クロス

トーク

入山70日!

広報:今回は、山岳部顧問の谷口浩平先生に山岳部について伺いました。谷口先生、まずは部活の目標を教えてください。

谷口:藤沢翔陵高校山岳部は現在部員3年生2名、2年生4名、1年生8名で活動しています。目標としているのは「日本一山に登る高校山岳部。目指せ年間70日入山。」である。冬も含めて月2回の山行をし登山経験を積むことで、体力・気力・知力を培っていく。これが本校山岳部の目標である。

広報:70日入山!すごいですね。それに向けた普段の活動について教えてください。

谷口:基本、火・木曜日は5キロくらいのランニング。近所の境川のサイクリングロードを走ります。

各自のペースで。準備体操も含めて1時間ほど。月・水・金曜日は計画書を作ったり、天気図を描いたりする。ほぼ2週に1回は山に行くので、計画書もしょっちゅう作っていることになります。概念図・高低図は部員全員が描きます。

その他の共同装備表や救急法は分担して書く。すべて手書き。書き続けることで何が必要か頭に入ります。デジタルの時代でもすべて手書きに拘っています。


山に行く前日はテントなどの装備チェックと食材の買い出しをします。食事はカップラーメンなどでごまかさず、しっかり米を

炊くよう指導している。しかし、1年生だけのテントではレトルトカレーなどで済ます「不正」が行われることもあります…。


広報:2週に1回は山へ行くということですが、具体的に教えてください。

谷口:本校は土曜日授業があるので、試験休みや連休以外は土曜午後学校から出発することになります。その範囲で行かれる山は箱根・丹沢その他南大菩薩や伊豆といったところでしょうか。キャンプ場にも泊まるが、それ以外の場所でも水があって人目につかない所ならテントを張る。そうした「秘密のホテル」がいくつかある。男子校ならではのフットワークの良さである。 


テントは3~4名で1張り。朝から行動できる日は土・日と両日歩くことができる。やっぱり歩いて汗をかいてテント張って

のほうが、いろんなものがおいしいんです!!


広報:山に登るスケジュールを教えてください。

谷口:季節にもよるがだいたい日の出前に出発。夏の涸沢定着、冬の谷川岳や春の北八ヶ岳以外は基本全装備の縦走登山です。歩いている時は地図のコピー(地理院地図15,000分の1)を持たせている。分岐や支尾根、鞍部に来た時は顧問が「ここどこだ~。」と後ろから声を掛けることにしています。休憩は1ピッチ(約50分)に10分。天気が良ければ美しい景色を眺めながら気持ちよく登山を楽しめる。天気の悪い時もまあそれなりに。下山後は日帰り温泉などがあれば入浴して帰る。これも登山の楽しみです。


雪上生活を知る


広報:帰りの温泉!楽しそうですね。それ以外に藤沢翔陵高校山岳部のココはスゴイを教えてください!

谷口:本校山岳部の活動で特筆すべき点は雪山登山です。とは言っても登頂にこだわったものではなく、雪上生活の体験が主です。雪山でのテントの設営、水の作り方、炊事など無雪期と違う生活を体験。


もちろん条件がよければピッケル、アイゼンやわかんなどを使って登頂を目指します。冬休みは谷川岳天神尾根に行くことが多いが、冬型の気圧配置が強まるとロープウェイで天神平に上がることすらできない。ちなみにこの冬も大雪で上越線が土合まで行かず上牧の大峰山を目指したが、それも夜中に40cm以上の降雪があり敗退しました。


広報:雪山に登るって非常に不安がありますが・・・。

谷口:そうですね。雪山は引率する顧問の経験が非常に大切になります。我々は登頂が目的ではないです。そのため、危険があれば、そこで登山は諦め、雪上生活体験を行います。


広報:なるほど!登山をするにあたり保護者へはどのように告知を行っていくのですか?

谷口:4月の下旬に新入部員の保護者への説明会をする。部の目標、活動内容、山行にかかるお金、必要な装備などを写真や実物を見せて丁寧に説明します。10月末の文化祭に保護者が部の展示をしている教室を訪ねて来ることも多いです。その際にもこの上半期の活動内容などを説明しています。


広報:生徒たちは登山を通じてたくましくなっていくとは思いますが、何か秘訣などはありますか?

谷口:登山の翌日は装備の片付けと反省をします。テント一式を干しコッヘルを洗い部室にしまう。テントを干している間に5行ほどの反省・感想を書く。これを記録としてまとめ年度末に冊子にして渡します。


山岳部の活動は計画、準備、実際の山行そして反省。いわゆるPDCAサイクルの繰り返しである。このことについては国立登山研修所発行の『安全で楽しい登山を目指して』という高校山岳部指導者用テキストに詳しく書かれているので読んでください。国立登山研修所のホームページからもダウンロードできます。


広報:山岳部の活動こそが探究型学習なのかもしれませんね。最後に年間予定を教えてください。

谷口:2021年度の活動は以下の通りです。

4月17~18日  

西丹沢 加入道山 大室山

4月29日

箱根   明神ケ岳 明星ヶ岳 塔ノ峰

5月2~4日

奥秩父  甲武信ヶ岳から笠取小屋

5月15~16日   

丹沢  三ノ塔 政次郎の頭

5月28~29日   

丹沢  三ノ塔 政次郎の頭(高体連登山専門部の大会)

6月5~6日    

南大菩薩 滝子山

7月17~18日   

丹沢 鍋割山 ユーシン 塔ノ岳

7月31~8月4日  

北アルプス 槍ヶ岳 双六岳

8月27~29日   

群馬県 赤城山

9月11~12日   

丹沢 戸沢から塔ノ岳 丹沢山

9月19~20日   

奥秩父 乾徳山 黒鉄山

10月16~17日   

伊豆 天城山縦走

10月30~31日   

箱根 三国山(関東大会中止でした)

11月6~7日    

西丹沢 屛風岩山 世附権現山

11月13~14日   

西丹沢 石棚山 檜洞丸

12月10~11日   

丹沢 檜洞丸 臼ヶ岳 蛭ヶ岳 丹沢山 塔ノ岳

12月26~28日   

群馬県 大峰山(大雪で敗退)

1月6~7日    

奥秩父 小楢山 妙見山

1月22~23日   

丹沢 三ノ塔 塔ノ岳(新人大会中止でした)

2月5~6日    

高尾  陣馬山 生藤山

3月19~20日   

奥多摩 雲取山

3月26~28日   

北八ヶ岳 黒百合平 天狗岳


広報:ありがとうございます。今後の活躍を期待しています。


広報:生徒募集対策室 日暮 洋平