卒業研究の内容は以下の通りです.
木下 朝登 「対称式の基本定理について」
次数付き辞書式順序により対称式が基本対称式の和と積で表せることを証明しました.またその表示が一意であることも証明しました.
池添 秀政 「ニュートン恒等式と多項式の判別式」
基本対称式とべき乗和との関係を記述するニュートン恒等式を証明しました.また与えられた多項式が重根を持つか否かが判定できる判別式を形式的に定義し,それがべき乗和からなる行列の行列式で表せることを示しました.これらを合わせることで,判別式が与えられた多項式の係数で書き下せることを証明しました.
魚崎 弦貴 「有限生成アーベル群の基本定理について」
整数からなる行列は必ず単因子標準形と呼ばれる標準的な対角行列に一意的に変形できることを証明しました.これを用いて有限生成のアーベル群も自由パートと捻じれパートと呼ばれる基本的な加法群のいくつかの直和に分解されることを証明しました.
石川 雄大 「生成元と関係式で定義されたいくつかの有限群について」
生成元と関係式で定義されたいくつかの有限群について,その集合の形を決定したり位数を決定したりしました.また元の位数を考察することで二面体群や一般四元数群などが互いに非同型であることを証明しました.
武田 真那実 「Sylowの定理とその応用について」
群論で重要なSylowの定理を証明しました.その応用として位数 pq(p,qは互いに異なる素数)の群の分類をしました.
井手下 颯真 「位数15までの群の分類」
有限生成アーベル群の基本定理やSylowの定理を用いることで位数15以下の群の分類を完遂しました.
修士1年生は1名おり,ホップ代数とその拡大理論の勉強をしました.
修士論文の内容は以下の通りです.
杉田 真一 「可換環の拡大におけるガロア対応について」
体の拡大におけるガロア理論を環の拡大に一般化する試みはこれまでたくさん研究がなされてきていましたが,その中でも比較的素直なChase-Harrison-Rosenbergによる可換環のガロア拡大の理論を学習し,いくつかの例を具体的に調べました.
浅井 明日 「組みひも圏と準三角ホップ代数について」
モノイダル圏は直和とテンソル積によってある意味で環とみなせますが,さらにテンソル積がある種の交換性(可換性)を持つとき組みひも圏(対称モノイダル圏)と呼ばれます.このような構造が豊かな圏は数学のみならず数理物理からも自然な研究対象として重要視されています(TQFTなど).モノイダル圏の非常に基本的な例はホップ代数の表現圏ですが,ホップ代数が準三角のときに(R-行列を持つ)表現圏は組みひも圏になります.Etingof-Gelakiはその準三角ホップ代数の中でも半単純かつ余半単純なものは,必ず有限群とそれに付随するいくつかのデータから構成されることを証明しました.そこで,彼らの構成方法を学習し,具体的な有限群を例にとりR-行列をいくつか構成してみました.
谷崎 翔 「対称な co-Frobenius 道余代数の決定」
Frobenius代数(対称代数)の双対概念としてco-Frobenius余代数(対称余代数)と呼ばれるものがあります.co-Frobenius余代数は余表現圏がよく振舞う概念ではあるもののその定義からすぐに例を構成することが難しいという問題点がありました.道代数の双対概念である道余代数はクイバーから構成されるがゆえ扱いやすい(計算しやすい)対象で,道余代数のco-Frobenius性に関しては既にDascalescu-Iovanov-Nastasescuによって決定されていた.そこで彼らの理論を学習し,さらに一歩進んで対称的な道余代数を完全に決定しました.さらにHopf構造を持つか否かも決定しました.
博士論文の内容は以下の通りです.
若尾 亮太 「有限次元半単純スーパー・ホップ代数の構造について」
これまで pointed というクラスのスーパー・ホップ代数の分類や構造解明を研究してきましたが,さらに複雑な半単純なものを体系的に研究しました.特に有限群とコサイクルから半単純スーパー・ホップ代数を構成する手法を発見しました.これにより10次元以下のスーパー・ホップ代数の完全な分類を完遂することができました.さらに分類されたものらの双対の様子も決定しました.
卒業研究の内容は以下の通りです.
丸川 心愛 「ジョルダン標準形について」(理論)
新見 匠真 「ジョルダン標準形について」(具体例)
ベクトル空間のフィルトレーションや線形変換の作用による不変部分空間を詳しく調べることによってジョルダン標準形の存在性と一意性を証明しました.証明は構成的なものなので,さらに具体的計算として3次正方行列の場合でジョルダン標準形がどのような形になるかを決定しました.
