラの性 能が向上し、動画形式で撮影するために観測の時間が従来よりも長くなっているという変化による副次的な効果という側面も見逃せません。
昨年 11 月に、「木星会議」という国内の木星観測者を集めたフォーラムで、木星の閃光現 象についての意見公開が行われました。国立天文台、渡部潤一先生による科学的な観測価 値の説明、2010 年 8 月の閃光を発見した一人、青木さんによる体験談、そして、電気通信大 学の亀井さんらが開発している閃光検出ツールの説明など様々な角度からの情報交換が行われました。
これが切掛けとなり、各地の天文台の皆様、電気通信大学情報通信工学部の柳澤研究室 のご協力を得て、木星の閃光現象を継続的に観測するキャンペーンを始めることとなりまし た。