本年2011年の雪氷研究大会は38年ぶりとなる新潟県長岡市での開催となりました.長岡は「38豪雪」や「56豪雪」を始め数々の豪雪を経験してきました.最近では,2004年秋に発生した新潟県中越地震の直後の冬に降雪が集中し,地震で被災した防雪施設や家屋に豪雪が重なって大きな被害となりました.さらに,今年3月11日の東日本大震災の折には,新潟県南部や長野県北部にわたる山間地域で地震による雪崩や家屋倒壊が多数発生し,地震と豪雪の複合災害に見舞われました.
一方,長岡は克雪の一環として雪国の道路の雪を地下水で消す消雪パイプ発祥の地でもあります.本年はその誕生から,ちょうど50年目に当たります.
このような背景の基,二つの公開シンポジウムと5つの企画セッション等が企画されました.先ず最近の豪雪・寡雪と夏の猛暑や集中豪雨に見舞われている雪国の現状を概観し,東北アジアや地球規模の気象変動との関連を紐解く試みとして
「どうなる日本の雪国?-猛暑と豪雪-」,
消雪パイプ誕生50周年記念として,消雪パイプの誕生とその後の歴史や雪国における役割,さらに将来への展望などを議論するため(社)新潟県融雪技術協会と共同で,記念シンポジウム
「消雪パイプ50 年の歴史,そして未来の雪国づくりへ」
を開きます.
また,下記5つの企画セッションが開催されます.
(1) 平成23年豪雪 -集中豪雪とその影響-
(2) 積雪期の地震防災 -積雪期の地震にどう備えたら良いか-
(3) 道路雪害の賢人から学ぶ -過去の豪雪とその対策の歴史-
(4) 地球雪氷分野をとりまく国際・国内の研究推進体制の状況(2)
(5) 雪結晶をめぐる最近の話題 -孫野・李による雪結晶分類の45年目の改訂-
さらに,広い会場を生かして.
「消融雪講演会」,「楽しい防災教室」,
雪氷研究大会ではおなじみの,
「雪氷楽会 in Nagaoka ― 雪と氷のポケト・サイエンス ―」
等々が開かれます.
盛りだくさんのイベントに多くの皆さまの参加をお待ちしています.また,年々レベルの上がる研究発表にはより集中して頂けるようにプログラムは工夫されております.
本大会は県内の両学会員の献身的な働きで実現に至りました.また今回は,実行委員会とは別に大会委員会を設け,地元の多くの大先達にご意見を頂く場を設けました.また,(社)新潟県融雪技術協会をはじめ機器展示や後援,協賛を頂いた企業の方々,さらに新潟県,長岡市の強力なご支援無くしては本大会の実現はできませんでした.紙面をおかりして,衷心より御礼申し上げます.
(実行委員長 佐藤 篤司)