Research

・有機典型元素化学

これまでの有機化学は第2周期の典型元素であるC, N, Oが中心となっていました。そこに第3周期以降の典型元素を組み込むことで新しい性質を有する有機分子が生まれます。最近我々は、集積二重結合化合物であるアレン類>C=C=C<の中心炭素を高周期16族元素に置き換えた新規アレン型分子ビス(メチレン)-λ4-カルコゲナン>C=Ch=C< (Ch = S, Se)の合成を達成しました。その性質はアレン型分子と大きく異なるもので、これまでの有機分子にない非常にユニークなものでした。様々な高周期典型元素を導入することでさらに新規な物性の発現が期待できます。

・ガス吸着材料の開発

工業ガスの安全な製造、貯蔵、運搬方法の開発は、工業の発展には欠かせません。そのためにガス吸着物質の開発が古くから研究されています。最近高い注目を集めているガス吸着材料が、多孔性の金属有機構造体、いわゆるMetal-organic Framework (MOF)です。MOFをガスボンベに充填させた状態でガスを貯蔵させると、MOFのない場合と比べて10倍以上の貯蔵量を得ると期待でき、様々な工業ガスを選択的に吸着可能なMOFが研究されています。本研究室では、ガスの貯蔵に適切な新規有機配位子の設計・合成とMOFの構築、ガス吸着能評価を行い、高いガス貯蔵能および分離能を有するMOFの開発を目的として研究を行っています。