research diary
このページは原が主に自身の研究に関連して,考えたことや新たに知ったこと,そのときの興味,自身の研究の進捗状況について残したメモです.言うまでもなく,以下の内容は私自身の見解であり,所属機関の立場や意見を代表するものではありません.
2024/5/25-26 計画学春大会@札幌
意外と読まれているとのことなので,久しぶりの更新.
高山さんや和田さん,柳沼さんなどの悪友たちに深夜まで付き合わされていた(と言いつつ,一番喋っていた可能性もある).土木学会誌に書いた雑文をいじられていたが,高山さんからは若手に伝えたいメッセージはよく伝わるとお褒めをいただいた.まずは隗より始めよ,でもあるのだが.日々,妄想に励みましょう.
力石さんとTRY season2をやるべきではという話をしていた.いや,もうyoungじゃないので,TRMかもしれない.
2023/1/27 JST創発採択
堀パネルの創発的研究者になりました.計画分野には高山さんや浦田さんがいます.土木のハード分野の研究者と接点があまりないので,その点も深めていきたい.
2020/10/1 東北大学情報科学研究科の准教授に着任しました
異動多すぎの研究者人生ですが,そろそろ腰を落ち着けて頑張りたいと思います.
2020/4/1 東大次世代知能科学研究センター(AIセンター)で特任研究員になりました
國吉先生の研究室,羽藤研,豊田中研の方々とのコラボという3つのラボに所属しています
2020/3/20 SMARTを退職しました
楽しかったシンガポール生活ですが,プライベートな理由でそろそろ帰国.COVID-19もあり,バタバタの帰国でした.
2019/3/13 研究集会 TRY2019@SMART
三回目になるTRY.ついに国外開催!と言いたいだけのために,日本から研究者がやってきてくれました
井料さん(神戸大),力石さん(広島大),柳沼さん(理科大),日下部さん(東大),瀬尾さん(東大)+特別ゲストの同僚の坂井さん (SMART)+私.
いつも通りのポジティブなコメントが飛び交う場になったのですが,最後に井料さんからとても含蓄のあるお言葉があり,若手研究者がんばらねばいかんなと思いました
久々に日本語で研究のディスカッションできたのは個人的にはとても良かったです.というのも,普段はずっと苦手な英語でinput/outputせねばならず,それでまずIQが1/10くらいになっていて,ついでにいろいろと精神的な問題を抱えていることにより,やる気が1/10くらいになっていて,結果としてベストパフォーマンス時に比べると1/100程度の能力を発揮しながら日々暮らしています.久々に仲の良い仲間と日本語でディスカッションしたら,死んでた脳みそに刺激があったようで,いろいろと研究アイデアが次から次へと浮かんできて,「あーもうオレだめかもわからんね」と思う日々だったのですが,「意外とオレ,悪くないじゃん」くらいまで精神的に回復しました.本当にありがとうございます.
飲み会後に午後10時からMosheとのwebミーティングがあって(Bostonとのミーティングなのでどうしても夜ミーティングになりがち),家に帰る時間がなかったので,Singapore river沿いのClarke Quayからlaptopで接続してミーティングに参加していたら,いきなり肩を叩かれ「?」と思うと,同僚のNishantが偶然彼女と一緒に缶ビール片手に過ごしていました.で,ついでにオレにもビールくれたので,飲みながら適当に参加.なんて良い同僚なんだ!ちなみにミーティング中にはビール飲んでたことはバレてないと思います
2019/1/28, 29 SMART/MIT Future Urban Mobility Symposium
所属しているSMARTのMid-term reviewを兼ねた内部シンポジウム(+評価する研究者 + ETH, TUMなどの同じCREATE Towerの住人達).
SMART行ってから半年ちょいでここで成果発表できる程度の進捗はあったので,個人的には良い経験になった.これは早く論文化せねば.
SMART/MITレベルになると,内部の研究者の数がとても多いので,ポスドクが発表するだけで20分×40本くらいのsingle-truakの学会レベルになる.これは数の暴力感があってMITだなぁと素直に思う.
いろいろと面白い発表もあったのだけど,confidentialなので,そのあたりの発表がpublishされてオープンになれば感想でも.
2018/12/6, 7 さきがけ最終報告会
さきがけ研究者に採択されて早3年ちょっと.そんなわけで最終報告会.報告会自体は(おそらく)無難に終わりつつ,安浦総括(九大)からも丸山先生(PFN)からもポジティブな言葉を頂き,いろいろとがんばらねばいけないなと思う.
個人的にはもっとできたことがいっぱいあったはずで,それは自分の怠惰が原因の一つではあると思うのだけど,この短い3年の間に東北大→東大→SMARTと3か所も職場が変わり,その結果として実験の準備や手続きに遅れが発生し,また環境の変化とセットアップで更なる遅れが発生し,というのは事実あったと思う.そこはとても反省点で,せっかくさきがけに採択いただいたのに,その研究に集中できていないように見えたところはあるのかもしれない.これは自分のキャリアパスをうまくつくれなかったところが原因の一つではあるけれども,外的な要因も多く,そのことはいろいろと辛かった
とはいえ,さきがけ自体は以前も書いた通り,とても素晴らしい環境で,全員別の分野の研究者ではあったけれど,本当に面白い研究をしている人たちばっかりで,そこでお互い刺激を与えあって,研究の議論ができたのはとても自分にとっても良い経験であった.願わくば自分も同じ領域の誰かになんらかの刺激を与えられていることを.
いろんな人から後押しされている某投稿計画はある.あるんだが,とにかく私が怠惰なので.
2018/9/11 SMART FMでのランチセミナー
職場でのランチセミナーで1時間トークする順番がまわってきたので,いろいろとスライド準備.相変わらずデッドラインドリブンなのでよくないのだが.FM (Future Urban Mobility) グループは全部で40-50名弱いるので,なかなか全員と話す機会もないし,なかなか自己紹介をする機会もない.このようなきちんとした研究紹介する機会は要は自己紹介ができるということなので,真面目に取り組んでおいて損はない.セミナー自体は私の下手くそな英語にかかわらず,結構ウケたようなのでとてもうれしい.もちろん英語の機微がわからないので,お世辞なのかもしれないw しかし,共同研究しない?という声もかけてもらえたので,期待通りの結果が得られたと思う.
なんか最近大人になったのか,こういういろんなバックグラウンドを持つ人の前で話すときにどういう話題を選択すべきかの妙が長けてきたように思う.昔はもっと独りよがりで,自分の興味関心はここにあります,自分と同じ興味関心がある人のみ関心をもってくれればOKです,みたいなプレゼンに近かったと思うのだが,もう少し聴衆を意識して,いろんなバックグラウンドの人に刺さるようなプレゼンを目指すようになってきた.なんでこうなったのかを考えると,やはりさきがけ安浦領域での経験(多様なバックグラウンドの研究者)と未来館でのサイエンティストクエストの経験(研究者ではない一般の人へのアウトリーチ)が大きいように思う.さきがけの領域会議で面白いと言われた研究トークは基本的にどこでやってもウケるという経験則が自分の中であり,ということは領域会議の面々を想定して,トークを組み立てると大丈夫というのがある.あとは領域会議は他の研究者の話がベラボーに面白いので,それもあるんだろうなぁ.お,この伝え方うまいなぁーみたいな.
バックグラウンドが違う人に,自分が何に関心があるのかを話すのは一般的に言ってかなり難しい.一つの方法はやったことを話すのではなくて,Research questionをちゃんと立てて,その問いの重要性,どこまで解けたか,今後どうしたいかを伝えるということである.こう書くと至極当たり前なんだけど,学会発表みたいにするとどうしてもやったことプレゼンになりがちで,バックグラウンドが違う人からは「なんでこんなことやってるんだろう?」となってしまう.Research questionを明文化するのはとても重要だと思う.
もう一つは自分の研究の手駒が増えてきたというのもある.数理的な話をすべき場なのか,都市・交通的な話をすべき場なのか,経済学っぽい話をすべき場なのか,統計/機械学習/データの話をすべき場なのか,みたいなものに合わせて話題の取捨選択ができるくらいに研究のバリエーションが増えて来たのは良いことだ.
学会発表的プレゼンとセミナートークの違いはなんなのかというと,最初に戻ってやはり自己紹介なんだろうなぁと思う.論文というのは,先行研究との違いや貢献といった新規性を強調すべきだけど,セミナートークというのは俺の研究はすごいんだという話をする場ではなくて,自分の研究を紹介して仲間を探す/つくることが目的なんだと自分は思う.俺はすごいという研究トークを聞いたって,なんかすごそうな研究をしてる人だね,よーわからんかったけどたぶんすごい人なんだろう,終わり,という感想になる(そういう感想を持つことはしばしばある).逆に面白い話を聞いた時は,終わった後に思わず席を立って話しかけに言ってしまう.できる限り後者のようなプレゼンができるようになりたい.プレゼン道は険しい.
2018/8/13 とても忙しかった1ヶ月
やっとシンガポール生活も慣れたてきたなーと思った頃に,予定日よりも1ヶ月早く妻が産気づきまして,急遽帰国&産休.連絡を受けて急いで飛行機に飛び乗ったことで,出産にも間に合いました.「今すぐ空港へ行け,時間を無駄にするな」と言ってくれたMosheに感謝.世の親たちが100万回くらい言っていることだと思いますが,息子かわいいです.
職場の制度がしっかりしており,リモートで働くなら2週間の産休を4週間にできるよと言われたので,日本からリモートで働きつつ,育児に邁進して少しでも妻のサポートをしようとがんばってました.とはいえ,妻の頑張りに比べると,男のがんばりなど高が知れているものです.二人でがんばって子育てしていくしかないのです
と言いつつ,我が家はいわゆるtwo-body problem (これとかこれ参照)であり,なかなか大変なわけです.日本で働きたい妻と勝手気ままにシンガポールに来てしまった夫という状況であり,妻の負担が過度にならないようにリモートでできるサポートをなんとかしつつ,腐る程マイルが貯まるであろう生活をすることになると思います.ネットスーパーやAmazonといったe-commerce, SkypeやLineといったcommunication toolがないと成り立たなかった生活スタイルだと思いますが,なんとか夫婦で模索中.時差が1時間というのがせめてもの救いです.
あ,これresearch diaryだったわ.ただのブログになっていた…
Transportation Research Bに単著論文通りました.D論以降のモチベーションで,問題提起に近いですが,MethodologicalのBにこういう論文を載せることが意味があると個人的に思っている.みんな読んでね.
2018/5/25 自分の追いコン@東大
6月からSMARTに異動することになったので,研究室メンバーやOB/OG,学科の先生方,自分の身近な若手研究者の方々が追いコンをしてくださりました.大変感謝.
もちろんテニュアではないものの,そこそこに安定したポジションであると思われる東大助教を辞めて,SMART(シンガポールMIT)に行くことにしたのですが,悩みがないわけでは当然なかったです.
一時期インターネット界隈でプログラマー35歳限界説というのが流行りました.その後,多くの職でもそうじゃないかみたいな35歳限界説論壇みたいなのが流行っていろんな業種でそれらの議論がなされたように記憶してます.そこらへんをインスパイアして東浩紀がクォンタム・ファミリーズという小説を書いていたりしたので,おそらく2007, 2008年あたりでしょう.ということは当時の自分はM1-2, D1くらいで,やべぇあと10年しかねーじゃんかとか不安に思ったのも事実(んな先のことよりも目の前のことに集中しろよという感じですが).クリエイティブ職という意味では研究者も同様かと.
もちろん35歳限界説が事実ではないことは35歳以降にもクリエイティブな人がたくさんいることからも明らかです.しかし,35歳前後で漠然とした自分の能力に対する不安を感じることがあるというのは確かなのでしょう.
今年で35歳になる自分としては幸運なことに,あまり自分の限界を感じるということはありませんでした.しかしながら,これでいいんかなーとも時折思ったりしました.昔は3行教授(東大助手,同助教授,同教授)がエリートだと言われていましたが,履歴書が大変汚い自分としては,3行教授にはもうなれません.であるならば,とことん履歴書を汚すのも一興だろうというのが一つ.二つ目の理由は,3つの大学のvisiting researcherとして滞在させていただきましたが,本当にそこに溶け込む為にはそこでサラリーをもらいながら働かない限り,仲間になれないだろうと思ったのが一つ.あとは,単純に母集団の大きさという観点で,世界基準で研究者の知り合いが増えた方が楽しかろうという理由.(あとは下手くそな英語をなんとかしなければというマイナスな理由もある)最後に付け加えるならば,海外で働くなら今くらいの年齢が最後のチャンスだろうと思ったということです.(スーパープロフェッサーになれば,日本の大学に所属する日本人でも海外の大学に引っ張られることはあるでしょうが,スーパープロフェッサーになること前提で自分の人生設計を立てられるほど自分は楽観的ではありませんw)
なんかそんなこんなで1年半の東大生活を終え,SMARTに行くことにしました.さぁどうなることやら.
2018/3/30 研究集会 TRY2018@東大
2回目の若手研究者の研究会を行いました.内容は以下の通り.
浦田(神戸大), Sampling approach on spatial variation for obtaining a set of travel demands
原(東大), Behavioral mechanism design for transportation services: laboratory experiments and preference elicitation cost
和田(東大), Continuum car-following model for capacity drop at sag and tunnel bottlenecks
力石(広島大), A non-randomized intervention study on the impacts of electric powered personal mobility vehicles on elderly travel behavior: A semi-parametric difference-in-differences approach
井料(神戸大), ETC2.0データと階層型DB構造
全発表の内容のメモもあるのですが,外部投稿前/途中の内容も多いとのことで割愛.
今年は投稿数が大きく増加したということなので,引き続きがんばっていきましょう!
2018/3/1 EPFLセミナー@EPFL
昨年,Michealが東京に来てくれたこともあり,そのお返しというと変ですが,EPFLでもセミナーをやりましょうということになって,佐々木先生(山梨大),福田先生(東工大),力石さん(広島大),福山さん(東大),中西さん(東工大)と一緒に参加して来ました.現在EPFLでポスドクをしている大山さんの元気な姿も見れて嬉しかった.
私の発表内容は,さきがけでやっているCatsudonおよび,行動オリエンテッドな社会経済属性の話で,結構理解されてとても嬉しかった反面,理解されたがゆえの厳しいツッコミもあり,とても楽しい時間を過ごさせてもらいました.みんな曰く一番盛り上がってたとのことなので,よかったよかった.
一方で,EPFLの3つのラボ(Michealのラボ,Nikolaosのラボ,昨年秋から新しくできた3つ目のラボ)の何やってるかトークもとても楽しかったです.特に,3つ目のラボはもともとCV系の人で,Transportationに関心があり移ってきたDr. Alexandre Alahiの話がとても興味深かった.さすが海外で職を得るだけあって,コンセプト・ビジョンオリエンテッドで研究を進めていて,格好いいなぁと.そして業績をみるとこ,これはすごいと眩暈がするような業績ですね.これを見る限り,機械学習界隈で著名なFei-Fei Li (Stanford University)のところにいた人のようです.Fei-Feiの論文は面白いのでよく読みます(みんなそうだと思うけど).
