平成26年 5月19日 策定 (令和5年 5月1日 改訂)
学校は児童が安心して通えて安全に生活や学習ができる場でなくてはならない。昨今、いじめを背景として、児童の生命や心身に重大な危険が生じる事案が発生していることを受け、国においても、いじめの問題は国民的な課題であるという認識から「いじめ防止対策推進法」が制定された。本校においても、学校全体としていじめの防止、いじめへの対応のほか日常的な教育相談や児童指導の在り方等についての体制を整備し、安心・安全な学校づくりを推進するための基本方針をここに策定する。
(1)いじめは、いじめを受けた児童の尊厳を損なう絶対に許されない行為である。
(2)いじめは、どの児童にも起こりうる問題である。
(3)いじめは、被害者・加害者だけでなく、「観衆」や「傍聴者」といわれる周囲の児童にも注 意を払う必要がある問題である。
(1)いじめを防止するために、あらゆる機会を通して、児童に対して「いのち」はかけがえのない大切なものであることを伝え、自分の「いのち」はもちろん、他人の「いのち」も大切にする心を育む教育活動の充実に取り組む。
(2)いじめは、人間として決して許されない行為であるという正しい理解を、子どもにかかわるすべての大人がもつ。
(3)いじめは、学校の内外を問わず様々な場所・場面で起こりうるものであることを認識し、家庭や地域住民、関係機関等とも十分連携して取り組む。
(4)いじめは、児童たちが所属する集団の構造や人間関係等に起因することから、お互いの存在を認め合い、心の通う絆づくりにつながるような学級づくりや集団づくりを進める。
(1)いじめの未然防止
①「生命尊重」「他者理解、思いやり」の心の育成
「いのちを尊ぶ心」や「他者を思いやり、多様性を認め合う気持ち」を、道徳の授業を要として教育活動全体を通して育成する。
②コミュニケーション能力の育成
一人ひとりが、自分を大切にするとともに他者の大切さを認め、好ましい人間関係を築けるよ
うに、コミュニケーション能力の育成に努める。また、情報モラル教育の一層の充実に取り組む。
③ストレス等に対処できる力の育成
児童が抱える学習や家庭環境、友人関係等にまつわるストレス等の要因に着目し、その改善に努めるとともに、ストレスに適切に対処できる力を様々な場面で育む。
④自己有用感、自己肯定感の育成
児童が自分の存在が認められている、大切にされている、必要とされていることを意識できることが重要である。大人は、子どもを支えていく姿勢を示し、自己有用感、自己肯定感をもてるように、教育活動の様々な場面を活用、工夫し実践する。
(2)いじめの早期発見
①日常的な観察、教育相談の充実
学校においては、教職員が日頃から児童たちの表情や態度のわずかな変化を見逃さず、適切な声かけや対応ができるように努める。けんかやふざけ合いであっても、見えない所で被害が発生している場合もあるため、背景にある事情の調査を行い、子どもの感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断する。
②児童との良好な人間関係づくり
困った時にも児童が相談しやすい人間関係の構築に努め、子どもからの相談に真摯に対応する。
③アンケート調査の活用
アンケート調査や、個人面談等によって、定期的に児童たちの状況を把握する。
(3)いじめの早期対応・早期解決
①いじめの疑いへの対応
子どもがいじめを受けている疑いがあるときは、速やかにいじめの事実の有無の確認を行うとともに、子どもたちへの支援・指導を適切かつ迅速に行う。
②組織的な対応(報告・連絡・相談、そして、行動)
いじめには、チームで組織的に対応する。特定の教職員が孤立したり情報を抱え込んだりしないよう、関係教職員(担任・児童指導担当・養護教諭・管理職等)が連携して、組織としてきめ細かい対応を心がける。なお、その際、報告・連絡・相談を速やかに行われ早期の対応(行動)に移せるよう留意する。
③いじめを受けている児童の安全確保
