書道の効用
書道を練習していけば、どんな効果・効用があるのでしょうか?
①文字・書は学習の基本
―丁寧に書くことの意味―樋口 丈治(福島県立喜多方東高等学校)
②書写と書道の一貫性のあり方に関する研究
一児童、生徒の毛筆への意識と表現力を中心として-
平成1 6 年度東京学芸大学附属学校研究会プロジェクト研究Ⅲ
上の2つの資料を元にまとめてみました。大きく8つに分けてみました。なるほどと共感できるのではないでしょうか。
① 文字を正確に書くことができるようになる。
文字習得の教具として、「大きく書くことにより細部を確かめながら書く」「毛筆の弾力を生かしてリズミカルに書く」「一点一画ていねいに書く」などにより,書写力を育成することにつながると言えるでしょう。
② 姿勢が良くなってくる。
文字を練習するときに、正座をして書く場合があります。それは、姿勢が乱れると、書いた文字に表れることが多いからです。しっかりと正しい姿勢で練習すれば、整った文字になっていくからです。長時間正座ができるようになることは、我慢強くなることです。
③ 落ち着いて生活でき、丁寧に書こうとする習慣が身につく。
柔らかな毛筆でしっかり書くことで、自己が確立されるからだそうです。
④ 集中力と観察力が養われる。
手本をよく観察し、自分の書いたものと見比べ、作品の至らない点を考えることで観察力も同時に養われます。集中力も観察力も、学問や技能が身につけるためには必要です。
⑤ 生活に潤いが生まれる。
毛筆で書かれた文字に、暖かみを感じる人は多いでしょう。活字や硬筆の手書き文字を越えたものを与える力があります。こんな経験をした人は多いでしょう。
だから、お店の看板や年賀状の宛名など、活字の多い現在でも、毛筆体の文字は使われることが多いのです。
そのような存在が身近にあるということは、自己満足になるかもしれませんが、潤っていると感じて良いのではないでしょうか。
⑥ ストレス解消になる。
毛筆のやわらかさと和紙のかすかな感触は、素晴らしく、独特です。筆、墨、紙の種類によってもそれぞれ異なった感触があります。
次々に生み出される変化ある筆線に集中できて、書いている間は、心に抱える悲しみ、悩み、不安等々、日常のストレスの全てを忘れて没頭することができ、忘れて書くことほど楽しいことはなく,疲れた心を癒す効果があります。
一時間書けば、スッキリした気分になり新たな生命の活力を生まれます。三十分でも二十分でもそれは可能です。
⑦ 脳を発達させる
パソコン、携帯のデジタル文字に全てを依存するなら、筆順、字形、筆圧、バランス、個性、などは一切分からず、美的感性などは育ちません。自分の手を動かしながら感じているので、脳の発達につながり、ぼけ防止などにも繋がります。
⑧ 周りの人から尊敬される。
尊敬されるとは、少々大げさかもしれません。しかし、何となく頭がいいとか、凄いとか思われがちです。それは、文字を正確に字形を整えて書くことは難しい、あるいは、我慢が必要でなかなかできることではないと感じている人がいるからではないでしょうか。