その後,みんなで食事しているときにビジョンオリエンテッド,コンセプトオリエンテッドで研究しなきゃいかんよなあという話をしてました.僕も最近とても意識して,そういう研究スタイルにするようにしています.昔,東北大にいたときに仲が良かった大野先生から初対面時に「原さんの研究は世界をどう変えるんですか,教えてください」と言われてびっくりしたのをよく覚えています.普通,分野が違う研究者の方からは「どういう研究分野の人ですか?」「どういう研究をやってるんですか?」みたいなトークから始めることが多いと思うのですが,大野先生の質問は全然違っていてとても記憶に残っています.で,大野先生と仲良くなってから,なんでそういう思考回路なんですか?みたいな質問をした時に,さきがけ時に領域会議でとにかくそういう質問を受けまくったし,周りからも刺激を受けまくった,みたいな話を聞いて,なるほどーさきがけってそういうところなのか,面白そうだなぁと思って,自分もさきがけにアプライしたのでした.結果,自分が所属しているさきがけ領域も本当にそういうところで,「細かい話はそれぞれ自分の分野の会議やらジャーナルやらでやっといてください.で,あなたの研究はどのようなビジョンやコンセプトに基づいていて,どれくらい先を見据えた面白いことができているんですか?」といった質疑になるわけです.これはいっぱい論文書いてますとか,こういう賞をとりましたというエビデンスでは全く意味がなく,さらに遥かに上位レベルでの議論を求められています.なので,領域会議の緊張感というのが保たれているんだなぁと思いますし,そういうところで揉まれることで,自分自身,自分の研究の意義やビジョン,コンセプトを深く考える癖がつきました.フィロソフィーレベルで研究を捉えるという,そういう感じの場所です(もちろん詳細をないがしろにしているというわけではなく,詳細の話は休憩時間中や夜に飲みながらやっていたりします).そういうこともあって,Axeandre Alahiのトークは領域会議で聞くトークと同レベルに興味深かったです.領域会議は未発表内容を多く含むので,あまり詳細を書くことはできないのですが,1年のうちに僕が参加する1日および2日かけて行われる研究会の類では,最も面白い研究会だと僕自身は感じています.それは分野の多様性もさることながら,誰もがビジョンやコンセプトから説明し,どこに向かおうとしているのか,これがどのような意義があるのか,そしてちょっとした魔法っぽさを持っていて,とても楽しいのです.(ということは突き詰めて考えると,領域会議のクオリティはとても高いということで,日本の研究者はもうすこし自信を持っていいのだと思いますが.いや,みんな自信持ってるか)
ミシガン大に滞在していることもあり,デトロイト-フランクフルト乗り換え-ジュネーブという経路で行きましたが,デトロイト-フランクフルトという経路があってよかったー.なんやかんやで米国入国審査は面倒で,トランジットがあると乗り遅れリスクが高いので・・・.
佐々木先生から,原さんの根無し草感がすごいと褒められてるのか貶されてるのかわからないお言葉をいただきましたが,まぁ当分は根無し草で風に煽られながら生きていこうと思っています.
2018/2/8- Yafeng Yin先生との共同研究@University of Michigan
2/8から1ヶ月半ほどミシガン大学に滞在し,共同研究を行う予定.昨年のハーバードに引き続き,この時期は国外脱出しているのですが,昨年のボストンに比べて,より寒いアナーバーということで,マイナス20度くらいを体験しています.
Prof. Yafeng Yinとは国際会議などで何度か話したことがあり,とりあえず訪問して出たとこ勝負で,なんか共同研究するというノリを許してもらいました.今回は真面目にJ1ビザを取りました.二人とも交通システムのメカニズムデザイン・インセンティブデザインに関心があるので,あまり悩まずに研究テーマは決められそうです.成果が出るかどうかは私の頑張り次第です.
ミシガン大学といえば故北村先生を思い起こすわけですが(YafengもRyuichi Kitamura Awardを受賞している),なるほど北村先生はここで研究をされていたのかと思うと感慨深い.同じ空気を吸っています.ちなみにアナーバーではあまりに寒い日は外で呼吸をすると肺が凍るので危険と言われているそうです.くわばらくわばら.
まだ来て数日ですが,Group Meeting (日本でいうゼミみたいなもの)のときに,ある学生の発表にYafengが「それはMathematical exerciseにすぎない」とバッサリ言っていて,あぁその感覚わかるなぁと共感しました.あるパラメータさえ決まれば如何様にも計算できますよ(最適化できますよ,挙動がわかりますよ)という話があったときに,じゃあそのパラメータは現実はいくつなのかさっぱり関心がない,というのはあかんと思うのですよ,少なくとも工学であるならば.そういう意味において,彼は完全に工学の人だなぁと思いました.
2017/12/11 Transportation Research C accept!
投稿から1年くらいでacceptされました.東北大時代の最後の仕事です.プローブデータ欠損の空間的補間をGGMを使ってやる,特にそのパラメータ推定をGraphical Lassoを使ってやるという論文を以前JSTEに載せているのですが,交通状態って1つの正規分布で表すのは到底無理なので,Mixture GGMに拡張してやったらどうかという論文です.数万パラメータくらいであれば実用的な計算時間で推定できるので実用的にも使い勝手が良いと思います.Understanding系の論文ではないのですが,たまにはこういうものも書いておこうと思いまして.余技っぽいぞと言われればその通りなのですが,余技もジャーナルにしておこうという若手研究者特有のもったいない精神です.論文はこれ.
最近,同モデルで別のデータに食わせる機会があり,論文投稿のデータよりも圧倒的精度が出てこれで論文出せば良かったやとも思いましたが,まぁとにかく考えすぎずに良さげの精度が出るのでオススメです.このテーマはもう一つ進める方向性が決まっているのですが,単純に自分の手が足りない.2017年度中に投稿したいなぁとは思ってます.
一応これでTR-A, TR-B, TR-Cに1本ずつ載せられました.まだまだなんですが,政策,数理,実装のどれもやりたいのが自分なので,このノリで今後もやりたい.
2017/11/22-24 バンコク出張
交通工学・トヨタ関連のプロジェクトでバンコクに行って来ました.1日セミナー参加でとんぼ返りという強行軍でしたが.地域未来研究所の菅さんや田子くんもいて,夕食時になんかしょうもない話をしていた記憶.帰りの機内でそういえばこのプロジェクトの報告書を書かなくてはと現実に戻りましたが.
2017/11/15 理科大の柳沼さんのとこに遊びに行く
神楽坂に理科大あるんですが,我々の分野は野田キャンパスなので,柳沼さんと議論するために野田キャンパスまで遊びにいきました.想像よりも遠かったのですが長万部ではないのでそれは良かった.
柳沼さんと因果推論の勉強をちゃんとしようよということで,寺部先生や研究室の学生さんも一緒になって因果推論ゼミが行われました.現在も継続中(skypeで参加している)
2017/11/13 山梨大セミナー
佐々木先生(山梨大)で計画学でお会いした時に,「きてよー」と言われたので「いくいくー」と言ってすぐに日程調整がされたセミナー.セミナー自体は浦田さん(神戸大)が発表をされ,僕は山梨大の学生さんと夏の学校時のプレゼンを発展させて,共同研究をするために方針のミーティングを行いました.澤田さんや末木くんといった山梨大の学生さんと夏の学校以来ガッツリ話ができたので楽しかったです.ぜひこの研究をちゃんとジャーナル投稿までもっていきたいなーと思います
2017/11/9-10 さきがけ領域会議5回目@東京
ついに1期生の方の最終報告ということで,どの方も成果は当然のこと,プレゼンのストーリーづくりが抜群にうまく,ためになりました.
とか言ってるけど,自分も来年には最終報告をしなければいけないので少し焦ってきました
中小路先生(京大)から,「役に立つのはいいけど,それを一つの美術作品のように見立てられないのか?」というコメントをいただき,自分の中にはない発想だったのでガツンときました.可視化の研究は僕自身はやっていませんが目を通すようにしています.しかし,単純なビジュアリゼーションではなく,抽象画のようなデータの可視化はありえるのかという問題提起だと理解しました.
2017/11/3-5 計画学秋大会@岩手大
今回は発表なしで(参加予定も実はなかったのだけど),塚井先生(広大)がどうしてもポスターセッションに間に合わないから代わりに立っててくれないというので代わりに立ってました.ポスターを見に来てくれた人と一緒に,この分析結果どういう意味だろうかと考えつつ,最後の方には何事もなかったかのように説明するというひどい発表をしましたが,自分の吸収能力に相変わらず呆れましたね.
塚井先生からはごめんねってことで,もみじ饅頭をいただいたのでOKです
2017/10/22-27 Young Leadership Program Israel - Japan
イスラエル外務省からYoung Leadership ProgramというものにJST経由で選ばれて,1ヶ月ぶり2度目のイスラエル.
さきがけやSTARTの研究者・起業家・VC,博士課程の学生,JST国際部の方々というメンバーでイスラエルの研究環境やスタートアップ環境などについて,政府機関や研究機関,企業などを訪問して意見交換を行なった
一緒に参加していたのは植波さん(Beyond Next Ventures), 大毛利さん(Device Lab), 野田口さん(名古屋大), 江崎さん(JSTさきがけ), 正井さん(慶応大), 町野さん(東大/国立がんセンター), 小林さん・松村さん・福田さん・中野さん・猿渡さん(JST).さきがけで領域が同じの江崎さん以外は初めましての関係性.
スタートアップ環境
イスラエルはスタートアップ大国として有名であるが,人口は800万人しかいない.つまり,国内向けのビジネスをしたところでパイは限られているため,最初からグローバル視点での研究開発が行われる.これは国内市場が大きい日本との大きな違い.イスラエルの有名な発明といえば,USBフラッシュメモリ,Googleの予測検索(Google Haifaということを初めて知った),ファイアーウォールなど.
研究機関としてはテクニオンやワイツマン研究所があるが,イスラエル国防軍の影響がとても大きい.イスラエルでは男性,女性ともに兵役義務がある.8200部隊と呼ばれるエリート集団があり,ここでは情報技術やインテリジェンスに関連する研究・開発が行われている.8200部隊出身者はドヤ顔で8200部隊出身者であることを説明し(今回の訪問でも何人にも会った),ここでの軍事技術の民間転用や部隊でのネットワーキングがスタートアップに大きな影響を与えている.スタートアップのエコシステムにおいて,イスラエル国防軍の影響はとても大きく,これは日本や他国に容易に真似できるものではないだろう.
軍事技術の民間転用で有名なものはアイアンドームと呼ばれるミサイル迎撃システムの技術を用いて,バイアグラ模倣品検出器をつくったこと.
高校卒業後に男性は3年,女性は2年の兵役を終えたあと,ほとんどの人はすぐに大学に入らずに世界中を放浪をすることが一般的である.これはティウールと呼ばれる.バックパッカーとして世界中を回る人もいれば,イスラエルナショナルトレイルと呼ばれる南北に歩いて国内を縦断するトレイルを2ヶ月ぐらいかけて行う人たちもいる.そこでの出会いや経験もまた,彼らのネットワーキングや視野の広さに繋がっているようだ.
スタートアップの人材づくりとしては,小学校からPCでクラウドに接続して宿題を解く,中学校ではプログラミング教育を行うというように徹底的にITへ慣れさせる.イスラエルのスタートアップは会社自体を大きくしてIPOを狙うというよりは,ある特定の技術を作り出して,IBMやGoogleなどの大企業に会社ごと買収させるというイグジット戦略が多い.スタートアップの評判を入手するために多くのグローバル企業は現地に研究開発拠点をもっている.そこでも重要なのは8200部隊のネットワーキング.最近有名なのはIBMに高額買収されたモバイルアイ.いわゆる自動車の衝突安全システムの一種で多くの車両に現在搭載されている.
最近はテルアビブ周辺では地価の高騰もあり,少し離れた郊外(ヘルツェリア周辺,セキュリティ研究で有名ベングリオン大学がある)にハイテク工業団地をつくって,大企業の研究開発拠点やスタートアップのインキュベーション施設を集積させている
イスラエル周辺の中東の状況
Dr. Miri Eisinからイスラエル周辺国家の地政学に関するレクチャーを受ける.中東の理解のためには「植民地」「政治体制/血統」「人口構成」「宗教」「水」の5つの観点から見る必要がある.
一般に中東と遠い日本からは,イスラム教やユダヤ教といった宗教を中心に見がちであるが,植民地時代の国境線,政治体制の違いや地形・水にも目を向ける必要があるようだ.中東の国の大半は半分以上が25歳以下であり,これらの人々にちゃんとした職を提供し,安定した生活を送らせることができるかどうかが中東の平和・安定において著しく重要な意味をもつ.イスラム国も宗教的な対立というよりはエネルギッシュでありながらも職がなく,富裕層に対する怒りが溜まった若年層が中心となって集められており,あれは宗教問題というよりは雇用問題としての影響の方が大きい.あとはヨルダンの存在感が中東では大きいことは日本からみると意外であった.
また,中東各国の間ではナイル、ユーフラテス、チグリスの水の所有権をどの国が持つかでいざこざが起きやすく,イスラエルはそれもあって,リサイクルウィーターの研究開発に積極的である.現在でもイスラエルの水消費の88%はリサイクルウィーター,2020年には100%にするという計画であり,国土に大きな川がないにもかかわらず技術と資金で解決するという戦略をとっている.イスラエルはレバノン,シリア,ヨルダン,エジプトの4カ国に囲まれており,安全保障上水の確保は欠かせないということである.
ユダヤ人の歴史
ユダヤ人の歴史といえば,ホロコーストを避けては通れない.しかし,その前にユダヤ人が2000年前にローマ帝国によって国を追われディアスポラとなった地の一つであるマサダの遺跡にも訪問することができた.マサダの要塞に立てこもっていたユダヤ人であったが,ローマ軍に包囲された後,一夜にして集団自決を行なっている.これは女性や子供が奴隷としてローマ軍に連れて行かれるよりは,ユダヤ人として死ぬことを選ぶというユダヤ人の強い意思が現れた逸話でもあり,ユダヤの人たちにとっては特別な場所のようだ.集団自決のために,他の人を殺す役割がくじで決まっており,そのくじとして使われたという陶器のカケラが出土している.
もう一つはホロコースト記念館として知られているヤド・ヴァシェムである.ヤド・ヴァシェムは聖書イザヤ預言書の中で,宦官が子孫を残せないことに対して、子孫は残せないが、神の家の中にあなたの記憶と名前を永遠に残しましょうという一節があり、記憶(memory)と名前(name)を表すYadとVashemから名付けられている.日本における原爆記念館のように,訪問していい気持ちがするものではない.しかしながら,イスラエル建国に対するユダヤ人の想い,ディアスポラの人たちが国を持とうとすることの意味がよくわかる.三角形の変わった造形であり,中はジグザグとした展示になっている.これはユダヤの翻弄された歴史を表していて,進む方向が時間方向を表している.最初は世界各国でそれなりに安定した生活をしていたユダヤ人だが,WW2が近づくにつれてホロコーストが行われ,それにあわせて通路がどんどん狭くなり,また床も下り坂になっている.WW2が終わり,イスラエル建国に合わせてまた通路が広がり,上り坂になる.記念館を出た先ではエルサレムの街並みを見下ろせる展望の外にでる.ある意味でベタではあるが,とても考えさせられるデザインだと思った.設計はモシェ・サフディ.ちなみに館内は撮影禁止.