木村 音緒 「群の拡大とコホモロジー」
ふたつ群が与えられたときにそれらを正規部分群と剰余群にもつような群は拡大と呼ばれますが,その拡大の種類が因子団というペアによって記述されることを証明しました.特に中心拡大と呼ばれる良い拡大の場合は拡大の様子が2次コホモロジーで完全に記述されることを示しました.
渡辺 大智 「巡回群の群拡大について」
巡回群がふたつ与えられたときにそのコホモロジーを計算する方法を与えました.その具体例として素数位数の巡回群の中心拡大の個数および群の実現を与えました.
修士1年生は3名おり,それぞれ環上のホップ代数,テンソル圏,クイバー表現論の勉強をしました.
修士論文の内容は以下の通りです.
中村 大祐 「小さな量子群 u_q(sl_2) 上の余加群代数について」
Lusztigによって見出された小さな量子群は非常によいクラスの有限次元ホップ代数である(非自明でありかつ応用がある).環論において環が作用する加群の性質を研究することが重要であるように,有限次元ホップ代数の表現論においてはその表現圏(テンソル圏をなす)の作用するアーベル圏の性質を調べることは重要であり基本的である.実はそのアーベル圏は適当な余加群代数の表現圏になっていることが知られている.修論では小さな量子群のうち一番単純かつ基本的な u_q(sl_2) の場合に,その余加群代数をすべてリストアップしさらに同変森田同値のもとで分類を完遂した.
博士2年生は組みひもホップ代数から位相不変量を構成する手法などを学習しました.さらに昨年度に投稿した論文2本がアクセプトされました.
卒業研究の内容は以下の通りです.
堅田 海斗 「行列の標準形と群作用について」
線型代数学で学習したランク標準形やジョルダン標準形を,適当な(行列)群の作用による完全代表系の言葉に翻訳しました.
奥山 太喜 「対称群のブリュア順序について」
対称群の元の長さの概念が転倒数と一致することを示し,ブリュア順序と呼ばれる半順序を定義しました.
杉田 真一 「代数体のガロア理論」
有理数体の有限次体拡大に対して,ガロア理論を展開しました.
浅井 明日 「円の ℓ 分体の部分体」
ガロア理論を円の ℓ 分体に適用することでその部分体を(トレースの言葉で)すべて決定しました.
谷崎 翔 「テンソル積の完全性とホモロジー群」
加群のテンソル積を定義してその諸性質をみました.さらにその完全性(平坦性)を定量的に計る Tor をホモロジー代数学を用いて定義しました.
修士1年生は量子群の表現論や(スーパー)代数群の勉強をしました.
博士1年生は低次元スーパー・ホップ代数の分類に関する論文を2本書きました.
卒業研究の内容は以下の通りです.
(本人の希望により名前は伏せます) 「可換環上の行列とその性質について」
これまで線型代数学では実数や複素数を成分とした行列を扱ってきましたが,その成分を(固定した)可換環の元へと一般化したときに行列がどの様ん振舞うかを調べました.特に,行列式の概念を引き続き自然に定めることができ,行列の正則性の判定に関して有効であることをみました.
柴田 祥夢 「グラスマン代数について」
非可換環の例としてグラスマン代数(外積代数)の次元や積の交換法則を調べました.特に,可逆元全体の集合を決定しました.
久々湊 達哉 「グラスマン代数上のブロック行列について」
一般に非可換環の元を成分とする行列に対しては,これまでの線型代数で学んできたことが上手くいかないことを具体例を通して確認しました.一方で,グラスマン代数の元を成分とする行列の場合は,上手いブロック分けを考えることで,その困難が回避できることをみました.
西岡 佑起 「有限群の表現とその既約分解について」
有限群の表現論について体系的に学習しました.特に,マシュケの定理と呼ばれる,有限次元表現が必ず既約表現の直和に分解できることを証明し,さらに有限群の既約表現の(同型を除いた)個数が群の共役類の個数と一致することを証明しました.
中村 大祐 「対称群の既約表現と表現環について」 [PDF]
対称群の場合に,既約表現をヤング対称子を用いて構成し,既約表現がタブローと呼ばれる簡単な図形と対応することを証明しました.また,有限次元表現全体のなす圏にテンソル構造を入れ,そこから構成される表現環について,フロベニウスの公式で指標や内積を計算することにより,積の構造定数をいくつかの対称群に対して具体的に求めてみました.
