ActogramJ

© Benjamin Schmid and Taishi Yoshii

Schmid B, Helfrich-Förster C, Yoshii T: A new ImageJ plugin "ActogramJ" for chronobiological analyses. J Biol Rhythms 2011, 26:464-467.

ActogramJは、時間生物学で頻繁に行われるアクトグラムの作成、ピリオドグラム解析、リズム波形解析などを行うことのできるフリーソフトです。論文に使用される際には我々の論文を引用してください。

日本語での質問には吉井まで。

Download ActogramJ (Version v1.0)

Original ActogramJ website (英語)

インストール法

フリーソフトのFijiImageJが必要です。

どちらかひとつをインストール後、Fiji (もしくはImageJ)のpluginsフォルダーに、ActogramJ .jarをコピーしてください。

ImageJで使用する方は、itextpdf-5.1.1.jarも必要です。適当なサイトでダウンロードして、これもpluginsフォルダーに入れてください。Fijiで使用される場合には、すでにFijiにitextpdfがインストール済みですので、必要ありません。

データファイルを開く

ActogramJは、ASCII形式のテキストデータを読み込めます。

列(Column)にある個体のデータがあり、一つのテキストデータに複数個体のデータがある場合には複数列のデータになります。列(columns)は個体、行(rows)は時間ごとのデータということになります。

Start column: 解析する初めの個体の列番号; End column: 最後の個体の列番号

Start row: 解析する初めの行番号; End row: 解析を区切る最後の行番号

Calibrationはデータ取得した時間間隔と、それに対してどのサイクルでプロットするかをしてします。:1分間隔で取得したデータを、24時間(1440分)サイクルのアクトグラムにしたい場合、Samples per periodは1440で、Interval durationは1となります。例2:5分間隔のデータを24時間サイクルの場合は、Samples per periodは288(1440/5)で、Interval durationは5となります。ちょっと複雑ですが、この方法で様々なデータ間隔と様々な周期に対応してアクトグラムを描くことが可能になります。例えば、1日ごとのデータを365日サイクルで、数年間プロットすることもできます。

アクトグラムを表示する

初めはフォルダーだけが表示されますが、そのフォルダーの左のアイコンをクリックすることで、それぞれの個体のアクトグラムが表示されます。初めの個体は0番になります。

アクトグラムのサイズを調節する

データサンプルサイズに従って、アクトグラムのサイズは調整されますので、アクトグラムのサイズが小さすぎることがあります。左下のZoom機能で、調整してください。

ActogramJはアクトグラムを正確に描写することにこだわっており、Zoomが1:1のときパソコンモニター1ピクセルに対して、1 time-pointのデータが並びます。

アクトグラムの編集

Edit機能の、Propertiesより、プロット数(Number of plots)、縦軸の上限 (Upper limit)などが編集できます。色々と触って、自分に合ったアクトグラムを作成してみてください。

明暗バーの表示

フォルダーを右クリックで、明暗サイクルを示す棒を示すことができます。あまり重要な機能ではありませんが、明暗の目安を示すことができます。

アイフィットによる自由継続周期の推定

eye-fitting法は古典的な周期の測定法です。上部の三角定規のツールを使って、リズムの周期に合わせて線を引くと、自由継続周期 (Freerunning period)がアクトグラムの下部に表示されます。

eye-fitting法は、自動計算による客観的なピリオドグラム解析とは違い主観的な方法ですが、現時点で完璧なピリオドグラム解析法がない以上、ある程度はアクトグラム上で推定しながら、ピリオドグラム解析の妥当性を確かめておく必要があります。

ピリオドグラム解析

上部のポインターツールと三角定規ツールの間にあるSelection toolで、ピリオドグラム解析を行いたい領域を選択します。Selection toolで選択すれば、赤色に選択されます。

Fourier解析、Chi-Square periodgram解析、Lomb-Scargle periodogram解析の三種類を行うことができます。

もっとも頻繁に使われているのはChi-Square periodogramです。Fourierは古典的な解析でLomb-Scargleは比較的新しい解析方法です。どれが一番良いとかは非常に難しい問題で、データの長さ、データの解像度、ノイズの量に依存してどれも結果が変わります。FourierとLomb-Scargleはほぼ同じ結果を示すので、Chi-Square periodogramとLomb-Scargleだけで十分と言えるでしょう。

その他の解析

平均アクトグラムの表示など

複数個体のデータを選択して、Analyze → Calculate → Averageで、平均アクトグラムを計算することができます。新しいフォルダーが作成されて、その中にCalculatedと書かれたアクトグラムが現れます。それが平均アクトグラムです。同様の方法で、SumやSmoothingなどを行うことができます。

位相の計算

Selection tool → Acrophaseで、活動リズムの頂点位相を計算することができます。綺麗なリズムでは非常に有用ですが、ノイズが多いエラーも多くなります。左スライダー内の個体のデータを右クリックで選択すると、Edit機能が出てくるので、手作業で修正することでより正確な位相推定を行うことができます。

リズム波形

Selection tool → Average activityで、数サイクルのデータから平均リズム波形を計算できます。

アクトグラムデータのPDF出力

複数もしくは一つの個体のアクトグラムを表示した状態で、Export PDFを選択すると、アクトグラムをPDFに出力できます。itextpdfがインストールされていないとできません。PDF形式で出力したアクトグラムは論文やプレゼン用に使うことができます。

参考文献リスト

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