いじめを受けている児童を最後まで守り通すという認識のもと、いじめを受けている児童やいじめを知らせてきた児童の安全を確保するための手立てを講じる。
④いじめを行った児童への対応
いじめを行った児童に対しては、いじめは決して許されない行為であることを、適切かつ毅然と指導するとともに、いじめの行為に至った背景を把握し、当該児童及びその保護者に対して、いじめを繰り返さず、正常な学校生活を営ませるための指導や助言を行う。
⑤暴力、インターネットにかかわるトラブルについて
暴力を伴ういじめについては、いじめを受けている児童の心身及び財産等の被害を避けるため、また、インターネットを通して行われるいじめについては、いじめに関する情報が短期間で拡散する特性があることから、特に迅速な対応に努める。
(4)いじめの解消
①指導について
いじめを行った子どもに対しては、いじめは決して許されない行為であることを、適切かつ毅然と指導する。なお、いじめられた児童の立場に立っていじめに当たると判断した場合にも、「いじめ」という言葉を使わず指導することもある。また、いじめの行為に至った背景を把握し、その子どもと保護者に対して、いじめを繰り返さず、学校生活を営ませるための助言や支援を行う。
②学校・学級における指導
学校は、すべての子どもに対し、いじめを誰かに伝える勇気を持ち、いじめをしないようしっかり指導するとともに、学級担任は、学級の中でいじめを許容しない雰囲気が形成されるよう指導する。
③事後指導
いじめは謝罪をもって安易に解消している状態と判断しない。その後の状況を日常的なかかわりの中できめ細かく把握し、子どもとの対話を深めることで再発を防いでいく。
注:いじめが解消している状態とは少なくとも、
①いじめに係る行為の解消が3か月を目安に継続していること。(場合によってはその限りではない)
②いじめを受けた子どもが心身の苦痛を受けていないこと(本人、保護者に面談等で確認)
(5)家庭との連携
児童一人ひとりの発達段階に応じた道徳観や規範意識などを身に付けさせ、「いのちを尊ぶ心」や「他者を思いやる気持ち」を育むためには、家庭との連携が不可欠である。様々な機会をとらえ保護者の考えや意見を聞くとともに、家庭の協力を求めたり、家庭への啓発に努める。
(6)関係機関との連携
①いじめの発生にあたっては寒川町教育委員会ときめ細かな連絡を取り合う。
②必要に応じて、児童相談所、少年相談・保護センター、警察署等の関係機関との連携を図る。
(7)地域との連携
児童たちの健全な育成のためには、地域社会全体で児童たちを見守り育てる体制の構築が不可欠である。日頃から地域住民との良好な協力関係を築いておきたい。また、児童たちが地域社会の中で活動する場面や、地域の大人たちと接する中で、存在を認められるような仕組み、環境づくりも必要である。
(1)重大事態とは
○いじめを受けた児童の生命、心身または財産に重大な被害が生じた場合
○いじめを受けた児童が、そのため相当の期間の欠席を余儀なくされている疑いがある場合
(2)学校の対応
〇児童・保護者から、いじめにより重大な被害が生じたという申し立てがあった時は、重大事態とみなし、適切かつ真摯に対応する。
①重大事態が発生した場合、寒川町教育委員会への報告を行う。
②管理職を中心として緊急対策チームを組織して対応にあたる。適宜、臨時職員会議を招集して報告、協議等を行う。
③事態関係を明確にするための調査を実施する。
④いじめを受けた児童及びその保護者に対し、適宜、的確に情報提供を行う。
⑤学校が実施した調査結果等については、寒川町教育委員会に報告する。
(1)「いじめ防止対策委員会」は、いじめ防止等に関する日常の課題に機動的に対応できるよう、管理職を中心とした「校内支援委員会」のメンバーで構成し、児童の状況について情報交換を行うとともに、対策を講じる。また、事案の内容に応じては養護教諭等の関係教職員を加える。
(2)全体で共有すべき内容については、職員会議(臨時も含む)をもって充てる。