covid19で米国資本主義経済が崩壊することは致し方がない

2020年3月2日

すでに米国CDCが説明したとおり、米国でcovid19(新型コロナウィルス)が蔓延することは確実であり、懸案となるのはその規模である。当座の日本のように局所的なゲリラ戦で済むのか、武漢や大邱のように医療現場の崩壊をともなう全面戦争に至るのか。

すでに日本政府の関係者が伝えたとおり、対covid19戦に勝利するには一人ひとりが手洗いを励行して、戦いの砦となる病院を正常に守り切ればよい。武漢のように医療従事者がウィルスに罹患してしまい医療現場が崩壊してしまっては負けである。ひとたび負けると、あらゆる経済活動が停止する。

戦線において国民が各自の理性を守り切れるかが重要である。目下のトイレットペーパー騒ぎのようなデマが起きると危険である。不安が不安を呼ぶことで、明らかにデマだと理解していながら、トイレットペーパーの取り合いに参加せざるを得ない気分に支配されやすくなる。

対covid19戦は世界各国にとって試練をもたらす。医療と教育の機会が公正に提供されている国家は攻防で有利となりやすい。国民が理性を保って病院の機能を守り抜くことで、戦線の不必要な拡大を避けられる。

ところが医療と教育の機会が必ずしも公正に提供されていない国家は不利である。貧困層にcovid19が蔓延したとして、彼らには医療と教育の機会が乏しかったとする。この場合、彼らはどうやってcovid19の猛威に対して冷静でいられるのか。彼らは猛威にやすやすと翻弄されて、covid19の魔の手にはまり、グローバル社会全体にウィルスを供給する感染源として機能する。

最貧国であるイランや北朝鮮は経済制裁のもと医療体制がすでに崩壊している。はじめからcovid19の来襲に対して為す術がない。負け戦であることは、戦いが始まる前から見え透いている。

中国や米国では、目下のグローバル資本主義経済のもと富裕層と貧困層の二極化が明瞭である。貧困層はcovid19の来襲に対して脆弱である。国内の貧困層がcovid19を保持し続けることで、両国ともcovid19を国内から駆逐することが極めて難しくなる。

covid19をめぐる世界的な攻防は、第一次世界大戦および第二次世界大戦と同様の、世界史における革新的な局面の一つに数えられるだろう。第一次世界大戦ではヨーロッパ王侯諸族の無能を露呈させた。第二次世界大戦では民族主義の不毛を露呈させた。そして今般のcovid19の世界大戦ではグローバル資本主義経済の虚を露呈させる。

ところで、そもそも論として、各国におけるcovid19の検査体制の不備は、昨今の基礎研究への投資を削減し続けた結果である。covid19を検出するリアルタイムPCRの系は、検体に試薬を混ぜて温度変化で反応をうながし、その際に発する蛍光量を検出する。この作業のすべてをクリーンルーム内のロボットにやらせれば、1日に何千件でも何万件でも処理が可能となる。これまで、こうした投資をやってこなかったので、検査体制にはロボットが導入されておらず、人力で試薬調整をしている。当然ながら人為的な作業ミスが起こり得るし、処理能力が限定的とならざるを得ない。

昨今のグローバル資本主義経済の潮流は、基礎研究に関心を向けず、その予算と人員を削ることに執心して、目先の株価に一喜一憂する傾向にあった。この結果として、中国と米国の二大超大国がcovid19に蝕まれてしまっては、もはや株価もクソもない。このありさまは、トイレットペーパー騒ぎのように空虚で不毛である。covid19を期に、堅実な国家のあり方について改めて根本から問い直すべき時が来た。