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講演要旨(例)

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ヒメヘソイレコダニ属 (Oribatida: Mixonomata) の未記録種の報告

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○島野智之1・Sina Adl 2

1宮城教育大学環境教育実践研究センター;2 Department of Soil Science, College of Agriculture and Bioresource, University of Saskatchewan

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ササラダニ類のうち、ヒメヘソイレコダニ属Acrotritiaのダニ類は世界から40種以上が知られている。このうちA. arduaは世界中に広く分布し、生息環境も海岸の風衝低木林から、天然ブナ林、あるいは標高3,000 mの高山地帯など様々なところから報告がされている。本属は日本から2種が報告されているが、本報告ではさらに未記載種と考えられる2種について報告する。

日本産のヒメヘソイレコダニAcrotritia ardua (C. L. Koch, 1841) は、Aoki (1980) および島野・青木(1997)によって、M型とBT型の種内2型が報告されていた。M型とBT型は、爪の数がmonodactyl(1-1-1-1)かbi-tridactyl(2-3-3-3)かという点が最も大きな区別点である。これ以外にも、M型は前体部のroinの距離とinleの距離が等しいが、BT型はroinよりもinleの方が1.5倍程度長いという特徴がある。

国内30地点から得られた200個体を用いて、核遺伝子の3領域、SSU rRNA遺伝子、ITS2領域、LSU rRNA遺伝子D3領域の塩基配列を得て、基産地のそれぞれの種と比較した結果、M型はA. sinensis Jacot, 1923と,BT型はA. arduaとクレードを作った (Shimano, 2012)。

また、この遺伝子解析によって得られた系統樹からは、M型とBT型の2つのクレードだけではなく、新たな2つのクレードが見いだされた。西表島産のマングローブ林の樹上から見いだされたA. sp. 1と、北海道厚岸産の海岸有機物から見いだされたA. sp. 2である。A. sp. 1は2本のagがtransverseの配置にあり、A. arduaag がもつvertical な配置とは異なっていた。一方、A. sp. 2は背毛c1およびc2が他の背毛の1.5倍の長さであった。本属のなかで、A. sp. 1およびA. sp. 2のこのような特徴を持つものは知られていない。

本報告で扱ったヒメヘソイレコダニ属の未記載種はいずれも体長0.3 mm以下の小型種であり、また生息場所は採集されにくい環境であった。これまでササラダニ類は土壌を中心に調査がなされてきたが、樹上や潮間帯等の様々な環境の調査が進むにつれ、今回報告した未記載種の新たな生息場所や、さらなる未記載種が発見される可能性もある。

(本講演要旨は例です)