修士論文の内容は以下の通りです.
若尾 亮太 「ボゾン化を用いた有限次元スーパー・ホップ代数の分類について」
有限群の分類問題の一般化として,有限次元ホップ代数の分類問題に関しては(テンソル圏の様々な例を与えるとして)現在もなお活発に研究が行われている.一方で,スーパー・ホップ代数に関しては,4次元以下の分類しかなされてこなかった(PCが用いられていた).そこで,本研究ではホップ代数のボゾン化と呼ばれる手法を用いることによって,より理論的・体系的に分類の研究を遂行した.特に,pointed と呼ばれる大きなクラスに関して,10次元以下の完全な分類を与えることができた.
卒業研究の内容は以下の通りです.
原 凜花 「対称式の性質とその応用について」
任意の対称式が基本対称式の多項式として得られることを証明し,特にべき乗和 $X_1^a+X_2^a+\cdots+X_n^a$ ($a=1,2,3,\dots$) を基本対称式で書き下しました.その応用として,行列のトレースとベキ零行列に関する一命題を証明しました.
修士論文の内容は以下の通りです.
長谷川 敦也 「リー・スーパー代数の普遍包絡代数と Harish-Chandra 射の性質について」
リー・スーパー代数に関する基礎事項を証明を略さずまとめ,その普遍包絡代数に対する PBW の定理をバーグマンの Diamond Lemma を用いて証明した.この PBW の定理を用いて定義された Harish-Chandra 射の性質やとりうる値に関して詳しく研究した.
修士1年生は「低次元 pointed スーパー・ホップ代数の分類問題」に関する研究をしました.
春学期は全員でテキスト
堀田 良之「加群十話」(裳華房)
を輪読し,秋学期からそれぞれの興味に合わせた専門的な勉強を行いました.
卒業研究の内容は以下の通りです.
下山 晴生 「同値関係と数の構成について」 [PDF]
ペアノの公理のもとで,適切な集合に同値関係を入れ商集合として整数環・有理数体を然るべく構成しました.さらにコーシー完備化により実数を構成し,これがちゃんと体を成すことを証明しました.
下垣 海斗 「ペロン・フロベニウスの定理とその応用」
成分がすべて正である正方行列には性質の良い固有値・固有ベクトルが存在するというペロン・フロベニウスの定理を証明し,その応用として有限グラフに付随する確率行列(マルコフ連鎖)について考察しました.
堤 建太 「グラフとページランクについて」
ペロン・フロベニウスの定理をウェブ全体のなすグラフに適用するために,非周期的グラフの性質を考察しました.特に確率行列が巾正ならば非周期的であることを示し,さらに応用として Google Page Rank の仕組みを勉強しました.
前原 愛 「有限体の存在と性質」
任意の素数の巾に対してそれを位数にもつ有限体を,適当な多項式の最小分解体として構成しました.さらにその乗法群が原始元で生成される巡回群になることを示しました(積構造の明示).他方で別構成の方法として,原始元の最小多項式の剰余環として有限体を実現しました(和構造の明示).
伊藤 佑馬 「QRコードの数学」 [PDF]
有限体の応用として,QRコードを描くために必要なRS符号とPGZ復号(エラー訂正)の仕組みを学習しました.その後,自分で選んだ4字熟語をその方法でコード化し,実際にQRコードを自分の手で描いてみました.また,エラー訂正が適切にできているかも実際に確認しました.
若尾 亮太 「円分体とガロア理論」
ガロア理論を "桂利行(著)「体とガロア理論」東京大学出版会" を教科書に学習しました.円分拡大の場合にガロア群やガロア対応を徹底的に記述しきりました.最後に応用として,正n角形の作図可能・不可能性について勉強しました.
修士1年生は「リー代数とその普遍包絡環」に関する研究をしました.
春学期は全員でテキスト
堀田 良之「代数入門 ―群と加群― (数学シリーズ)」(裳華房)
を輪読し,秋学期からそれぞれの興味に合わせた専門的な勉強を行いました.
卒業研究の内容は以下の通りです.
長谷川 敦也 「ガロア理論と代数学の基本定理」
体の拡大から始めてガロア対応までを学びました.ガロア理論の応用として,代数学の基本定理をシローの定理を援用して代数色強め(実数体の奇数次拡大体がないことだけ解析色あり)に証明しました.