いろいろと考えたこと
エルサレムを歩いていたときは村上春樹のエルサレム賞の受賞講演における壁と卵を思い出さざるを得なかった.ここでいう壁(システム)はグローバル経済のようなものもあれば,それこそ宗教も一つのシステムであり,ユダヤ教もイスラム教もキリスト教もシステムと言える.シオニズムも一つのシステムだし,そのおかげで2000年の時を経てイスラエル建国に至ったと考えることもできれば,ホロコーストにおけるドイツ軍によるガス室の効率的な殺人機械や暴走したナチもまた一つのシステムである.人間性というものを担保するのは大変難しい時代になる中で,どう生きるかというのは難しい.
2017/10/17 交通・都市理論ドクター勉強会@金沢大
中山先生(金沢大)が発案されて,博士課程の学生を中心とした聴講者に対して,若手研究者が中心になって講義を行うという勉強会に参加しました.
私はスパースモデリング (slideshare)担当だったのですが,スパースモデリングって全体像があるようでないような分野なので,自分が考えている全体像とL1正則化を中心とした最適化手法,ちょこっと自分の研究という3点セットで講義の内容にしました.最初は3時間くらい話してくださいと依頼されたので,さすがに無理だと思い,2時間に減らしてもらったのですが,結果的には3時間弱くらい話していたようです.自分の頭の整理にもなり,大変ありがたい機会をいただきました.中山先生に感謝です.
他の発表は桑野先生(鳥取大)による生存時間分析,長江先生(東北大)によるZDD,中山先生による交通ネットワークの確率的特性の話でした.長江先生の発表はかなり良いアイデアに溢れていて,興奮しました.
学生さんは夏の学校に引き続き安田くん(神戸大)が参加していたり,大口研からは佐津川くん(東大)が参加していたりと全国から博士課程の学生さんが参加していたようでした.少しでも刺激を与えられていたらハッピーです.二人に話をきいたところ,すごく楽しんでいました.学生時代の友人はとても大切で,僕にとっては柳沼さんとか和田さんとかですが,現在の博士課程の学生さんも研究とアホな話の両方ができる友人をつくって,一緒に競い・慰めあいながらがんばってもらいたいものです(もちろん群れずに一人でやるというスタイルもありますので,必ずしも友人づくりを推奨するものではありませんが)
2017/10/13-15 第16回行動モデル夏の学校@本郷
毎年準備が大変な行動モデルの夏の学校を16回も実施しているという点で,本当に羽藤さんを尊敬している.継続は力なりとは真なり.今年も全国の大学や海外(IITムンバイ)から約100名の学生・参加者が集まりました
今年のkey note speakerはEPFLのMichel Bierlaire (写真)で,自分が学生時代からのスターというかアイドルという感じで,お会いできてとてもうれしかった.すごく紳士的や優しい方でした.写真はkey note後に六義園に行った時の写真.かわいい.ちなみに10月からEPFLでポスドクしている大山くんの上司です.
今回驚いたことは,各大学のグループワークの最終発表のクオリティが異常に高かったことです.参加されていた他の先生方もおっしゃっていたのですが,今年は発表が多岐にわたり全然飽きなかった!というのが正直な感想です.全体的にクオリティも高く,同着1位の神戸大,熊本大はどちらもやりすぎやろ!というくらいモデリング・分析ともにがんばっており,ついでに熊本大は香住賞,3位の山梨大はDavis賞で,僕の今年の春大会の発表(下記参照)を援用してくれて,とても面白いfact findingをしてくれました.なぜこんなにレベルが高いのかと学生さんたちに聞いてみたところ,昨年うまくできなくて今年こそは,というリベンジ組が多かったためとのことでした.重要だよね,そういうの.
山梨大グループの発表は自分の研究とも関連があるので,佐々木先生に相談して,みんなで一緒に論文化したいねという話をしました.
そういえば,飲み会の場で「このページを見てます」と他大学の数人の学生さんに言われて驚愕した.
2017/09/12-14 hEART 2017@Haifa
6th the European Association of Research in Transportation (hEART)参加のために初イスラエル.やはり日本からは結構遠い.香港経由で行きました.あまり長距離フライトでもへこたれないのですが,流石に今回は疲れました.
内容はpreference elicitationの発表をしてきたのですが,滑った感もややあり.準備不足と体調不良のダブルパンチで辛かったところもある.反省.翌日ランチを食べてる時に聴いてくれてた人からいくつか質問を受けたので反応があってよかったのですが,伝統的な交通ネットワーク分析とtradable permitやオークションの溝はまだ深く,んでもってそのオークションの行動論的な分析の話なので,さらにもう一つ溝があるという感じで,いつも通りの色物感.しかし,重要なテーマであると自分では思っているので,引き続き続けてやっていこう.
hEARTでは久々に行動モデル,travel behavior analysis系の発表ばかりを聴いていて,懐かしいというか,落ち着くというか,久々に行動モデラーがいっぱいいたなぁと思う.ISTTTは基本ネットワークモデラーだしね.マニアックな研究トピックもあり,それはそれでよかったのですが,とはいえ,マニアックではあるので,今後の方向性をみんな模索している感はありました.
人の発表を聞いていると,研究アイデアが(ロジカルではなく,論理の飛躍として)生まれるときがあり,そういうのが学会参加の醍醐味の一つなのではと思ったりする.今回も良さげなアイデアが一つ生まれたのでよかった.早くpaper化せねば.
イスラエルという国は,いろいろと思うところもあるわけで,しかし,食文化を見ると,ヨーロッパというよりは中東・アジア的な部分も多く混じっているなと思う.都市の構造も同じく.やたらみんなナス食べるね.おいしいからいいんだけど.ホテルでもタクシーの運ちゃんからもNorth Koreaの話を振られまくって,そうだよね,そこ気になるよねと思ったりした.昔は世界は(少なくともアカデミアは)コスモポリタン化していくのだろうと素朴に考えていたけれども,そんなことはなく,やはり空間や文化,宗教や世界観の影響を受けざるを得ず,その中でどのようにコスモポリタンたりえるかということが突きつけられているように思う.ということを海外にいくたびに思うわけだけど,イスラエル滞在はなおさら強くそういうことを感じた.
2017/08/21-25 IJCAI2017@Melbourne
私の中でのとりあえず情報系トップカンファレンスの動向をチェックしようシリーズの一貫でIJCAIに初参加してきました.とはいっても,Deep learningや機械学習,データマイニング系の発表は一切聞かずに,Game theory, mechanism design, Economic perspectiveなどのエージェント系ばかりの発表を聞いていました.Bo Anのグループの研究など刺激的な研究も多く,Security Gameやたら流行ってるなぁという印象を受けました.
Enrico, SebastianらのSouthampton大学グループとも久々に再会し,研究のアイデア交換を行いました.昼飯時に偶然隣に座ったLong Tran-Thanh (Univ of Southampton)に「何やってる人?」と聞かれたので,「交通システムのメカニズムデザインに関心がある」というと意気投合し,セッションを抜け出して二人で1時間ほどディスカッションとアイデア交換を行いました.route navigationのstrategy-proofness, fake GPS problemなどちょっと面白そうな研究テーマを二人でアイデア出しをし,今後も情報交換をしようねとなりました(10月に日本にくるとか)国際会議ではこういったidea sharingが重要だなぁと痛感.参加した甲斐がありました.
私の知り合いの日本人としては早川さん(豊田中央研究所),金森さん(名大)やさきがけでアドバイザーとしていただいている丸山先生(Preferred Networks)にもお会いしました.あと,金森さんから伊藤先生(名工大)をご紹介いただきました.IJCAI2020は日本(名古屋)で開催とのことです.
全体的に参加者の皆さんがおっしゃっていたように,中国勢の勢いがやばいと思います.USの大学の中国系研究者/phd studentが多いのはどの分野も同じかと思いますが,IJCAIではMainland Chinaからの発表の数が群を抜いており,スポンサーもAlibabaやBaiduを中心とする中国系企業でした.Google, Facebook, AmazonなどのWeb系企業はほとんど見られず,AIは中国主導かなという感じもしました.とはいえ,彼ら(US)にとってはAAAIがあるので,USのAAAI, US以外のIJCAIの住み分けが進み,US以外における中国のシェアが増加しているというのが現実かもしれません.ポスターセッションでも中国語同士でやりとりをする姿が多く,かつMainlandのph.d studentがUSトップ校の中国人研究者にすぐ接することができるネットワークを利用して,研究スピードを加速させている姿が目立ちました.
2017/07/23-26 ISTTT22@Evanston
初めてISTTTに論文通ったので,参加.参加は前回の神戸でスタッフ側で参加していたので(invitation letter発行をしまくっていた)初参加ではないのだけど,気分的には初参加であった.とはいえ,神戸で会ったよね!みたいなことを海外の研究者からも言われたので,あの仕事も無駄ではなかったんだなと思ったり.
内容はD論の延長線上のモビリティシェアリングオークション (slideshare)の話なんだけど,うまくまとまった結果になったこともあり,ISTTTに採択されて良かったねという印象がある.ISTTTは交通流とネットワークに関する理論の会議という印象なので,そこへの接地面というかイロモノなんだけどイロモノではないですよという研究の位置付けの部分にかなりの時間を使って準備をしたし,そこはうまく伝わったんじゃないかと思う.和田さん(東大)からは「しれっとかなりラディカルな主張をしてましたね」と言われたが自分でもそう思うw
今回のISTTTは350編程度の論文投稿で,36本のオーラルプレゼンテーションなので,おおよそ1割の採択率なわけで,なかなかの狭き門ではあるわけですが,定期的に通すようにがんばらないとなーと思った次第です.桑原先生,赤松先生が1位,2位であるのは当然として,井料さんが5本,和田さんが3本なので,第2グループくらいには入って存在感を出していかんとなと思います.とはいえ,世界的に見ても,世代交代は重要な時期に入ってきていると思っていて,大澤くんが「Bの同窓会ですよね」とボソッと言ってたのが印象的.
2017/07/03-05 さきがけ領域会議4回目@札幌
今回は1, 2, 3期生全員が揃っているので,ポスター形式での発表になり,全員の話が聞けるわけではなくなった代わりに,議論の時間が増加しました
領域会議の前日には湊先生の研究室で,湊科研Sとさきがけ合同WSを開催しました.Twitter上ではフォローしていた石畠先生(北大)ともリアルに知り合いになり,嬉しい.湊先生の話の中ではBDD, ZDDの経緯,ERATOの話,特にScience層とEnigineering層の間にArt層がある,人間がつくったものをうつくしく体系化する,といったお話は含蓄があった.おねえさん動画の話,LAMPの話など,成果やアウトリーチもうまく参考になる.そして,有村先生(北大)ではPD短期招聘計画や知識発見技術の変化,海外との連携の話などとても面白かった(2日目の懇親会でも深夜までずっと相談や愚痴に付き合っていただき,有村先生には本当に感謝)瀧川先生(北大)のお話はマテリアルインフォのさきがけで,離散と連続の間,データ駆動科学の2本だてでやっていくというのがとても伝わった.一方で,オバマのマテリアルズ・ゲノムの話など示唆的な話は大きく,第一原理計算を今後どう考えていくべきかというのは,交通分野においても重要な課題だと思う.
領域会議では,グループごとにパネルディスカッションも行われたが,行動のセンシングから情動のセンシングへ,センシングと情報提示のサイクルが高速化していること,意図のセンシングの重要性,AIおよびIoTと社会的意思決定の関係性,民主主義・資本主義に代替する社会の仕組みが実現しうるのか,城山先生のテクノロジーアセスメント・トランジションマネジメントのお話などがキーワード.特に,テクノロジーアセスメント,トランジションマネジメントの話は社会制度におけるunlock processの話であって,自分にとっては非常に身近かつ重要なテーマだと思う.人間へのdelegation (官僚制・前例主義・判例)と機械へのdelegationは異なるといったことも議論された.
最終日には,さくらインターネット石狩DCの見学に行き,自分も利用しているさくらの高火力コンピューティング(GPU)がまさしく高火力であるということを身を以て体感(マジ熱かった).見学されている稲見先生(東大)が楽しそうだった.
2017/06/10-11 計画学春大会@松山
今回で2年間の計画学幹事会の幹事のお仕事が終わり.50周年関連行事という大変重いお仕事があり,いろんな方々にご迷惑をかけましたが,これで終わりとなると感慨深い(とはいえ,当分やらなくて大丈夫です.新幹事長の佐々木先生から留任する?と言われたので丁重にお断りさせていただきました笑)
発表の方は,いままで一度も外部発表していなかったさきがけの成果GPS trajectory analyzer: Catsudonの発表としました.若い人にはウケるだろうなぁと思っていましたが,予想外に上の世代の先生方にも良い取り組みだとお誉めいただいたので大変ありがたいです.もちろんまだまだ課題もあるので,引き続き改善します.原田先生(東大)からは休憩室でお話しをした際に,どっちみち最終的に分布にするのだから,目的地を一意に決めずに,確率的に持っておいて,そのまま足し合わせた方が良いのでは?とコメントをいただきました.マジでその通りだ!と思ったので,修正したいと思います.中間生産物として,トリップデータを作った方が良いかなぁという考えで凝り固まっていました.
そして,Catsudonにばかり焦点が当たってしまいましたが,この研究の私の本論としては,いわゆる機械学習で言われているように,データが大量にある日常的なことは当てられるがデータが少ないものは予測できないという一般的な常識に対して,ほんまにそうか?という批判を実証的にすることでした.この常識に対して一矢を報いたという点で,自分自身ではこの研究の問題設定と貢献はとても気に入っているのですが,時間が短く,またCatsudonウケが良かったことで,後半の論点が適切に伝わらなかったのではというのが反省です.
レアな事象,レアな意思決定に対してはデータが少ないがゆえに,印象論や感情論で語られる傾向があります.たとえば,一つのメディアで広がりやすい出来事のために,災害時に全員がそういう行動を取ったと勘違いされやすい(パニック的な行動を取った,正常性バイアスで誰も避難しなかったetc).しかし,災害時に何が起こっているかというと,全部起こっているわけで,あまり災害時の行動はこれだと一つに決めることが賢いことだとは思えません.あくまでシェアの問題だと思います.では,正常性バイアスで誰も避難しなかったのは普段はどういう人なのか,パニック的な行動を取った人は普段はどういう人なのかを調べることは至極当然のことのように思えるのですが,普段の行動を観測しても,災害時の行動は全くカオティックだから仕方がないという人が多い現状にはため息が出ます.なので,そのカウンターパンチを実証的にした,というのがこの研究の小さいけれども今後に繋がる貢献であると思っています.
その他,今回の計画学はパーソントリップ50年ということで,PT祭りの様相を呈していました.来年は東京PTもありますし,盛り上がることは良いことだと思います.一方で,計画学50周年のときも思いましたが,○周年というのは放っておいてもやってくるものなので,いまから1950年後にはPT2000周年なのです.という意味において,周年自体に意味があるのではなく,時折立ち止まって,これまでの反省と今後の方向性を考えるきっかけをつくるのが周年行事の意義なのでしょう(誕生日や大晦日・元日のようなものです).あとは景観系SSに来てねと福島先生(東大)に言われたので,行ってみました.いろいろと思うことがあり,伝えるべきことがたくさんあるように思いましたが,フロアから発言する時間があまりなく,現時点では心の中に留めています.
