2024年度
≪特別記念講演≫
下河辺 美知子先生 (成蹊大学名誉教授)
(演題)
研究者像の自己プロデュース――文学研究から逸脱するスリル
(内容)
文学研究者としての自己像はどのように作り上げられるのか。学会内での立ち位置や大学で職を得るためなど、いくつかの条件のもと、われわれは研究者としての自己像を作っていく。意識的に作り上げる部分もあるが、研究を続けていく中で出会う人や作家・作品や批評理論とのからみのなかで、研究者の姿は形成されていく。メルヴィル研究から出発した私自身、個別作家研究から逸脱し、脱構築という”controversial”な批評と出会い脱構築の本場に赴いて精神分析批評という新領域に踏み込んだ。こうしたすべてがどのように統合されていったのか。自分の研究歴を考えながら研究者のアイデンティティのあり方について21世紀人文研究という文脈の中で考えてみたい。
(略歴)
イェール大学大学院アメリカ研究コース研究員(ACLSアメリカ研究フェローシップ)、イェール大学大学院英文科研究員(フルブライト研究員)、ニューヨーク大学大学院研究員。『グローバリゼーションと惑星的想像力:恐怖と癒しの修辞学』(みすず書房2015)、『トラウマの声を聞く:共同体の記憶と歴史の未来』(みすず書房2006年)、『歴史とトラウマ: 記憶と忘却のメカニズム』(作品社2000年)、『アメリカン・マインドの音声:トラウマ・文学・身体』(監修:小鳥遊書房2019年)、(共編著)『脱領域・脱構築・脱半球:二一世紀人文学のために』(小鳥遊書房2021年10月)、"Inland/Oceanic Imagination in Melville's Redburn : Expansion and Memory in the Political Climate of America." The Japanese Journal of American Studies, no. 29, 2018, 3~21. “Erasure of Voice in Post-War Japan: Derrida, Caruth, Oe.” Journal of Literature and Trauma Studies, Nebraska University Press, May 2019.
2024年度 立教英米文学会 開催要項
日時:2024年12月21日(土) 14:30~17:50
場所:立教大学池袋キャンパス 12号館B1 第1・2会議室
≪大学院生による発表≫
14:40~15:20 梅澤 琉登(立教大学大学院博士後期課程)
“The Black Cat” にみる近代的家族の諸相
≪発表≫
15:30~16:10 高階 悟(立教大学大学院修了、秋田県立大学名誉教授)
現在のポリティカル・コレクトネスと文化戦争
≪特別記念講演≫
16:20~17:50 下河辺 美知子 (成蹊大学名誉教授)
研究者像の自己プロデュース――文学研究から逸脱するスリル