三谷 和己 「2次形式とグラフ」 [PDF]
2次形式と対称行列の関係を学び,2次形式の様々な性質が行列の言葉で記述できることを学習しました.またグラフから得られる2次形式(対称行列)に関して,2次形式の正定値性の立場からグラフの分類(A,D,E)を行いました.
西森 大記 「三山崩しの必勝法とニム和」 [PDF]
いわゆる三山崩しというゲームを集合や写像の言葉で然るべく定式化し,先手・後手必勝の条件を記述しました.さらに具体的にニム和の言葉をもちいることで,この条件を明示的に書き下しました.
春学期はリー代数の教科書を全員で輪読し,秋学期からそれぞれの興味に合わせた専門的な勉強を行いました.
卒業研究の内容は以下の通りです.
荒川 勇也 「連分数と方程式の近似解」
連分数に関して近似分数の性質を調べ,無理数の連分数近似について学習しました.その応用として,(解の公式が存在しないような)次数の高い多項式が与えられたとき,その根の近似値を連分数を用いて表しました.
八木 健斗 「ニュートンの二項定理とその応用について」
二項係数を一般化し,二項定理の一般化であるニュートンの二項定理(テイラー展開形)を学習しました.その後に具体的な数の平方根や三乗根などの近似計算をこの定理を用いて計算し,さらにその収束の速さについて調べました.
三鍋 翔 「オイラーの定理と暗号への応用」
集合や写像の言葉を用いてオイラーの定理を現代的に証明し,その応用としてRSA暗号の原理(暗号化,復号化)を学習しました.
羽地 葵 「ジョーンズ多項式について」
結び目のライデマイスター移動を学習して,カウフマン多項式・ジョーンズ多項式を構成し結び目の不変量を勉強しました.特に,鏡像に関してジョーンズ多項式の変数がインバースになることを示しました.
井伊 隼平 「組みひも群とヤン・バクスター方程式」 [PDF]
カウフマン・ブラケットの性質を徹底的に調べることで,ステートたちのみたすべき関係式からヤン・バクスター方程式を導出しました.組みひも群の表現(およびクロネッカー・テンソル積)を考えると自然にヤン・バクスター方程式が出てくることを学習しました.
大城 陽夏 「線型リー群とそのリー環について」 (リー群の定義および性質)
位相の入った群であるリー群の学習をしました.特に,一般線型群に成分ごとの位相を入れ,この位相で群演算が連続写像であることを証明しました.行列の指数関数が連続写像であることを示し,1パラメータ部分群の性質について調べました.
石橋 紗枝 「線型リー群とそのリー環について」 (リー環の定義および性質)
リー群の単位元での接平面としてリー環を定義し,これがベクトル空間をなし,さらにブラケット積が入ることを示しました.行列の指数関数の微分の性質を調べることにより,一般線型群や特殊線型群などの具体的なリー群のリー環を決定しました.
春学期はリー代数の教科書
佐藤 肇 「リー代数入門 -線形代数の続編として-」(裳華房)
を全員で輪読し,秋学期からそれぞれの興味に合わせた専門的な勉強を行いました.
卒業研究の内容は以下の通りです.
戸成 達郎 「ガロア理論と解の公式の存在について」
ガロア理論(ベクトル空間として体拡大を扱い,その部分体をガロア群でコントロールする)を学習しました.その応用として,一般に5次以上の代数方程式には解の公式が存在しないことを証明しました.
永井 洸輔 「リー代数とその表現について」 (直交リー代数)
中島 康裕 「リー代数とその表現について」 (特殊線型リー代数)
リー代数の定義から始めて,ルート系の存在や表現を学習しました.半単純リー代数の既約表現全体が,基本ウェイトの言葉で特徴付けられることを具体例を通して確認しました.特に,直交リー代数のスピン表現の具体的な実現を行い,特殊線型リー代数 sl_2 の既約表現をすべて決定しました.
箱木 祐也 「πの超越性」 [PDF]
円周率πが超越数であることを代数的整数の性質や,基本対称式の性質を用いて示しました.
藤本 卓也 「RSA暗号とオイラーの定理」
オイラーの定理が RSA 暗号にどの様に使われているかを学習しました.特に,素数ふたつの積からなる合成数の場合に,効率の良い秘密鍵の見つけ方を調べました.