2017/05/30 九電東奈研究会@本郷
ひょんなことからはじまった九電東奈研究会(まったくもって仮名ですが)の2回目.東藤先生(九州大・ゲーム理論),小木曽先生(電通大・制御理論),原(東大・交通),畑先生(NAIST・ソフトウェア工学)というまったく分野も被らない4人で,ゲーム理論・メカニズムデザインを共通言語に,なんやかんや議論する会ですが,とても楽しい.ソフトウェアにおけるOSSのエコシステムの中により良いインセンティブデザインを組み込みたいという話,金銭を介さない交換システムの中で分散型の物々交換のより良いシステムをブロックチェーンのアナロジーで考えられないかという話,不確実性下の交通シェアリングのメカニズムデザインの話などを議論しました.制御系の国際会議ACCでも交通系の制御の研究はあるよということで,いろいろと教えていただいた.小木曽先生から自動制御連合講演会で何かセッション立ててよー,とのことで,初めての制御系学会で発表することに.研究者ってそういう偶然でいろんなアイデアが分野間で交換されていくので,面白い.
2017/05/09 GWも終わるが,特にボケもなく・・・
GW中は自分の論文の査読対応と溜まっていた査読の消化をしてたら終わった.山も行きましたが.
最近,アウトプットをちゃんとしようと論文書きモードではあるのですが,その一方で,インプットが昔よりもできておらず,両者のバランス取るのが難しい日々です.昨日,ひさびさに良い研究アイデアが浮かんだので,ホクホクしています.hapticです.
偶然,中西さん(東工大)の日記をみつけてHKSTSで議論した内容が書かれていました.具体的な論文を挙げずに話しているのであれですが,たしかにいたずらに難しく書いているだけの論文や高尚に見せている衒学的な論文がないわけではありません.そういう点については完全に同意です.
また中西さんが挙げている「数学的な性質を議論するために、数学的な性質が既知の誤差分布などを、本来的に観測するまで未知のデータに対して仮定している」「この仮定についてはとくに検証せず、いっぽうで適用研究としてその性質を特に直接的に用いなくても解ける範囲で計算を行う」の2つの点についてはたしかに問題ですね.前者については,仕方がない部分もないかもしれません(とりあえず正規分布を仮定しとけ的な,).しかし,問題設定によってはその誤差分布こそが重要であったりして,なかなか難しいところもあります.あと,誤差が本来は離散値しか取り得ないのに正規分布を仮定したりしているとうむーともなります.とかいうと自分の共同研究者の論文が(以下略)まぁ,理解派(good understanding)と予測派(high prediction)の戦争はいつまで経っても終わらないのです.
もう半年弱経つので,当時の議論の雰囲気を忘れましたが,僕は中西さんとは逆に,もっと一般化して書けばわかりやすいのに,なぜそんなインスタンスで書いちゃうんだよ,と思う論文によく出会うことがあるので,中西さんにこのように言ったのかもしれません.
先日,読んだ論文で,マジ謎に小難しく定式化しているのに,最後の数値計算が(その難しい定式化の性質を一切使わない)非常に簡単な問題を解いているだけで,なんだこれと思ったので,中西さんが言っていたことはこういうことだったのかもと思ったりしました.
2017/03/30-31 社会基盤フロンティア合宿@熱海
学会の教員合宿が開催されたので,新規メンバーということもあり,参加してきた.結果からいうと,普段なかなかお話できない先生方とゆっくり話す時間を持てて良かった.議論は大きく社基の将来ビジョンと若手教員の研究時間の確保問題,堀井先生の基調講演(研究遍歴とi.schoolについて), 沖先生の科研費・論文の話の3点.あとは夜間に飲みながらいろんな先生方と話せた.堀先生や堀井先生,本田先生とこれまできちんと話す機会がなかったので,私にとって良い機会だった.i.schoolの話は昨年,スタンフォードのd.schoolを見にいったことといろいろと繋がることがあり,さきがけの安浦領域と社基の共通性のようなものもありつつ,どんな分野でも,共通する課題や悩みがあるんだなと考えるきっかけになった.
あとは都市工時代の同期の水谷くんと久々にがっつり話して,結構楽しかった.彼は研究大好き人間で,それ以外どうでも良くね?みたいな価値観の人間であるので(そして私も同感なので),分野は違うが研究の話しようぜという感じで大変良かった.
2017/03/28 研究集会 TRY2017@東大
交通系若手研究者を中心にTRY2017という研究会の第1回を行いました.発表内容は以下の通り.
力石 真(広島大)
Discrete choice models with q-product random utilities (joint work with Nakayama, S.) (Transportation Research Part B, Vol. 93, Part A, pp.576-595, 2016.)
浦田 淳司(神戸大)
People's risk recognition preceding evacuation and its role in demand modeling and planning (joint work with Pel, A.J.)
瀬尾 亨(東工大)
Dynamics of ridesharing system under rational mode and partner choices: an agent based model (joint work with Thaithatkul, P., Kusakabe, T. and Asakura, Y.)
柳沼 秀樹(東京理科大)
Parallel implementation of hyperpath-based railway passenger assignment: an application to Tokyo’s metropolitan railway network (joint work with Fukuda, D. and Schmoecker, J.-D.)
日下部 貴彦(東大)
全国規模のプローブカーデータを用いた広域的異常事象の検出手法の構築
原 祐輔(東大)
Network-wide traffic state estimation using a mixture Gaussian graphical model and graphical lasso (joint work with Suzuki, J. and Kuwahara, M.)
井料隆雅(神戸大)
全国規模のETC2.0データの分析
この研究会は数年前に井料さんと日下部さんと自由が丘で飲んでるときに話したあるきっかけを中心に,僕がとあるメカニズムデザインを考えて実施したものです.具体的には,2015年11月のIP秋大会の日記に書いているように,みんながそれぞれ10年で10本のTransportation Researchシリーズに掲載しよう,ということを実現するためのメカニズムでもあります.プライドを捨てて,みんなでガチンコでやりました.
浦田さんは体調が悪くて発表できず,和田さん(東大/現在UCアーバイン)はskype参加するという話をしてたのですが,体調を崩して参加できずと,みなさん年度末で体調を崩されていたのが残念です.
年に1回開催かなーと思ったのですが,参加者の満足度が高かったので,年2回開催にしようということになりました.とりあえず9月に神戸で開催予定!さて,次までに・・・.
2017/02/13-03/20 David Parkes先生と共同研究@Harvard University
2月,3月の期間にメカニズムデザインで有名なDavid Parkes先生のラボに滞在し,共同研究をした.David Parkes先生とお会いしたこともないのにいきなり行きたいとメールをして,受け入れてもらい,しかもボストン(ケンブリッジ)に行くのは初めてで,加えて2, 3月という寒い時期で,どうなることやらという感じであったが,結果からみると大変知的刺激に満ちた日々を過ごすことができた.
アメリカの大学なので当然ながらDavid, Yusukeと呼び合う仲になるわけだが,Davidは大変気さくな人物で,ph.d studentにも大変丁寧な議論をしていて,visiting researcherである私とも毎週2回程度のディスカッションを定期的に行ってくれた.これは時間を使ってくれるという意味において,大変丁寧な対応をしていただいたと思う.
もちろんディスカッションは雰囲気はなごやかであるが,かなり厳しいディスカッションを毎回行うことになり,「こういうことを考えてきた(数理モデル化してみた)」と発表して,「うーん,それじゃだめだ.こういう問題がある」だとか「問題を捨象しすぎていてそれは解けるが面白くないモデル化だ」というつっこみをもらい,「じゃあ次回までにもう一回考えてくるわ!」みたいなことを全員で繰り返すという感じであった.議論にはDavid, ポスドクのFei, Ph.d studentのHongyaoの4名で毎回行い,毎回発表し,議論する感じでとても良かった.
僕は学生時代からポール・グレアムのこの文章が好きで(日本語訳はこっち),大変ケンブリッジという場所に理想を抱いていた.ある意味で,その理想はまったく崩れることなく,知的首都たろうとするケンブリッジ(そしてハーバード,MITの人たち),そして研究・勉強以外に何もやることのないケンブリッジというまちの雰囲気は本当に良いところだと思う(そして,進学できなくなった学生が鬱になるというのもわかる気がする).喫茶店でも,本屋でも,大学内のちょっとしたスペースでも,本やPCを開いて研究・勉強をしている人たちというのは,自分への投資というものが本当によくわかっているように感じた.ついでにいうと,大学内にもちょっとした勉強スペース,ベンチやソファや机,ホワイトボードの数が大変多いなぁと思う.
学内でのカフェテリアにて,隣のテーブルの会話に耳をすます.「昨日Natureにacceptされたぜ!」「Wow! Congratulations!」
これぞ正しい意味でのアカデミアなんだろうと思う.「就活どうよ?」でも「○○って講義,単位とりやすいらしいよ」でもない.
東大は土地がないのはわかるけど,もう少し学生の溜まり場(遊ぶためではなく,研究や議論をするための)があっても良いんだろうなぁと思った.もちろんそういうスペースをつくろうとしているのはわかる.1号館前なんて公園的雰囲気で,いろんな人たちがゆったりとした時間を過ごしていて,あの姿を眺めるのは結構すきだ.
Davidとやっている研究は,うまく論文化して,CS系カンファレンスで発表したいなぁと思っているし,今後も定期的に訪問して議論したいと思った.本当に知的に刺激的な日々だった.
2017/01/31-02/01 さきがけ領域会議3回目
1期,2期の研究者の方々とは随分仲良くなり,かなり踏み込んだ議論ができるようになってきている.加えて,3期の研究者の方々がこれまた刺激的な研究をされていて,eye-openingな発表ばかりであった.だんだんとこの領域のカラーがわかってきて,将来的にどういう研究グループ化ができそうか,考えるだけで面白い.
幅広い研究分野であるが,相対的に近いのは笹原先生(名古屋大学),江崎先生(NII)といった計算社会科学や複雑系の研究者で,これらの分野は自分が所属している普段の研究コミュニティとは遠いはずだが,それでも相対的に近いというのがこの領域の幅広さを感じさせる.あとは,仲谷先生は既に著作を読んだことがあり,一般向けにあのような面白い本を書ける研究者の方とじかに話せる機会は楽しい.触覚系研究者は本領域で一大勢力であり,どの研究者の方々も面白い研究をなさっている.
あとは,自分の最も近い分野では,廣井先生(東大)がさきがけ研究者になられていて,いろいろコラボできたら楽しいなぁと思う.今回は廣井先生は別件の用務で領域会議に参加できなかったので,次回以降に研究のお話と議論ができたら楽しい.
領域会議は,領域によって厳しかったり,辛かったりするという話をよく聞くが(そして本領域も必ずしも甘いわけではないが),先鋭的な研究者が集まり,ただひたすらに研究の話ばかりをしている領域会議の空間はとても心が洗われるので,私個人としてはとても有意義で好きな時間だ.もちろん研究進捗を進めなきゃいけないし,つまらない研究をしたらつまらなそうな顔を皆さんにされてしまうし,そういう意味で緊張感はあるのだけど,研究の面白さそのもののみに起因する緊張感であるので,学会などで得られるものとはまた種類が異なり,とても良いものだと思う.
2017/01/19 メカニズムデザインの研究会@豊田中央研究所
早川さん, 志賀さん(豊田中研)にお誘いいただき,Sebastian Stein先生 (Univ of Southampton), Enrico Gerding (Univ of Southampton)先生と議論をする機会を頂く.自分のこれまでの研究を説明するとともに,お二人の研究を聞いて,かなりいろいろとアイデアが湧く.
特に,Sebastianの研究やモチベーションは,近年の自分の研究やモチベーションにとても近く,UXの観点からauctionを考えるアプローチが自分のpreference elicitationの実験にとても近い.彼らも実験室実験をやっているし,研究全体のフレームワークを含め,とても自分好みだと感じた.今後も連絡をとって,うまくコラボレートしていきたい.また,豊田中研の方々も,私のマニアックなメカニズムデザインの研究を面白がってくれる有難い方々なので,ちょくちょく情報交換と研究の議論をしたいと思っている.
2017/01/05 2017年あけましておめでとうございます&私の2016年
毎年,年が明けるたびに20xx年か,この表記に慣れないな,と思う.
年末に芝原くん(乾久美子建築設計事務所)が私の2016年ってまとめをつくっていて,良いまとめだなぁと思ったので,とりあえずパクってみる.記憶を頼りに適当に書いてみる.
1月:記憶がないが,選好誘出の実験システムをつくっていた気がする.じゅんぺーとがっきーの修論と高安さんの卒論の相手をしていた.ISTTTのextended abstractを書いていた.計画学50周年の打ち合わせしてた.下にも書いてるようにさきがけstartup101に参加してた.この参加は夏のシリコンバレービジットに役立つ.
2月:卒論&修論シーズン.選好誘出の実験してた気がする.初めてKDDに論文書いてみた(落ちたけど).さきがけ交流会参加した.カオス関係を気にいる.
3月:追いコンシーズンで飲み会多し.スパースモデリング関係を集中的に勉強.工学がどんどんメタ化していく現場を目の当たりにし,自分の方向性について考えてみる
4月:熊本地震が起きる.研究室で急いでデータをかき集めて分析をする.2回目のさきがけ領域会議.良いコメント・ご指摘を頂きホクホク.なんか全体的にすごく忙しかった気がする.記憶がない.
5月:計画学春大会.熊本視察.さきがけ省庁意見交換会.井料科研の打ち合わせなど.外に出ていた.計画学50周年がそろそろヤバい.
6月:行動変容と社会システム研究会にお呼ばれし,NAISTの方々と知り合いになる.これが11-12月のアデレードに繋がるので,人生,何がなにやらよくわからない.DDSSでオランダ行ってティマーマンの会議に参加.都市計画・交通・建築の合いの子のような会議.予定表をみると学生打ち合わせばかり入っている.それと計画学50周年.
7月:計画学50周年のメールが飛び交っていた記憶しかない.
8月:計画学50周年の準備に追われていて死んでいた.その間をぬって,シリコンバレーと台湾の新竹にショートビジット.研究と通じるもの,相容れないものなどを自分の中で咀嚼.シリコンバレーのマインドは好き.機内の移動中に死にながらISTTTのfull paperを書いた記憶あり.最終日に山西先生とサンフランシスコの空港に早く着きすぎて(といっても深夜1時の便とかだった気がする)空港のカフェで8時間くらい仕事してた気がする.そのときも死にそうになりながら論文書いてた.
9月:全国大会での計画学50周年イベント,そして本番の計画学50周年シンポジウムがあり,忙しさで死ぬ.あ,行動モデル夏の学校もあった.Mosheは偉大な人.偉大な人はなぜ人格も偉大なのだろうか?因果が逆なのかどうなのか.○○円の研究予算なんてピーナッツという話が相当ウケた.この数ヶ月は本当に研究らしい研究をしていなかった気がする.
