1人1台のタブレット端末に向けた道程

始まりは英語科

本校の1人1台を考え始まったのは、2012年9月からです。

英語科から情報処理室(現メディアセンター)に、英語科が家庭学習用に配付している英語の音声CDを、別の方法で聞かせる方法はないかという相談がありました。2012年の時点でも、すでに音声CDを再生する機会が既に家庭にないということが問題になっていました。

2012年の段階では、総務省や文部科学省が、2020年から1人1台のタブレット端末を整備する計画を示していました。そのため本校でも、その動向への対応を考える必要に迫られていました。

英語科と情報科、情報処理室の利害が一致し、1人1台への道程を歩み始めることになりました。

学校でのiPadの導入

本校の1人1台のタブレット端末導入は、2013年4月から開始されました。

2013年4月に、iPad miniとiPadを245台導入したことに始まります。
その際に、Wi-Fi環境の整備も行いました。
また、すべての普通教室にはApple TVも整備しました。

個人のiPadの整備

2013年4月から開始されiPad miniとiPadの活用から、iPadは個人使用した方が良い、という結論に至りました。

そのため、2014年4月から「3年生になったら1人1台のiPad miniをもつ」ことが始まりました。

「3年生になったら」ということで導入を開始し、2016年4月からは2013年度に学校で整備したiPad miniを含めて、3年生以上の全児童が1人1台のiPad miniをもって授業に臨む環境が整いました。

2017年4月からは、3年生以上の全児童が「自分のiPad mini」をもって授業に参加する環境が整いました。
それと同時に家庭学習との連携を念頭において、それまでのWi-Fiモデルから、NTTドコモのWi-Fi + Cellularモデルに変更しました。

2020年4月現在、4年生以上の全児童がiPad mini 4のWi-Fi + Cellularモデルを使用し、3年生はiPad mini 5のWi-Fi + Cellularモデルを使用しています。

2021年4月からは、1年生と2年生にもiPadを導入しました。もちろん、3年生は継続しての導入です。ここからは、iPad miniではなく、iPad(第8世代)としました。iPad miniは携帯性での利便性が高い反面、画面が小さいというデメリットがあります。iPadでは小学生の手には大きすぎる、ということでiPad miniにしてきましたが、これからはフルサイズのiPadを導入を進めていきます。

個人のiPadの整備で大切にしたいこと

2014年4月から、「3年生になったら1人1台のiPad miniをもつ」ことが始まりました。

その際、最も大切にしたのは「モラル」です。学校で使うものですから「教具」としての意味が多分にあります。しかし、デジタル機器に囲まれた生活が普通になっている子どもたちにとって、最も大切なのは「モラル」ではないかと考えました。

iPadを操作する上で、リテラシともいえる基本操作を教える必要をあまり感じていません。大人と違って、子どもたちは直感的にiPadを操作することができます。そのため、その操作方法を学校で授業として教える必要を強く感じてはいません。

これからの時代に必要なのは、「デジタル機器とどのように付き合っていくか」ということや、「お行儀良くデジタル機器を使うこと」の方が大切だと考えています。このことは一般的に「情報モラル」と呼ばれることかもしれません。しかし「情報モラル」に留まることなく、「モラル教育」としてiPadを活用していきたいと考えています。今であれば、このことはデジタル・シティズンシップと呼ばれるのかもしれません。

デジタル機器がより一層、生活に深く浸透し密接になるこれからの社会では、「できることでも、やってはいけない」という自制心を、これまで以上に強くもつ必要があります。そのような意識を育てることも、これからの時代の新たな学校の使命であると考えています。デジタル・シティズンシップという言葉にとらわれることなく、デジタル機器と仲良くかつお行儀良く付き合っていく方法を身につけてもらうことを、一番の目標にしています。

iPad miniを選んだ理由

2013年4月から学校でのiPadの整備から、本校では児童のiPadは、一部の例外を除いて、iPad miniとしてきました。

2013年4月の導入にあたっては、WindowsタブレットやAndroidタブレットの検討もしましたが、端末の操作性と安定性を重視して、iOS端末の導入を決めました。

児童のiPadは、画面の小さなiPad miniを採用しました。

それは自宅への持ち帰りを前提にしたためです。

iPad miniは、iPadに比べて画面の大きさが小さくなります。そのため、操作性に課題は残ります。その反面、小学生が持ち歩くことを考えると、筐体の小さなiPad miniの方が扱いやすいと考えました。

小学生は、大人に比べると体格が小さいという特徴があります。大きな端末よりも、持ち歩きを考えたとき、小さい筐体の方が利便性が高いと考えたためです。

Mobile Device Managementについて

2013年4月に学校でiPadした時には、iPadの管理という面で課題がありました。今でこそMobile Device Management(MDM)による管理が一般的になっていますが、2013年段階ではその管理は決して普及しているとは言い難い状況にありました。

2014年4月から本格的に1人1台の環境に歩みを始めるため、MDMによる端末管理の必要に迫られました。そこでMac miniでサーバを構築し、MacServerのプロファイルマネージャーによるMDMを戦時しました。

2017年4月からのNTTドコモのWi-Fi + Cellularモデルへの変更に伴って、3年生のiPad miniは安心マネージャーというMDMによる管理を開始しました。
また同時にiPad miniはDevice Enrollment Program(DEP)登録をし、ユーザー管理はApple School Managerで行うことにしました。
ここから2つのMDMでのiPadの管理となりました。

2018年4月のコンピュータ室のリニューアルの際、macOS端末とiPadの両方が管理できるJamf ProというMDMを導入しました。そのため、MacServerのプロファイルマネージャーによるMDMと安心マネージャー、Jamf Proの3つのMDMで端末管理をすることになりました。

3つのMDMの管理に不都合を感じ、2018年度末にすべての端末のMDMをJamf Proに変更しました。

iPadの管理について

児童のiPadは、Jamf ProというMDMによる管理を行っています。それはiPadの使用を制限するためではなく、iPadを「学びのツール」として意識して使ってもらうことが最大の目的です。

「学校のiPad」として、学びのツールとして使用するための設定をおこなうために、MDMを使用しています。

本校では、480台に及ぶiPad miniが1人1台の環境で活用されています。それらを一括管理する必要があるため、MDMを使用しています。

iPadはiPadとして使うから学びが深まる。

そのため、MDMによる制限は最低限として、iPadをiPadをして使用する環境を重視しています。

「制限があるからやらない」ではなく、「できることでもしてはいけない」ということがこれからのモラル教育には重要な意味をもっていると考えています。
したがって「制限されてできないからやならい」のではなく、「できることでもしてはいけない」ということを強く意識して、自らでiPadの使い方を考えることこそが、大きな課題であると考えています。

児童のApple IDは、Apple School Managerでのユーザー管理を行っている関係でManaged Apple IDになっています。
そのことで、iCloudの容量が200GBまで増えるというメリットがあります。その反面、App Storeでのアプリの購入ができません。学校で必要なアプリは、すべてJamf Proから配付することにしてます。
したがって、児童は自分でアプリをインストールすることができません。そのことでインストールするアプリを最小限にすることができ。iPadをより安定して使用することができるようになっていると考えています。