救急認定ソーシャルワーカー認定機構は、日本保健医療社会福祉学会と日本臨床救急医学会を構成団体とし、日本医療社会福祉協会と日本精神保健福祉士協会を協力団体として、2015年に設立されました。初代代表理事である岡本民夫先生からのバトンタッチを受けて2019年4月より定光大海が代表理事を拝命いたしましたので、一言ごあいさつ申し上げます。
本認定機構が定めた定款、認定規則及び施行細則に基づき、2017年1月に行われた第1回認定研修及び試験で121名を認定し、その後2020年の現在に至るまで、244名を認定しています。認定されたソーシャルワーカーは、救急認定ソーシャルワーカー(Emergency Social Worker:ESW、バッチもあります)として救急領域での様々な患者支援にご活躍のことと存じます。救急医療は医療の大きな柱の一つですので、今後もさらに多くのソーシャルワーカーの皆様に係わっていただきたいと心より願っています。
救急医療では、急性疾患や突発的な傷害を受けた患者さんの診療が中心になりますが、患者さんとその家族は、傷病だけでなく抱えている生活課題や心理的社会的問題をそのままにして突然の受診を余儀なくされます。そこでは脆弱な家族背景や、不安定な社会生活基盤が顕在化するため、身体治療と並行して療養環境を整備することは大きな支援となります。救急傷病者の年齢層は幅広く、持ち込まれる生活課題や心理的社会的問題は、疾病の重症度に関係なく多種多様で、ソーシャルワーカーにしかできない業務も多いため診療を円滑に進めるためのチームワークにソーシャルワーカーは欠かせません。また、救急領域に特有の背景因子である、事故、自殺企図、虐待、傷害、アディクションなどへの専門的対応も求められます。本認定機構を設立し、認定制度をつくった意図もそこにあります。
少子高齢化に伴う医療制度の変革や医療の高度化に連動した多職種協働はこれからの医療に不可欠のシステムです。ESWが救急医療チームの一員として協働する体制は、急性期の医療から回復期を経て在宅に至る過程の患者支援にもつながります。救急医療におけるソーシャルワークの重要性が理解され、それを担うESWが現場で日常的に業務を遂行する環境があたりまえになることを目指して今後も本機構の活動を進めて参りたいと存じます。
救急認定ソーシャルワーカー認定機構 代表理事
定光 大海