10月:仕事がひと段落したので,研究に戻ってくるつもりだったが,父が倒れたり,東大への異動の準備があったりしてバタバタしていた.しかし,計画学50周年が終わったので言い訳をしてはいけないと思い,1本を国際ジャーナルに投稿.
11月:東大へ異動したが,そのままアデレードへ移動.ハッピー研究月間.そういえば計画学秋大会とかもあった.これで計画学50周年イベントも終了.若手会での隅っこの方での飲み会が楽しかった記憶がある.
12月:アデレードハッピー月間からの帰国.羽藤研冬合宿.草也が元気でバリバリ働いていて話が面白かった.
こうやって見ると,3/4くらいバタバタしていて地獄感があるが,11-12月のアデレードで全てが帳消しになっており,終わりよければ全て良しみたいな年であることがわかる.とはいえ,研究に集中していたかというと年間の半分くらいは調整業務ばかりで研究どころではなかった.これもあなたの仕事です,というのはわかるんだけど,そんなことをしてていいのかとずっと悩む日々であった.何人かの上の年代の先生方から,自分の時間はどんどんなくなる一方なので,いろんな人に嫌われてもいいから,自分のやりたいことに集中しなさいと言われた.ということで,少し精神的鎖国気味で,まずは自分の研究をやろうというのが2017年の目標です.一方で,いろんなところに飛び込んでやったことはその後で少しずつ芽を出しているものもある.そういうものを大切にしたい.
8月のダウナーな気分のときにシン・ゴジラを見て「私は好きにした,君らも好きにしろ」というメッセージが心に響いた.庵野総監督も好きにしたのだろう,なんともパフォーマティヴな作品だなぁと思った.
最後に私の某月のツイートから引用.「個人的結論としては、メタな与太話はもう良いので、みなさん自分の研究を進めましょう」
2016/12/21 アデレードから帰国しました
控えめに言って,アデレード生活は最高でした.2016年の中盤頃に大変つらい思いをしていた気がしますが,この1ヶ月はただ研究とそれに関連する議論を行なっているだけという幸せな日々を送っており,なんというか終わり良ければ全て良しみたいな気分になっています.Mingyu先生,NAISTの畑先生,諏訪先生,北側くん,Jasonさんなどアデレードでは大変お世話になりました.Mingyuさんは研究の議論にかなり丁寧に付き合ってくださるので,向こうでの議論を次は研究として進めるために,日本でやるべきことがいっぱいあります.
控えめに言って,太りました.これは不可抗力です.
2016/12/10-12 21st HKSTS conference@香港
自分の発表や学生さんの発表があったので,久々にHKSTSに参加(3回目).行きはアデレードから乗り換えなしでいけましたが,帰りはシドニー経由でした.発表内容は松田さん,岡崎さん,乾さんのNLPグループと共同でやっている研究をとりあえず現状を発表してきました.プローブとソーシャルメディアを融合して,交通状態の原因まで理解しにいきましょうという研究です.ちょっと忙しくて最近止まっているので本当はもう少し進めないとなーと思っています.
HKSTSは香港なので,Yang Haiがいたり,Yafeng Yinがきていたりとgreat professorが多いのが魅力.また香港や中国,欧州の若手研究者も多く集まっているので,活気があって良いですね.2日目がsocial tourでポッカリと空いている謎スケジュールではありましたが.
日本からも東工大の朝倉研グループや福田先生,東北大の長江さん,桑原研グループ,東大の羽藤研グループなどが主に参加していて,一緒に飲んだり食べたりしておりました.
中西さん(東工大)と話をしながら,その議論の中で「一般的な定式化とより狭いレベルでの実計算をしている論文はどう思いますか?」という質問をされて,中西さんはあまり納得がいかない様子でしたが,私個人としては全く問題がないと思っています.というのも,定式化を考える段階で,そのあとのデータの制約やその他もろもろの制約を考える必要はなく,定式化段階では数学的な性質のみ議論するべきだと思うからです.これは理論研究者と応用研究者の視点の違いによるもの(どちらに関心があるか)ではないかと思います.定式化はある意味で,クラスの定義のようなもので,具体的な問題はインスタンス化に過ぎません.応用研究者からすれば,どうせインスタンスはアレなのに,こんなに一般的に書く必要ある?と思うわけですが,理論家としてはなるたけクラスは一般的に書いておこう,というつもりなのではないでしょうか.別のインスタンスがでてきた場合も,ちゃんと一般化しておくことで,あの問題のサブセットだ,とわかるわけですし.
たとえば,物理出身の井料さんなんかと話していると,「よし,世の中にあるすべてのデータが仮にものすごい精度で観測可能になった社会を考えて,そこから何ができるかを考えよう」みたいな議論をよくします.これは現実の手元にあるデータから考える発想では,到底たどり着けない議論の仕方です.
どちらが良いとか,どちらが悪いではなく,各研究者や論文がどのようなスコープでその問題にタックルしているのか,ということで視点は大きく変わると思います.もちろんそれらの視点を行き来できればなお良いですし,私個人としてはそうありたいと思います.
2016/11/23 Mingyu Guo先生のラボ滞在@The University of Adelaide
本日から1ヶ月ほどMingyu Guo先生のラボに滞在.モビリティシェアリングオークションやそのシステム実装について議論を行なっています.うまくがんばって1ヶ月の滞在で論文を書きましょうという話をしているので集中してがんばる予定.Mingyu先生,初めてお会いしたのだが,めちゃめちゃ良い人.AAMASやAAAIに通しまくっていてすごい.Mingyu先生曰くEC (ACM Conference on Economics and Computation)が一番難しかったらしい.ここらへんは自分は読む専門で出したことがないのだけど,面白い論文がいっぱいあって個人的には大変好み.同時期に畑先生(NAIST)だけでなく,諏訪先生(NAIST), Jasonさん(NAIST),北側さん(電通大)もいらして,知り合いになりました.おそらく2016年のいろんな出来事を鑑みるに,この1ヶ月はどこかで失った数ヶ月を回収するためのボーナス研究月間であると考えているので,研究だけがんばろう.
諏訪先生と話をしていて,オープンソースコミュニティをどう捉えるかみたいな話題が面白いなぁと感じていた.彼らを動かしているのはいわゆる金銭的なインセンティブではなく,逆に金銭的インセンティブを与えてしまうと壊れてしまうという話(なんとも行動経済学的だ)や,オープンソースコミュニティにおけるコミッターの役割,特に非常に属人的であることなどは,いわゆる建築やまちづくりの属人性と非常に似通っているなと思ったりした.現状はマニュアル化を進めること(属人的であることを回避すること)が本流のようだが,揺り戻しが来るのではないかみたいな話をしていた.
2016/11/04-06 IP秋大会@長崎大
記念すべき計画学50周年ということで,長崎での初開催.長崎大の先生方,学会準備・運営などありがとうございました.長崎は良い町である.天然のコンパクトシティというと語彙力のなさがアホっぽいが,高密度に市街地が集中している.また,山の上からの眺望が心地よく,亀山社中記念館へ行く道からの視点が個人的には好き.飯もうまい.長崎駅の駅ビルの中にあるカフェ&バー ウミノのミルクセーキとフルーツサンドがヤバうまい.特にフルーツサンドがすごい.フルーツサンドというと個人的に邪道っぽくてあまり食べたことがなかったのだが,ここでフルーツサンドに対する偏見を反省.長崎に遊びに行った方は是非行った方がよい.
学会自体は50周年記念行事も4回のシリーズも無事終わり,私はお役御免ということで,よかったよかったという感じしかない.夏はそれらの準備でバタバタしていて,久しぶりに秋大会で発表しなかった気がする.D3のとき以来かも.
一方,共著では学生さんの発表として,高安さんのソーシャルネットワーク上の情報伝播のモデル化と川崎さんのプローブデータ同化シリーズがあり,あとは熊本地震関連の分析を桑原研・井料研合同で行い,みたいな感じ.高安さんの研究はここ数ヶ月くらいで始めたばかりの研究だったのですが,瀬尾さん(東工大),井料さん(神戸大),力石さん(広島大),倉内先生(岐阜大),大窪さん(埼玉大),中西さん(東工大)と良い布陣の方々からご質問をいただき,大満足でした.
若手会では力石さんとずっと話していて癒されていた.やはり力石さんの研究テーマは好みだなぁ.私の周辺の若手もだいぶ層が厚くなってきた感がある.加えて,全体的に仲が良いのがとても良い.
翌日は柳沼さん(理科大)と何の研究テーマが次に面白くなりますかねぇなどとイチャついていた.完全に癒されモードである.
2016/11/01 東大社基に異動しました
学生時代は都市工(工学部14号館)の住人だったので,工学部1号館にいることが不思議.同じ助教に都市工時代の同期の水谷くんがいて,2人でウケる〜って言ってた.彼は優秀なアホ.
東北大時代は桑原先生の下で様々な経験を積んで,一回り以上に成長できた気がする.あと赤松研時代のポスドクは最高であった.いろんなところに顔を突っ込んで,異分野の友人/知り合いも増えた.学生さんとも面白い研究ができたので本当によかった.
東北大時代は交通研究寄りだったので,そろそろ都市的な研究テーマに戻ってこようと思う.なんぼでもやりたいことはあるので,時間をうまく使ってがんばらねば.
2016/10/24 Entity linkingとか
問題設定としてのEntity linkingは個人的には大変好みで,なぜ好みかというと使えるもの(知識)は使いましょうという思想と,意味ネットワークにおけるtripleの発想である.もちろんテキストだけでどこまでできるかという研究の重要性は一向に変わらないのだけれど,コーパスを用いたり,統計的機械学習を用いている点において構造化されていない知識を使っているわけです.であるならば,構造化された知識があるのであれば(たとえばDBpediaとか),使うというのは自然な発想のように思える.語義曖昧性の解消って楽しいし.
松田さん(東北大)といつも話していて楽しいのは,そこらへんのことをいろいろ質問できるからだと思う.場所参照表現のグラウンディングの研究も,言語処理における問題と考えることもできれば,人間の空間認知のフレームワークに起因する問題と考えることもできる.これは出口から攻めるか,入口から攻めるかという問題なのだろう.
言語における分布仮説に類似する考え方で,都市をいま切り取るような研究を少しずつ進めている.文脈というのは何なのか,意味とは何なのかを考えることはどのような分野においても重要ではないだろうか.
どうでもいいが,松田さんと飲んでいて,未踏経験者ということを初めて知り驚き.知り合って2年以上経つのに隠していたとは・・・.みなさん,いろいろ素晴らしい経歴をお持ちだ.
2016/10/08 サイエンティスト・クエスト@日本科学未来館
研究のアウトリーチ活動として,日本科学未来館のサイエンティスト・クエストというイベントで一般向けのトークをしてきた.このサイエンティスト・クエストはかなり難しいシチュエーションで,未来館の常設展にあるブースの中で研究の話をするのですが,常設展内にあるので入退出自由という状況なわけです.これは結構プレッシャー.喋ってる間に出て行かれると悲しいし,立ち止まって聞いてくれると嬉しい,みたいな.
もちろんブースの中には数十人が座れるクッション性の椅子があって,ちょっと立ち止まって聞いてくれてる人をどうやって椅子のスペースまで引き込むか,みたいなところをサイエンスコミュニケータの西岡さんと一緒にがんばっていた.
内容は45分のトーク×2回で,「都市ってなんだろう?」という話から都市行動観測の話,それで政策にどのように用いるのかの実例という3つの内容でストーリーをつくりました.延べ80名以上の方が参加していただいたみたいで,とても良かったです.
未来館というと,自分が学生の頃から遊びに行って刺激をもらっていた大好きな場所の一つです.そこで,運営側として研究の話ができて,遊びにきている人たちに刺激を与える側に回れるなんて,感慨深い感じがします.今後も未来館とコラボできることがないか,いろいろと考えてみたいです.都市の中にある一つの実験施設と考えれば,私の研究との接点は大きいはずなので,何か面白い出し物を考えて,それが実験にもなっていて,研究にも使える,みたいな良いアイデアを考えたいですね.
2016/10/01 9月オワタ
なんかこの数ヶ月の記憶があまりないわけですが,研究がんばろう.
2016/08/21-25 さきがけショートビジット@シリコンバレー
さきがけの一環で,シリコンバレー・サンフランシスコのショートビジットを行い,大学(スタンフォード大学,UCバークレー),企業研究所(パロアルト研究所,SAP Lab),ベンチャー関連(インキュベーションのPlug&Play, ベンチャーキャピタルのDrapers Nexus, ベンチャー企業としてAirBnBやflydataなど)に訪問し,様々な議論をするという取り組みがあった.一種の合宿.
話で聞くシリコンバレーと自分で見る/話すシリコンバレーは大きな違いがあり,皮膚感覚をもって認識できたのは良かった
滞在中のキーワードはオープン・イノベーションとデザイン思考.Stanfordのd.schoolは面白かった.オープン・イノベーションの提唱者であるヘンリー・チェスブロウ先生と議論ができたのも良い経験であった.
もう一つ良かったのはベンチャーキャピタルの方と議論をしたり,Plug&Playのビジネスモデルを知れたこと.これらを感覚的に理解できたことは大きいと思う.あの空気感は日本では感じられないと思う.とにかくスピード感が重要.失敗の数は勲章.失敗が少ない人はダメ.この価値観はとても好みである.
最も良かったのは一緒に行っていたさきがけ研究者と仲良くなり,腹を割った議論ができたこと.いろいろと共同研究に進展できるようにしようと思っています.
2016/06/15 第1回行動変容と社会システム研究会@NAIST
NAISTで開催された第1回行動変容と社会システム研究会において,畑先生(NAIST)からご招待いただいたので,モビリティシェアリングオークションのお話をしてきた.今回の研究会は全くのアウェイで,知り合いの方が一人もおらず単身乗り込んだのであるが,熱心に話を聞いて頂いただけでなく,様々な質問をしていただき,大変楽しい研究会でした.主査の荒川先生(NAIST)にも大変感謝です
行動変容と社会システムという切り口で,様々な分野の方が集まったのですが,行動変容のためのインセンティブ設計をどのように行うのかが焦点でした.これまでのHCIやUXの研究分野からは,人の行動変容は起こせるがそれが社会的に最適かどうかは(まずは)考慮しないという視点から研究が始まっていて,一方で,メカニズムデザインの分野では,ゲーム理論を基本とするため,合理的な個人であれば社会的に最適な状態を実現できるメカニズム設計を(まずは)考えるという視点から研究が始まっています.
そして,現在,両者は近づいて来ているように私個人は感じていますし,メカニズムデザイン的UXや行動論的メカニズムデザインという分野が生まれつつあるのではないでしょうか?私の一大関心であるところです.
インセンティブの与え方について,私の分野的には経済的インセンティブを考えがち(古くはロードプライシングのような)ですが,Fun Theoryのように別の考え方もあるような気がしています.そして,ゲーミフィケーションはうまくいく場合といかない場合があるような気がしていて,ゲーミフィケーションって過剰な競争(ランキングなど)をやりがちなのですが,本来はもうすこしゆるやかなゲームの方が本質的なのではと思ったりしている日々です.
