掲載-2015/12/28-杉森康彦-大学院「私の制作行程」
どうもお世話になります。杉森康彦です。みなさんいかがお過ごしですか?
12月に洋画の最後のスクーリングを終え、現在は制作の完成度を上げるために追い込みをかけているところです。無事に修了できるのか、判定はいかに?!という状況です。
みなさんに大学院の様子を聞かれることも多く、そして、2016年春の卒業・修了制作展の宣伝も兼ねて、私の2年間の制作行程を紹介いたします。
【やっぱり祇園祭】
ホンマに好きなんやなと、大学院でも変わらず祇園祭を描くことにしました。大学卒制では、先生のお導きで祇園祭33年計画最後のシメで描こうとしていた洛中洛外図にチャレンジ、「大学なんて羽目を外すところよ」というキーワードからコミカルな作品になったのですが、大学院ではその続きで真面目版の洛中洛外図(卒制も真面目に描きましたが)を描くことにしました。
卒業制作「祇園祭洛中洛外図」
先生に大学院では「サイズは自由です。」と言っていただけたので、M100号縦4枚にして長さが約4mの洛中洛外図、今まで使ったことがない箔も利用することにもしました。大きな作品を描くと決めたものの...トホホ、終盤になって焦ることになっています。
【1年次】
1回目のスクーリングで横長のエスキースを制作、この時に銀箔を使い横長の絵にすることを決めました。
エスキース
1年次の前期は箔の貼り込み練習と箔地の油絵具の定着実験をおこなう。箔を使ったことがなかったのでまずは色々な情報を集める。画材屋さんに箔を貼る方法を聞いて「ジャパンゴールドサイズ」という箔を貼るための画溶液を試す。他、絵具をベタ塗りして未乾燥のうちに箔を貼付けることも試した。箔がヒラ〜ヒラ〜と扱いが難しかった。
ジャパンゴールドサイズで箔を貼ろうとする前
箔の上に絵具が定着するのか?小さいキャンバスに実験をしました。銀箔にも様々あり、純銀・プラチナ・アルミとあります。プラチナは高価でとても使えない。純銀は酸化して変色するというので、実際に自分自身で体験してみたく、純銀とアルミで試すことにしました。
色々箔の実験
画溶液はパンドル・リクイン・ターペンタイン、箔のコート剤としてルツーセも使いました。アルキド樹脂・ダンマル系の画溶液はリンシードよりも乾燥が早くすぐに上描きができます。
純銀は相性が悪いのか数ヶ月で変色してしまうことがわかる。結果アルミ箔を利用することにしました。実験なしに、もし純銀を使っていたら修了制作展のあたりでは変色しているところでした...くわばらくわばら。
変色した純銀箔
1年次におこなった千秋堂茶会展の絵も実験で箔を使って制作、桜の風景画を描きました。この作品では雲母のピグメントも利用、リクインと混ぜて使う実験もしました。
千秋堂展用作品「京都天神川桜並木」
他に、洛中洛外図を油絵具のみで描いてみたらどうなるのか?と思って、丁度M100号のキャンバスが手に入ったのでエスキースを描いてみました。
祇園祭宵山洛中洛外図習作
銀箔の下地はライトレッドとパンドルを混ぜたものを塗り、箔を貼って、乾燥してからルツーセでコートしました。
箔を貼っているところ
スクーリングに持参した作品
秋のスクーリング、完成した箔地キャンバス、他に祇園祭のF100号の占出山の絵も描いていきました。この時のスクーリングで、先生のご助言で1枚の箔地キャンバスを使ってエスキースを描くことになりました。
M100号2枚のエスキース
次のスクーリングで2枚のエスキースを持って行く。様々な実験の結果、左のモノクロ風の作品で制作することに決めました。
【2年次】
修了制作の開始!またまたM100号2枚の箔地キャンバスを制作、段々と箔の扱いも慣れてくる。
新たに2枚のキャンバスを買って本画の制作開始
2015年夏頃の状態
2年次はスクーリングで先生とみんなの意見を聞きながら黙々と制作を進めました。
祇園祭洛中洛外情景之図
12月に受けた最終のスクーリングの状態です。作品名は「祇園祭洛中洛外情景之図」に決定。2016年の1月初旬に制作ノートと作品の写真の提出、2月初旬に作品審査のための搬入展示と口頭試問、その結果合格すれば卒業・修了制作展です。
展示は、1人に対しての壁面割当サイズが決まっているので左3枚だけで展示です。大学院を共にしたみなさんの作品も力作揃いです!ぜひとも卒業・修了展へお越し下さい。
2015年度卒業・修了制作展
【会期】2016年3月13日(日)〜20日(日)
【時間】11:00〜18:00(最終日は16:00まで)
【場所】瓜生山キャンパス
大学院では、先生のご指導のもとエキサイティングな2年間でした。絵の勉強はもちろんなのですが、新発見もし、展示をするための段取りを学び、様々なスキルを上げることができました。他、2年間を共にしたみなさんと絆を深め、通信学生ですが現役学生になったようで楽しい日々でした。この場を借りて先生にお礼を「ありがとうございました!」でも、まだ修了が決定していません。もし修了制作展で作品が無ければ...3年次に進学?!したということです。