投稿日: 2020/12/28 9:55:01
◇佐藤寿和主宰選 特選句
【九年母誌友】
陽炎を追へば遠のく地平線 池田雅かず
推敲の一句遊ばせ蝶の昼 岩水ひとみ
確と受く農の遺伝子畑を打つ 尾﨑吾郎
リハビリの長寿体操蝶の昼 渡辺しま子
温室に君臨するや花マンガ 小田美恵子
この先は異次元かとも陽炎へる 光山惠子
置手紙めく羽根残し鳥帰る 稲谷有記
【ブラジル誌友】
老いて尚心の支へに念腹忌 ロンドリーナ 中川千枝子
万全のコロナ対策念腹忌 サンパウロ 串間いつえ
念腹忌移民俳句を貫きし サンパウロ 鈴木文子
よくとぎし鍬まつすぐに畑を打つ セザリオ・ランジェ 井上人栄
ひたむきに畑打ち生きて来し我等 サルト・ビラボーラ 長田美奈子
念腹忌吟行訓話懐しむ ビトリア 藤井ひろすけ
陽炎へるカリブの島へ上陸す サンベルナルド・カンポ 西谷晃
◇佐藤寿和主宰選 入選句 ※九年母関係のみ
待侘ぶる日差し鋤き込み畑を打つ 斉木富子
畑打の合の手となる波の音 大谷千秋
畑打や北の大地の修道女 杉山千恵子
この奥に平家村あり畑を打つ 矢野君子
畑打や天と向き合ひ生きし母 戸田みつよ
帰農せし人の意気込み畑を打つ 宮下美智子
畑打つや見る間に黒土乾きたる 阪下良子
鳥帰る子の住む北の大地越え 山谷彰子
約束を守る律儀さ鳥帰る 河野信子
一人立ちせし子と共に鳥雲に 大島浩子
東雲の古墳の上を鳥帰る 新宮すゑ子
街角にサンバのリズム花マンガ 小柴智子
見ず知らず夢南国へ花マンガ 上田治子
初蝶や光求めて飛び立てり 岸本美惠
舞ふをもて仏母に応ふ摩耶の蝶 山之口倫子
紋黄蝶生まれ変りの母かとも 長谷川美幸
蝶の昼そつなき給仕卓巡る 髙野さち
蜆蝶翔たせつ試歩の楽しかり 柳田美鈴
庭手入動けば前へ陽炎へる 白井貴佐子
陽炎や鉄路の先に揺れ動く 橋本文男
陽炎や塩田ありし跡もなく 今地千鶴子
陽炎の奥はお伽の国ならむ 平 敦子