とにかくこのような機会を与えて頂いた荒川先生・畑先生に大感謝.今後も関わっていきたいと思います.
2016/06/11 TSUセミナー@東工大
福田先生が開催したTSUセミナーに参加.内容は経路選択モデルの最前線ということで,力石さん(広島大),太田さん(ナビタイムジャパン),岩瀬さん(豊田中研)という講演者でした
力石さん,最近nested fixed point algorithmにハマっているように感じる.かなり面白い発表でした.
2016/06/01 5月オワタ
5月はここに書けないようなことやら,さきがけ関連やら,計画学やら,なんやらで大変な1月であった.やっと終わったので腰を落ち着けて研究できそう
とりあえず一番大変なのは昨年の9月から計画学50周年関連行事の幹事をしていることで,その企画やとりまとめ,調整そして自分のプレゼン資料の準備などで疲弊していた.この手のイベントはどうしても大変である(50年と歴史があると特に)
5月28日, 29日の計画学春大会@北大では,自分の研究発表,来れなくなった学生の代理での発表,50周年イベントの若手SSの司会&プレゼンと2日でどんだけ発表をしているんだという感じで大変疲れた.学会ってこんなイベントだったっけ?
自分の発表(選好誘出の話)はめげずにやり続けて来たことで少しずつ浸透してきたが,まだイロモノ感は否めない.とはいえ,自分はコミュニティの中ではイロモノ役であると自認しているので,今後もイロモノとしてがんばります.いっぱいご質問を頂き,ありがとうございました(張先生(広島大),和田先生(東大),松島先生(京大),織田澤先生(神戸大),早川様(豊田中研)etc)
50周年若手SSでは,私が企画&司会ということで,まず企画意図と交通分野のフロンティアの整理を発表させて頂き,次に山口先生(京大)から景観分野のフロンティアを,塚井先生(広島大)からは計画学分野の研究発表の変化についての発表をいただきました.終了後も様々な先生方から良かった/悪かったという意見を頂いており,この手のシンポジウムで全員を満足させることは難しいかと思いますが,私の意図は私がターゲットとしていた方々へ伝わったのではないかと思います.今後も4回もののシリーズとして50周年企画は続きますので,生暖かく見守って頂けるとありがたいです(疲れてるね!ビール飲もう!とお声がけください)
2016/04/21-22 さきがけ領域会議2回目
2回目にして,同じ領域の研究者の方々とだいぶ仲良くなった(気がする).本領域は情報科学のみならず,脳科学,生命科学,医学,触覚,センサ,HCI,動物科学や自分の都市計画・交通計画などなど多様な分野の人間が集まっていて,なかなか共通言語が見つからないかなと思っていたのですが,みなさん頭が柔軟な方がたばかりで発表には質問しまくるし,懇親会でも永遠と研究の話をし続けるし,という感じでとても楽しい.ビバ,研究者人生.
名工大の田中先生の研究室と名古屋大の新津先生の研究室訪問をさせていただいた.機械系の研究室というものにおじゃましたことが初めてで,なるほどー研究室がこういう感じになっているのかとか,普段の研究生活はこんな感じなのか,だとかいろいろ思うことがあり,とても面白かった.情報系の山西先生と一緒に「うちら,訪問して頂いてもデスクにPCあるだけで,全然見せれるデモとかなくて辛いですよね」という話で盛り上がっていた.
2016/04/06 科研S打ち合わせwith井料さん
科研Sの桑原・井料チームで今後の方向性についての打ち合わせ
非日常時の状況下における交通ネットワークと情報伝播ネットワークの関係性をやりましょうという話に.所要時間情報や危険度情報,通行可能情報がマスメディアを通じて展開される場合とソーシャルネットワークによって自立分散的に展開される場合では,その後に発生する交通状況は異なるでしょうという仮定のもとで,新たな配分原理も見据えてやっていきましょうということになった.
井料さんと打ち合わせをすると癒される(10歳も年上の研究者であるが…)
2016/03/06-08 スパースモデリングチュートリアル・公開シンポジウム@神戸大への参加
新学術領域スパースモデリングの公開シンポへの参加.特に私は領域メンバーではないですが.
チュートリアルは赤穂さん(産総研)企画のMCMC関連チュートリアルで福島先生からレプリカ交換モンテカルロ法のお話を聞けたのはありがたかったですね.最適化に用いるSAの発展系みたいな話もあって,ちょっと実装して使ってみるかという気分になるような良いチュートリアルでした
公開シンポジウムの方も面白く,物理屋さん,神経科学,医療系,地球科学,物質科学など様々な分野の方々の話を聞けたので満足でした.物理屋さんの話は面白いなぁといつも思う.物理屋さんと情報科学屋さんは思想こそ違えど,侵略型研究分野だと私は感じていて,物理屋さん的アプローチによる侵略は社会物理学や経済物理学的アプローチ,情報科学屋さん的アプローチによる侵略は昨今のビッグデータ,AI関連(つまりは機械学習)だと思っている.
岡田先生のマテリアルズ・インフォマティクスの話を聞いていて思ったのは,やはり「機械学習は(一時期の)OR(の役割)である」ということ.これは私の持論なのだけど,オペレーションズ・リサーチはORの分野の人たちはその手法論を当然洗練させたわけだけど,他分野の人たちからは「効率化のためのツール」として利用された.それは当然であって,その名の通り,「オペレーションズ・リサーチ」なのだから.一方で,機械学習もその流れを組んでいて,機械学習の研究者は今まで通り機械学習の手法を洗練させれば良いのだけど,他の分野の人たちからは線形計画法と同様,「知っていないとお話にならない効率化のためのツール」へと変貌している.そういう意味で,産業界や応用に携わる研究分野からは「昔のOR的役割・位置付け」になっていると思う.
そこらへんを取り違えて,機械学習は嫌いだとか古典的統計学に取り付かれ続けている人たちが一部の分野に亡霊のようにいて,そこらへんの人たちのマインドはよくわかんないな,と思う一方で,ツールをどう使うかにはやはりモデリングセンスが必要である
今回のシンポジウムは知り合いもおらず,一人で聞きながら自分の研究も含めていろいろ考えていた.ここに書けないようなことも考えていたので,参加は有益だったと思う
2016/02/17 修論・卒論発表終了
2/10に修論発表,2/16, 17に卒論発表があり,桑原研からはM2で鈴木くん,稲垣くん,関塚くんの3名が無事修了,B4は大石さん,高安さんの2名が無事卒業となった.おつかれさまでした!
桑原研の学生は計画コースの中でもトップレベルの成果を出しているんじゃないか思うわけだけど,身内びいきがあるかもしれない….今後もこの流れを続けていきたいですね.
2016/01/12 start up 101
さきがけの企画でstart up101があり,いくつかのベンチャーの話を聞いた.なるほどなぁと思うこともあり,?となることもあったが,起業というのは研究と類似する部分はある(当然異なる部分も多くある)
今回の話で初めて知ったこととして,ベンチャーとは中小企業と違うということであり,Exit戦略を持っているものがベンチャーという話だった.スモールスタートとしているのはベンチャー的な企業であるとのこと.
さきがけのメンバーでも起業している方は川原先生や玉城さんなど何名かいるし,他にも何名か続くかもなぁと思った
2016/01/01 新年
気付いたら2016年で早い.年末年始にはH・サイモンのシステムの科学を再読していて,現在のNNブームなどと当時の雰囲気はとても近かったのではと思ってみたり.新しい論文を読むことも重要だけど,古典を読むのも良いですよ.
2015年は山にばっかり登っていた.全部で24回山行をしていた.いわゆる百名山は10座しか行っておらず,基本は丹沢をホームとしている.山を歩いている時間は考え事ばかりしていて,大体その時間に研究方針の整理をしたり,論文の方向性を考えたり,研究のアイデア出しをしたりしている.私にとって大切な時間である.
2015/12/07-11 NIPS@Montreal
はじめてNIPSに参加してみた.記号創発ロボティクスの谷口先生(立命館)や松井先生(統数研),小宮山さん(東大)などとお知り合いになってた.東北大からは田中研の片岡さんも来てた.片岡さんは卒業した花岡君のGGM関連の研究を進める上で,いろいろと議論した中で,モントリオールで一緒にステーキ食いに行ったりした.
NIPSは当然ディープラーニング真っ盛りという雰囲気で,どれだけ深く層を重ねたんですか…みたいな研究発表のポスターを見たり,個人的にはディープラーニングより関心がある劣モジュラ関連の発表などを興味深く聞いていた.NIPS名物の夕方から深夜まで毎日やるポスター発表などを見ながら,研究者にとって一番重要なのはスタミナだなと思ったりしていた.
WSも最後まで参加する予定だったのだが,祖母が急逝し,急いで帰国した.現地時間の金曜日の朝に親から連絡があり,なにはともあれ急いで空港へ行き,祖母が急逝したので帰国したいと変更お願いしたところ,(大変ではあったが)UAとANAは快く変更してくれた.思い立ってモントリオール空港へ行き(日本時間で金曜日の夜),土曜日の21時頃には成田に着いていて,地球は小さくなったのだなぁと感じた次第.告別式に間に合って良かった.
そんなこんなでNIPSのメモをきちんとまとめられずにいるので,時間をつくって自分用のためだけでもまとめないとと思っている.
2015/11/25-28 IBIS2015@つくば
今回のIBISでは,知識発見のあり方について瀬々先生(産総研)のお話と劣モジュラ・離散最適のお話(相馬さん(東大),垣村先生(東大))が楽しみであった.得るものがあり,大変勉強になった.自分が考えている問題に落とし込みたい
あとは河原林先生(NII)の話はすごかったですね.シリコンバレーとスーパーエリートの「研究課題」「データ」「資金」提供の関係性,GoogleやFacebookが理論研究者を抱える理由(うまくいかなかったノウハウが得られることの重要性),日本のvisibilityを上げる話,東大計数の教育の良さなど.
アルゴリズム・理論(STOC, FOCS, SODA),DB(SIGMOD, VLDB),DM(KDD, WWW, WSDM), ML(ICML, NIPS), AI(AAAI, IJCAI)の関係性,理論からは他にいけるなどの話.
情報科学分野の分野間の関係性はしましま先生(産総研)のこの図がわかりやすい
若者の能力として必要なのは次の順「アルゴリズム」「(組み合わせ)最適化」「実装力」「ML, AI, DB, DMの知識」であり,逆はありえないなど.
35歳までにすごい人じゃなかったら,もうその人はすごい人じゃない等のぶっちゃけトーク話もあった
全体的に若い人をどうやって育てるかという話が中心で,すごく良い話だった.自分の所属するコミュニティでこのようなことを考えている人は少なそうで(逆にコミュニティをどう生き残らせるかという内向きな話にみんな関心がありそうだ…),おそらく今回の河原林先生の話を聞いたとしても通じなそうなところが残念.
2015/11/24 by機械学習 of機械学習@日本学術会議
杉山先生(東大)の小サンプルデータからの学習の話,河原先生(大阪大)の劣モジュラの話,佐藤先生(東大)のベイズ的最適化(Mockus, 1978)の話,竹内先生(名工大)のSelective Inferenceの話,岡野原さん(PFI/PFN)の話,鈴木さん(NRI)のビッグデータあれこれなど面白い話が多く,参加したかいがあった
パネルが個人的に面白かったのだが,フロアから賀沢さん(Google)が質問をされていた「二次元ならプロットしてみてこれは回帰してはダメだということがすぐわかるのに,高次元になるとデータが見えなくなることが問題」というのは印象的であった.あとは深層学習でアホ化する話とか(とりあえず層を増やしてみるかetc)
2015/11/21-23 IP秋大会@秋田大
領域会議から連続で計画学に参加.流石に移動とプレゼンが連続すると疲れる.自分はVTの確率的拡張の話を,川崎さんとの共同研究ではVTのデータ同化的アプローチの研究の話を,稲垣君との共同研究では施設集積の話を発表してきた.それぞれ質疑も盛り上がり,次に向けての課題も見えて来た感じ.
計画学ではこの9月からついに幹事になったので,2年間の任期中は学会のお仕事もある.特に来年の50周年記念企画関連の担当幹事なので,学会中は来年お世話になりそう(ご迷惑をかけそう)な先生方にいろいろと挨拶したり,ネゴったり.大人な仕事である.
今年の招待講演は赤松先生・大澤さん・長江先生・山口さん(東北大)の震災直後のガソリン不足をタンカーによる輸送記録から克明に明らかにした研究と羽鳥先生(愛媛大)の公的討議の研究.どちらの招待講演も大変勉強になった.特に羽鳥先生の話にあった議論を避けるための思考停止というのは私自身あるあるである.
若手10人が今後10年間でそれぞれがTransportation Research 10本(10人で計100本)publishされれば,国際的には相当なインパクトがあると思うが,それをどのようにして実現すべきかという話を羽藤さんとしていた.この話は研究拠点(=優秀な研究者)が国内にいっぱいできれば,後進は自動的に育つみたいな話だと思うし,面白いことをしていれば人は集まると自分も思うので,最初の第一歩をどのように実現すればよいのかという話だと思う.どうしても根性論的な話になりがちなので,もう少し戦略的にやる方法も考えたい..
何事もオープンマインドの方が良いと思うが,カルチャーというのは連綿と続くものなので,コミュニティの思考回路を変えることは難しい.成果主義となった会社が自身の評価のために後進にノウハウを教えなくなり,会社自体が崩壊するという話もよく聞く.それぞれががんばった結果できる場と意識してつくった場の質はおそらく違うと私は思う.
2015/11/19-20 さきがけ領域会議
最高に刺激的だった!初めて聞く話ばかりで,それぞれのアイデアを聞くたびに,そんなことができるのかと驚かされるばかり.自分も皆さんの話を聞いているだけで,これをやろう・あれをやろうとアイデアが溢れてきたのでガンガン実装していきたい.自分も負けないようにめちゃめちゃがんばろう.
2015/11/07-08 都市計画学会@宮崎
久々に都市計画学会に参加した.現在,交通工学の研究室に所属していることもあり,あまり都市っぽい研究をしていなかったので,都市計画学会に投稿できておらず,結果として足が遠のくという感じだったのだが,昨年から修士に来た稲垣君が都市的テーマをやりたいということで,中心市街地の店舗の集積メカニズムについての研究をしてきた.で,それをこの4月に投稿し,無事アクセプトされたので,久々に都市計画学会に参加できた.よかったよかった.
久々に来て改めて思ったのは,都市計画学会は土木計画学とも(もちろん交通工学とも)違う側面を持っていること.それにはもちろん良い面もあり悩ましい面もあるのだろう.しかし,都市計画学会はある意味で理系的ではない(数理に落とし込まない)研究が盛んに行われていて,そういう研究の話を聞きながら,そのメカニズムを数理的に落とし込むのは自分の役割かなと思ったりする.別にみんながみんな,数理をやらなくても良いし,普遍的でなくても良いのだと思う.
