半導体のアナログ回路設計に10年以上携わってきたのですが、今まできちんと勉強できていなかったです。ここでは、勉強してこなかったことを「失敗」ととらえて、「失敗学」を参考に考えてみます。(「失敗学」については、「失敗学会」のページなど)
失敗学のエッセンスは、
言い訳を書き残せ、フィックション歓迎
上位概念に登れ
とのこと。実際とは違っていても、ありそうな話ならよいということで、言い訳はいくらでもしちゃいます。それらを「つまり・・・」でまとめます。
【勉強しない言い訳】
〇設計の知識は、いつも必要というわけでない
設計は開発フェーズの一部でしかない
必要なときに、参考書やネットで調べればよい
〇業務の特性により、必要性は異なる
自分は評価担当なので、設計知識はそれほどいらない
マネジメントの仕事が中心なので不要
製品が売れるかに興味がある
特許が出てくるわけでもないし、評価されない
〇sim合わせ、実物合わせで何とかなっている
結局最後はsimで調整するし、それなりに動いている
トリミングで調整できるので、あとで何とかなる
〇ベテランが分かっているとはかぎらない
「手計算」が大事だといっても、実際にやっている人がいない
回路について先輩に聞いても、作った人がいなくなったから分からないといわれる
理由の説明はないが、言われた通りにやって上手くいった
アナログ回路設計に必要なのは「感性」「センス」との誤解 (正しい経験に裏づけられた「直感」ではなく)
〇勉強不足を指摘されない
レビューなどで指摘されるのは、書類の不備など表面的なことばかり
sim結果などの証拠ばかり言われて、考え方を問われることがない
競争力のある製品ができないのはパッケージやプロセスのせいだと言っておけばよい
〇今までと違うことをやりにくい雰囲気があり、手持ちの知識で何とかしがち
変更点があるとレビューが面倒
失敗すると、意味のないなぜなぜ分析をさせられる
つまり、「自分の周囲の様子から、やっていける気がしてしまう」
⇒外へ目を向ける必要がある
教科書で改めて基礎を勉強するのも、一つの方法だと思います。競合のエンジニアは当然理解しているわけなので。
【勉強できない言い訳】
〇入口でつまづく
資料作りなどに追われて、単純に時間がない
どの教科書がいいのか分からない
教科書が手に入りづらい
英語なのでつらい
〇勉強自体がなかなか進まない
教科書の式をフォローするのが大変、覚えられない
近似などの感覚が分からない
問題が多すぎて挫折する
ウェブにある解説ページも、しりきれになっている
〇結局実務で使えない
入手できないパラメータがある
計算のためのエクセルツールはあるが、間違いが放置されている
いちいちトランジスタレベルまで計算できない
実際の回路は複雑で適用できない
システムレベル(全体の制御系など)の設計には適用できない
つまり、「勉強しようとしても、どうしてよいか分からない」
⇒ガイドがいると良い
先輩も一緒に勉強会などをやるのがよいです。教える側こそ勉強になるので。