特別講演

浦 環 氏

株式会社ディープ・リッジ・テク長崎県五島市)取締役社長、一般社団法人ラ・プロンジェ深海工学会代表理事一般社団法人BC-ROBOP海岸工学会 副理事長東京大学名誉教授、元東京大学生産技術研究所海中工学研究センター長、元九州工業大学社会ロボット具現化センター長IEEEフェロー。

演題・概要

「自律型海中ロボットは分散して作業をする」

海中は電波が通らない。超音波で通信することができるが、通信速度は遅く、時間遅れが甚だしい。したがって、ロボットの操縦者がロボットを自由自在に動かそうとすると、ケーブルを繋ぎ通信を確保することになる。1000m深度に潜らそうとすれば少なくとも1km以上、6000m深度に潜らそうとすれば6km以上のケーブルが必要になる。ケーブルは重く、ロボットはケーブルを引っ張るために多大な労力を必要とし、動きづらい。ケーブルを捨ててロボットを自律化して海に自由に潜らせる自律型海中ロボット研究開発を私たちは1984年から始めた。2000年代になって、ようやく自律型海中ロボットは海中で結果を出すようになり、その存在意義が認められた。次は、複数ロボットを同時展開して、海中作業を分散化することである。2012年に最初の複数自律型ロボット海中展開がおこなわれ、さらに、2014年度から始まる戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)では、複数ロボット同時展開による海底調査の加速が、開発技術の大きな目玉になり、研究開発が進められた。5台の自律型海中ロボットとそれを補佐する自律型海面ロボット(自律航行船)が作られ、海域展開がおこなわれた。海中ロボットの自律分散化が実現したのである。次のテーマは、「自律分散協調」である。ロボット同士の水中通信が難しい海中で、協調行動をすることはなかなか苦しいが、次の楽しい研究開発テーマである。本講演では、自律型海中ロボットの単独行動から、自律分散行動までを講演者達の実海域活動結果を以て紹介し、次のステップの協調とは何かを考える。

会場案内

Zoom ウェビナーおよび YouTube Live での配信を予定しています。