都市計画学会のシンポジウムで今後の都市計画論文はどうあるべきかというシンポジウムがなされていて,それを聴講していた.「都市計画というのは具体の空間に対する研究にならざるを得ないので,その結果として帰納的な研究になりがちである.それは良いのか悪いのか」という問題提起がなされていたように感じた.おそらく現在の研究世界の潮流としては,普遍的で誰もが共通の言語(=数理)で理解でき…というのが一般的な研究なのだろう.その潮流に都市計画学会が必ずしも乗っているとは言いがたい.このあたりは昨今の大学の文系に対する扱いと同様だろう.でも,それを潮流に乗せるべきかどうかというのはそう単純な話ではないように思う.
数理というのは完全に共通言語なので,交通モデルであれ,経済モデルであれ,機械学習であれ,自然言語処理であれ,画像処理であれ,基本的には数理的には理解可能なものである.もちろんドメイン固有の問題意識や思想のようなものがあってそれは参入障壁になっているが,少なくともそれらの論文を読んで数理的に理解できれば,何をやっているのかがわかる.一方で,制度研究や歴史研究というのは外の人から理解するのがすごく難しい.その理由は外の人と中の人の間を繋ぐ共通言語がないからだろう.研究の善し悪しを判断するためのものさしを分野外の人が持っていないと言っても良い.昨今の文系に対する批判はそこが一番のポイントなのではないかと個人的には思う.たとえば数理的な研究の場合,既存のモデルを拡張したことで,それによる精度や表現力の向上を定量的に評価し,良さを示すことができる.それは他者からみて,良い研究だねという話になる.その手法は自分も試すことができるし,反証可能性がある.
一方で,制度研究や歴史研究はそうなりづらい.それは研究者が悪いというよりは構造的にそのような種類の研究分野だから難しい.なので,よそ者から見ると,すごい研究者Aが褒めているから研究者Bはすごいのだろう.その研究者Bが褒めているから研究者Cはすごいのだろうという構造になりやすい(研究者ではなく手法でも良いが).そのような伝言ゲームの果てにある研究者Zはすごいのかどうか,よそ者から見るとよくわからない.その結果として,権威主義に陥りやすい.これは可能性が高いというだけの話で,別に数理的な研究が権威主義ではないとも言っていないし,制度研究や歴史研究の全てが権威主義であるとも言っていない.ただ後者の方が権威主義的になりやすい構造を内在しているという話である.そこらへんが現在の問題なのではないだろうか.だから,安易に何でも定量化すべきという話ではなくて,すごいと自分たちが(コミュニティが)思っているのであれば,そのすごさをきちんと説明するような機会をつくった方が良いし,それこそまとまった教科書や分野の概説,チュートリアル,参入障壁を下げることをした方が生産的なのではないかと思う.
私は卒論時代は文献・事例研究をやっていて,数理とは一切無縁だった.その後,数理的な手法を用いる研究者へと移行したが,事例研究や制度研究,歴史研究の重要性を疑ったことはない.しかし,知りたいのに,聞いていてもなんかよくわからない.もちろん自分の知識がないのが問題なのだ.それはそうなのだけど.でも,その知識がどこに書かれているのか,どういう順序で何を身につければ事例研究や制度研究,歴史研究のツボがわかるようになるのか.その道筋がよくわからない.暗黙知になっている気がする.なので,なんかもうちょっと整理して教えてくれると嬉しいなと身勝手に思ったりする.
2015/10/20 もぐら叩きのような日々
冬学期が始まって,雑用量がどーんと増えた.もぐら叩きのように叩いては発生している.他の研究者の方々はどのように対処しているんだろう….リセット願望が高まっている.
学生さんとやっている研究で交通流理論とネットワーク理論の接続みたいなことをしていて,Dialのアルゴリズムやマルコフ連鎖配分を教えたりしている,ここらへん,自分も学生のときに勉強した際に,ちゃんとした意味でわかっていなかったと思う.アルゴリズム的な動きはわかるが,それぞれのステップで計算される値の数学的意味がわかるととても腑に落ちる部分だと思う.
という意味で,学生時代の自分の二の舞にしたくないので,そのあたりを丁寧に説明するようにしているのだが,そうすると大変時間がかかる.論文や本に書いてあるから読んでおけでもいいのかもしれないけど,基礎的な部分を飛ばしてしまうと,結局遠回りだと思うんだよね.毎回打ち合わせをする際に成長が見られるのでそれは嬉しいし楽しい.
2015/10/01 さきがけ研究員採択
本日からJSTさきがけ研究員になりました.領域は九大の安浦先生が研究総括をされる社会と調和した情報基盤技術の構築,私の研究テーマは「都市内の人々の活動・交通行動と施設集積メカニズムの解析技術開発」です.
同じ2期生のメンバーとしては,小林さん(東大),滝口さん(神戸大),玉城さん(早稲田大),寺田さん(神戸大),新津さん(名古屋大),古川さん(大阪大),山西さん(九大)です.さんづけで書いてしまいましたが,准教授,講師の先生方も多く,おそらく私が最年少なのではないかと.とはいえそういうことを気にしないパワフルなメンバーだと思います.
領域内でも研究分野は非常に幅広いので,お互いに刺激を与え合いたいと思います.大変楽しみな3年半です!
2015/09/22 羽藤研合宿@今治
SW中に羽藤研合宿が今治で開催されていて,呼ばれて1日だけ参加.オークション理論の話をしてきた.
合宿中に私の話の直前に協力ゲームの話をしていたこともあって,オークション(or メカニズムデザイン)と協力ゲームの関係性がよく伝わったのではないかと思う.
今治の海沿いで過ごしていて,あー時間の流れ方が違うなぁと思う.山でも普段感じているが.
時間の流れ方が違うところで考え事をしたり,論文を読んだり,研究をするのはとても刺激があると思う.そういう意味では研究合宿とか実装合宿って重要だよなぁ.
2015/08/18 浦田くん・羽藤さん来仙
D論の公聴会が終わった浦田くん(東大)が羽藤さんとともに来仙
福島から仙台まで被災地をまわってきたとのこと.その後3人で,女川を見に行くことに.
女川は国道398号線を境に,現在もかなりの嵩上げ工事が行われていた.
女川駅の新駅舎は坂茂が設計.紙や木をふんだんにつかったデザインで落ち着きのある空間.中には温泉施設も併設されており,近くの少年サッカーチームと思われる大量の小学生が入っていて,地元の人々に利用されていることが見て取れた.休憩スペースもかなり良い.
2015/08/10-13 KDD2015@Sydney
KDDに参加してきました.主目的はUrban Computingの人たちの動向を探るということでしたが,本会議も当然楽しんで参加してきました.やはりトピックモデル,次元削減系の話は好きです.あとグラフ系のセッションがやたら多く,一方で深層学習のセッションはない(自分が出席したセッションでは一つもなかった)ことから,KDDと機械学習系国際会議(ICMLやNIPS)との大きな違いを見て取ることができますね
昨年はICML2014に参加したのですが,ICMLが機械学習の手法に関する国際会議であるのに対し,KDDも手法の国際会議ではあるのですが,あるタスクに対応した手法の会議というイメージがあります.私のこのイメージが正しいのかどうかはML系コミュニティの研究者やDM系コミュニティの研究者からの意見を待ちたいのですが,たとえばICMLは手法そのものの数理的な特性に関する研究が多いのに対し,KDDはRecommendationやWeb miningのタスクの中で発生する共通の問題に取り組むための理論的な研究が多いイメージです.単純に理論/応用(適用)という区分けではなく,階層が異なる印象を受けます
一方で,KDDのI&G (Industry&Government) trackは文字通りDMの応用や適用で,出てきた結果自体の面白さや有用性を議論しています
この3つを並べるならば,
ICML(学習理論のようなやや抽象的問題設定)
KDD Research track(DMタスク内に発生する共通の問題構造に対する手法の有用性重視.データは共通のデータセットやテストデータ)
KDD I&G track (手法そのものよりも出てきた結果が重要.データは実データ)
というイメージでしょうか.次回のKDDからはI&G trackがApplied Data Science trackと変更(発展)になるとのことで,名実共に実データによる応用トラックとなっていくことでしょう.
そしてシドニーでは別の論文の査読対応があり,また会議後はホテルで作業をするという辛い感じの生活をしており,学会参加→ホテルで作業の流れが定常化しつつあります.まぁギリギリ英文校正に出すのに間に合ったのでよかったのですが….
2015/08/05-07 21st ISTTT@神戸
今年のISTTTは日本開催ということで,桑原先生,朝倉先生,喜多先生がChair,井料さんがsecretary
若手は日下部さん,和田さん,私がサポートチームということで,無事開催・終了できました
たくさんのご参加を頂き,スタッフの一員としてありがたき幸せです
ISTTTは36本の論文のシングルトラック発表という国際会議には珍しいタイプ(そうでもない?)で,200名近くの参加者の前で36本の著者全員が発表します.なので,パラレルだから聞けないということもなく,発表者が全員に顔を覚えてもらえるというメリットがあります.あと海外の大御所(という表現が良いのかどうかわからんが)も参加されるので,ジャーナルでよく見かける名前の人を直にみることができます.DaganzoとかYang Haiとか.Yang HaiはHKSTSとか行くとすぐに会えるが….ついでにISTTTの採択論文はそのままTransportation Researchシリーズのジャーナルに載ることが約束されているので,選ばれし精鋭の論文です.
内容はネットワーク理論,交通流理論の発表がメインでした.しかし,MFD多かったなぁ….
ISTTT後に科研SのInternatinal Advisory BoardとのMeetingということで,Daganzo (UC Berkeley), Mike Bell (The University of Sydney),William Lam (The Hong Kong Polytechnic University), Mike Smith (University of York)の4名の前で発表させていただく機会を浦田くんとともに頂き,ISTTT中はそれどころではなかった.発表の出来はうーんというところで,まだまだ精進が必要ですね.10日くらい前に思いついたことを数日でスライド作成というのは良くないですね….
というか,毎晩reception後にホテルでスライド作成をするという例の如くの追い込まれようで,若手研究者がせっかく神戸に集まっていたのに,飲みに誘って頂いた方々の期待に添えずに申し訳ない.
2015/07/23 某面接
今年1番緊張したというか,気合いを入れた面接だった
様々な分野の先生から質問を頂き,大変勉強になった.とにかく多角的な視点でものを考えるきっかけになったと思う
面接官の中に駒場時代にオムニバス講義で1度だけ授業を受けたことのある先生がいらっしゃった.その先生の講義はとても面白くて,いまだにずっと覚えている.それは禁酒法の存在によって,結局はマフィアが栄えたという話である
聖職者が本来の(または建前上の)目的として,酒の製造や販売を禁止したにもかかわらず,実際に発生したことはブラックマーケットにおける酒の密売であり,結局聖職者とマフィアが手を組んだもののような法律であった
この挿話はすごく示唆的だと思っていて,都市計画においても中心市街地活性化のための大店法(大規模小売施設立地法)の関係は相似関係なのではないかと思っている
10年以上前に聞いたそんな話を思い出しながら,帰路についた
2015/07/15 データ同化ミニセミナー
と題して,布施先生(東大)にやって来て頂き,最新動向のレクチャーをして頂いた
と言いながらも,桑原先生による布施先生への質問攻めだったような気がする…
最終的には研究室全員の理解が深まり,桑原先生はパーティクルフィルタを自分で実装し,,,というレベルにまでなったので,布施先生には感謝の言葉しかない
一方で,データ同化には「評価」の問題がつきまとうという欠点も明らかになりつつあり,そこらへんをどうやって乗り越えるのかというのは今後の研究を進める上で重要なのだろう.双子実験だけでいいのかっていうとやはりドメインごとに有用性の検証手段を作っていく必要があると思う
私自身はデータ同化の研究はそれほどやるつもりはなくて,桑原先生や川崎さんのサポート役に徹するつもりなのだけれどね.
2015/06/30 リンゴが落ちたって万有引力は発見できないさ
ネットを見てたら,次のような1999年に書かれた文章が回ってきた
擬似乱数生成器メルセンヌ・ツイスタ(多くの言語の乱数生成器に使われている)を開発した松本眞先生の文章
読むと1999年に書かれたの?2015年じゃなくて?と思わされるし,それってつまり15年たっても社会の状況は変わっていない,むしろ加速しているのだなということなんだろう
実践が重要という人も,高尚なことこそがすごい(=研究だ)という人も同じ穴の狢であり,これくらいの説得力をもって,何かを知る/明らかにする/解明する/発見するということの重要性が語れるようになりたい.
2015/06/06-07 IP春大会@九州大
春大会,今回は自分の関連する研究としては,最近乾・岡崎研のみなさんと共同研究としているプローブとツイートの融合解析の研究,稲垣くんとやっている都市のイメージを構成する構造の推定,川崎さんとやっているVTのデータ同化,卒業した花岡くんとやっていたグラフィカルラッソの話,古田くん・井料さん(神戸大)と一緒にやっている情報伝達と避難行動モデルの研究の5件.
面白かった研究としては,力石さん(広島大)の目的地選択モデルの構造推定の研究と今泉さん(DHL)・羽藤さん(東大)の大型物流車が道路維持管理に与える影響を考慮した制御方策の研究かな.どちらも問題意識がすっきり理解できるとともに,モデリングも面白くてよかった.
羽藤さんや山本先生(名古屋大)と初日の夜に一緒に飲んでたんだけど,そのときのR. Kitamuraの思い出話がよかった.行動モデラーとしては北村先生は偉大な人だとしか思えないし,いまいたらどんな研究をやるんだろうと思う.たぶんビッグデータだの,データオリエンテッドだのといった研究に対してブチ切れてくれるんじゃないだろうか.何をモデリングしたいのか,何を観測し,何を捨象するのか.そのようなセンスが抜群の研究者であったと思うし,その意識は論文の端々から伺える.
2015/05/29 等価性と上限を抑える
NIPSのあるモデル(2014)と別のモデル(2001)は表記が異なるだけで同じモデルなんじゃないか.または2001年のモデルを拡張したものなのではないか,という予感が昨年末にあり,5月を1ヶ月使ってガリガリと証明をしていた.その結果,同じモデルではないが2001年のモデルをある意味で拡張していることが示せそうというところまできた.2014年のモデルは3つの重要な性質を有していて,そのうち2001年のモデルは1つは満たしている,2つ目は満たしていない,3つ目は部分的に満たしている,ということまでは言えそうなのだが,部分的に満たしているというところが問題でおそらく上限や加減がありそうである(数値シミュレーションによる予測では).しかし,その解析的な上限・下限がいまのところ求められていない.ここらへんは数学的腕力が重要であって,なかなか自分には時間がかかるなぁという反省点.
もう一つの問題はそんなこと示してどうなるんだ?という指摘なのだが,少なくともポッと出の2014年のモデルをきちんとした文脈に位置づけられるでしょうというのが一点,2001年が持たない2つ目の性質は結構重要な性質で,それを満たしたモデルをつくれたことは有用なのでは(2014年のモデルを誉め称えることになるが)というのが二点目.ただそれだけだと弱いよなぁとも思う.どうするべきかなぁ.
2015/04/30 How to write a lot?
