山口大学 大学院創成科学研究科 教授
高速傷修復を実現させる魚類表皮細胞ケラトサイト集団の相似拡大
傷は周囲の表皮細胞集団が傷口に移動し埋めることで治癒する。魚類表皮の傷修復はヒトより50倍速い。魚類表皮細胞ケラトサイト集団は自律的に半円形のかたちを形成し、傷領域に効率よく相似拡大していく。本講演ではこの相似拡大機構について述べる。すなわち、細胞集団の先端(先導端)ではアクトミオシンのケーブルで連結したリーダー細胞が後続のフォロワ細胞を牽引している。先導端全域に渡るアクトミオシンケーブルに伝わる“張力“を情報としてフォロワ細胞が最適箇所を検出し、先行する2つのリーダー細胞の間に仮足を伸ばしてリーダー細胞間のケーブルを切断し、自分のケーブルを接続してリーダーになる、という細胞間のユニークな“力学“的コミュニケーションを使っている。