世間的にはGW突入の昨今,ジュンク堂でかの有名な"How to write a lot"の訳本が出ていたので買ってみた
"How to write a lot"が少し話題になったときに,ブログか何かで内容の大筋は読んだので新鮮味はなかったのだけれど,執筆時間をスケジュールに割り振るという重要な概念は簡単そうに見えて実行は難しい.割り込んでくる用事を全て断る強い心を持つ必要がある
さて,ひさびさに実験システムをつくるためにここ数日jQueryを勉強しながらwebプログラミングをしている.webプログラミングをすると,実験システムをつくっていた修士時代のことを思い出す.あのときの研究は研究室を移ったこともあり,どこにもpublishできなかったのだけど,自分の能力や当時の流行とは無関係にただやりたいことをやっていた気がする.あれは良い経験だった
実験室アプローチ,より詳細に言えば選好統制がなされた実験経済学アプローチの有用性はビッグデータ時代にも有用だと思うので,本当はもう少し光が当たっても良いと思う.A/Bテストや多腕バンディットだけでやっていくのもねぇ.情緒ないよね.
2015/03/30-31 予測 (predict) と予測 (forecast)
佐々木先生(山梨大)からお誘いを受けて,データ同化研究会に参加・トークしてきた.
グラフィカルラッソによる交通状態推定の話をしてきて,布施先生(東大)や福田先生(東工大),山本先生(名古屋大)からたくさんの有意義なコメントを頂いた.特に布施先生からのコメントはすぐにでも論文に反映できそうなのでがんばってみよう
ところで,なぜか最近我が分野で「データ同化」という言葉が流行っている.理由はわからないが,「データ融合」や「ビッグデータ」とかの流行に伴う流れだと思われる.全然違うのにね….
ずっとデータ同化の研究をやられていた布施先生としては,ちゃんとした定義のある用語なのにバズワード的に利用されるのは嫌だなぁとのこと.私もそう思う.
さて,計画学的な価値観と情報科学的な価値観,または計量経済アプローチと機械学習アプローチの齟齬として,「予測」というのがあるとずっと思っている.機械学習における予測精度95%というのは汎化性能,つまり検証用データと呼ばれる別データに対する精度であって,検証用データと学習用データは確かにデータは異なるんだけど,大きな傾向としては同じであることを暗に想定している.
一方で,計画学で言ってる予測っていうのは,いわゆる未来予想,未来予測の話であって,2050年にどうなるだとか,そういう話である.そこの文脈に機械学習での予測精度95%という言葉だけが一人歩きしていて,使える/使えないという変な話になってしまっている.そのあたりの機械学習における予測(predict)と計画学における予測(forecast)は分けて考えるべきであり,forecastに役立つ手法開発というのはやはり重要なのだろう.それはDeep learningやWatsonならできるって話でもないので,お互いがんばりましょう.
2015/03/16-18 NLP and IPSJ@京大
京大で開催されてた言語処理学会と情報処理学会にちょっとだけ参加してきた.今回,出張の日程がおかしくて,あまり時間がなかったため,NLPerの話したい人とあまり話す時間ができなかったのが残念.
仮説推論エンジンPhillipの研究が面白かった.仮説推論というテーマ自体も面白いのだけど,グラフつくって前処理で枝刈りして,ILPソルバーにぶちこむ問題を小さくした上で高速に処理するというのはどの分野でも使える良い発想.
私,移動滞在判別・マップマッチング・目的地判別・アクティビティ判別を同時に行う問題を整数計画問題の枠組みに突っ込んで高速に処理する研究をしようと思っているので,この手の枠組みは参考になります.次のB4で興味ある人いたらテーマにしたいなぁ.
IPSJはIPSJ-oneが面白かったですね.あぁいうニコニコ学会的取り組みはIPSJの雰囲気とピッタリで良いと思います.全ての学会があのようにできるわけではないと思いますが.しかし,ニコニコ学会でのバッタ博士の発表を見るとできないというのは言い訳で,本来はすべての研究者があのようなアウトリーチができるべきなのかもしれない.
あとは金出先生萌え.
2015/03/13 データ同化勉強会
中西さん(東大)に来て頂いて,データ同化及び状態空間モデルに関するレクチャーをしていただいた.資料がすんごい整理されていたので,頭がしっかり整理されてよかった.
現在,うちの研究室でも川崎さんと一緒にVTをSSM拡張しようとしていて,大変参考になったので,モデルの間違いなどを修正していきたい.次の計画学で(川崎さんが)発表します.
中西くん,また仙台遊びにきてください.
2015/03/04 広島大の国際WS
広島大の力石さん,瀬谷さんが中心となってThe 3rd International Workshop on Advanced Transport Studiesという国際WSが開催され,そこでスピーカーとしてお誘いされたのでトークをしてきた.
テーマはcontext and social interactions in activity and travel decisionsであり,海外からはAxhausen先生(ETH Zürich)がいらしていた.
social interactionは交通行動としては元来みんな興味があるもので,分析手法が洗練されてきたことにより,だいぶ取り扱えるようになってきたように思う.global interactionとしては渋滞や流行が典型だが,local interaction, たとえば世帯内相互作用における目的地選択や車両保有行動などは今後どんどん研究が進みそう.私は無意味にオークションの話(というかオークションの手前のpreference elicitationの話)をしました.
広大よいところなので,また行きたい
2015/02/28 Richard Connors(Univ of Leeds)来仙
交通ネットワーク生成のメカニズムに関心があるとのこと.ネットワーク科学などのアプローチを取っており,面白かった.
ただ,いかんせん交通ネットワークの物理的な形状に関心があるのか,トポロジカルな形状に関心があるのかがわからなかった(もちろんどっちもあるのだろうけど).トポロジカルな形状であればネットワーク科学で問題ないかと思うが,物理的な形状であれば,制約条件,たとえば地形の影響が大きいだろう(たとえばアレグザンダー参照)
2015/02/19 変分推論
最近,変分ベイズ面白いじゃんとはまって,式展開を自分でやっていた.仕組みとしてはなるほど!面白い!と思ったが,よく書かれている「計算力が必要」といったコメントの意味がよくわかったw deep learningも変分ベイズでやっちゃう研究もあるらしく,頭おかしいんじゃないか(褒め言葉)と思ったりする
2015/02/12 今年度の修士論文発表
B4から(実質)指導してきた花岡くんの修論発表.3年ですごく成長したし,彼はとにかく自分でよく勉強をして,オレと議論をしてくれたので本当に楽しい共同研究ができた.
結構感慨深いものである.研究テーマはプローブ未観測の道路リンクをグラフィカルラッソを用いて補間するというもの.どこかにも投稿する予定です
2015/01/21 数学の本の読み方やセミナー準備の仕方
最近,学生さんの研究の相談などにのっていて,よくあるのが「数学の本(または論文)の読み方がわからない」というものだ.
数理が得意とは言えない私が何かを言うのはおこがましいので,有名な以下のセミナー準備の仕方,数学の本の読み方を読むことを勧めている
2015/01/05 2015年あけましておめでとうございます
2015年こそはがんばろう!(毎年言ってる)
年末年始は自分の研究と直接関連のない本をいろいろ読んでいたのだけど,1番面白かったのは近藤滋先生の『波紋と螺旋とフィボナッチ: 数理の眼鏡でみえてくる生命の形の神秘』でした.
ということで,今年もよろしくお願いします.
2014/12/18 時間を逆まわし
2014/12/12 データをどういう空間に埋め込むか?
結局,データをどういう空間に埋め込むかで問題の善し悪しがほぼ決まる気がする
マルチモーダルデータ,畳み込み,多様体,半教師あり,あたりが自分の次のキーワードか.
深いい学習は遠巻きに見ている
話は変わるが,よくベイズ統計の教科書なんかに,ベイズの定理を用いた医療診断の例が載っていることがあるが,原著論文は何なのだろう?知ってる人いたら教えてください.あと,あのようなナイーブなモデルではない近年の進展はどこらへん探したら出てくるんでしょうか?
2014/12/06 ITSシンポジウム@仙台
運営スタッフだったのであまり議論に参加できず.無事に終わってよかったっす.
ITSはもともと学際的分野であるので(交通工学系,機械系,通信系etc)あまり堅い会にしない方がいいと思うのだけれど….シンポジウムの雰囲気が堅い雰囲気を指向しているのでそこはあまり良くないと思う.もっとぶっちゃけそれ意味あるんすか?みたいなぶっこみからお互いの分野の意義について議論し,その結果として歩みよる方が実りがありそう(今は建前が多すぎ感)
池内先生(東大)の基調講演は面白かった.前にもかなり長い時間の講演を聞く機会があって,そのときもすごく刺激を受けた.
米国DARPAと日本CREST,日本の大学は神社型,アメリカの大学は教会型など示唆的な話あり.
2014/11/21 10th ISCTSC@Blue Mountains (Leura)
初めてガチWSの国際会議に参加.2h×4セッションで1つのWS,会議中には2つのWSのみに参加する.4セッションのうち1つ目で3-4名がoral presentation, 2つ目でWSのテーマに合わせてresearch questionsやchallengeについてみんなで議論,3セッション目はポスタープレゼンテーション(全WS共通),4つ目で最終報告のための議論の整理を行うという流れ.
20名程度で1つのWSにずっと参加するので顔と名前が一致するというのは良い
oralのみの国際会議だとみんなが「オレの発表を聞け」になってしまって,inputは多いがなかなか知り合いが作りづらいのでテーマに依ると思うがWS形式は良い方式だと思った.
Survey methodの国際会議なので,みんながみんなビッグデータというこの時代に永遠とrepresentativenessについて議論をしており,良い感じである
Social activityのバス移動時間が片道1.5hもあったので,円山さん(熊本大)と研究談義やら雑談をしていた
ふとしたことから都市工の演習の意義みたいな話になり,あれは瞬間的には役に立たない(詰め込み型講義をした方が学生には下駄を履かせることがてきる)けど,あの演習は筋トレみたいなもので長期的に効いてくるものなのでは?という話になった
その効果をなんとか明文化するならば,「答えや解法がわからない,または答えや方向性がいくつも存在しうる複雑な問題に対面したときに,思考停止に陥らずにまず動き始めることができる」ようになることではないだろうか
その功罪として,我々は変な問題にばっかり取り組んでpaper書かないのでよくないね,ワハハみたいな自虐をしていた
綺麗に解ける問題に対する嗅覚はその一方でやはり重要です
2003年の「ミクロとマクロの鬩ぎ合い」という研究集会
羽藤さん・赤松先生主催で上記の研究集会が開かれていて,そのときの発表者がやばかったみたいな話にもなった.まだ博士課程在学中の円山さんや井料さん,他のプレゼンターも羽藤・佐々木・赤松・奥村・上田先生という顔ぶれ
10年以上経つのにあれから我々の分野は進展しているのだろうか.あのあとに加わったトピックはプローブやICカードデータなどのデータ研究だけど,データが理論の進展を(結果的に)阻害してきたみたいなことはないのだろうかと反省したりもする
我々は隆の手のひらで踊らされているだけなのだ!とか
(静的な)ネットワーク配分の人気について.
交通政策上とても重要なのに最近あまり研究がなされないのは赤松先生が理論面をほぼ全てをやりつくして,円山さんが統合モデルで更にやりつくしたから(そしてその後に金森さん(名大)も加わってやりつくしたから)参入障壁が高いのか?とか.
あとは動的配分との思想の違いが話題にされるけど,両者は研究のスコープが異なるようにオレには思えるので,別に静的配分の人は気にせずやればいいと思う.モデルはあくまでも現実の近似でしかないわけで何を記述するかは対象に依存するのでは
長期的な施策評価を行う際に計算しやすい静的配分でやるのはリーズナブルだと思う.動的配分が都市圏レベルでの配分を計算可能であるのなら批判は受けてしかるべしだと思うけど.あと便益評価とか謎だし.
とはいえ,最近もhyper pathによる公共交通配分の研究もあるし(柳沼さん,福田先生,嶋本さんetc)とかあるし,動的配分とは切り分けて,一度静的配分による交通政策のための方法論の整理は必要だと思う.そういうWS or セミナーやりましょうという話もした
2年前のnetwork GEV型SUEを発表した秋大会セッションは面白かったと結構な人が未だに褒めてくれたりするんだけど,その後自分の怠惰と時間がないという言い訳のもとでnetwork GEV型配分の研究が少しも進んでいない.問題だ.
金森さんとERATOの人たちヤバいみたいな話をしていた
2014/11/14 バンコクでパッタイを食べる
WBCSDでトヨタがバンコクのSathorn RoadでSathorn modelというモデルケースを実施している
中心部の渋滞対策のためにカーメーカーがcar poolやpublic transport,bike sharingなどの総合的な需要マネジメントを行っているというのはやはり時代が変わってきているんだなぁ
Agachaiさん,めっちゃ会社がんばってる(大きくしてる)印象
2014/11/11 情報の価値みたいな議論
関わってるプロジェクト数が多いため,相変わらずアホみたいになっているわけだけど,最近よく出る話題に情報の価値,みたいな話がある
というのもビッグデータ(pgr とか言いつつ,ボスがビッグデータ関連のプロジェクトを大量に採択しており,プロジェクト内研究打ち合わせでどうしてもそういう話が出る
具体的には実社会ビッグデータ利活用のためのデータ統合・解析技術の研究開発とかCRESTとかその他もろもろ
ボスは分担者ではあるが,自分は分担者ではないので名前はないものもある.が,完全な実働要員ではある
一つのデータが持ってる情報って個々に異なるし,単純に数が増えればいいわけじゃないよなとか,重複する情報を含んでいた場合は嬉しくないよね,みたいな話によくなる.先日は徳山先生や乾さん,岡崎さんグループとの打ち合わせ時にもなった
オレは情報の価値の逓減性(最近はカッコつけて情報の劣モジュラ性と自分の中でのみ呼んでいる)に関心があって,その観点からみると,データのドメイン越境の有用性はそういう場面にあるのでは?と思ったり…
みたいなことを考えていて,先日西川さん(NTT)と飲んだときにもちょっとだけ話した(要約にも似てますよね!とか)
そういう観点からうまく整理すると異なるドメイン間のデータの質的比較ができるんじゃないかとか.いや,妄想だけど.
2014/11/05 計画学秋大会@鳥取大参加
自分はpreference elicitationと通行権取引制度の話を発表.意外と理解されてよかった
うちの学生さんがあのセッションの雰囲気が今回の学会内で1番良かったと言っていた.自分も同感.座長の和田さん(東大)に感謝
柳沼さん(東大)と鳥取砂丘セッションを行っていたら,大口研グループと合流.砂の美術館よかった.
招待講演は福山さん(UR)と日下部さん(東工大).どちらの発表も聴講者に大きく投げかけるものがあったと思う.自分も研究がんばろうと思った
こんな時代なので,皆さんデータデータとなるわけですが,物理出身の井料さんは「データは取りにいくもの」派であり,そこは自分も同じ考えを持っている
一般的な「理論と実証(=データ)」という考えには反対で,データとは理論をサポートするために存在する訳ではなく,破壊するために存在することもあると思う.そういう意味で,最近自分はよく「実証」ではなく「解明」という単語を使うようにしている
2014/11/01 東北大NICHeの助教から情報科学研究科の助教になった
特に実質的な生活は変わらずである
せっかくの転機なので,研究日記(メモ的なもの)でも残してみる
Twitterは本当にどうでもいい内容しかつぶやかないので,こちらにはせめてその時々に考えたことのログを残したい