「ジェンダー」とは、社会的・文化的に作られた性であると理解されます。私たちの社会では、「女は女らしく」「男は男らしく」というジェンダーに関する固定観念や偏見が、家庭、学校、職場を含むさまざまな場面で見られます。そして私たちは成長する中で、こうしたイメージや規範を知らず知らずのうちに内面化し、当たり前のように受け入れてしまうことがあります。しかし、これらのバイアスは、人々に生きにくさ・暮らしにくさをもたらすだけでなく、個人が自分の能力を発揮する際の障害となり、さらには社会全体にさまざまな不公正や不平等を広げます。とくに日本は、国際的に見てジェンダー不平等が顕著であると指摘されています。
本プログラムでは、私たちが持つジェンダーのイメージや規範がどのようにして作られ、これらがどのような制度・社会を生み出しているのかを分析します。そしてそれらを見直し、変える方法を考え、実践に繋げることを目的にしています。
性や性別の問題は、人間が作りあげた世界のあらゆる側面と深く関わっています。そのため、ジェンダーの視点は極めて学際的かつ領域横断的であり、あらゆる学問分野に関連していると言えます。ジェンダー研究は、あらゆる学問が、ジェンダーの問題に意識的になるべきだと考えています。私たちが生きる社会だけでなく、私たちが学ぶ学問分野にも、ジェンダーのバイアスが潜んでいます。本プログラムでは、人文・社会・自然の3つの領域からアプローチし、ジェンダーの観点を通じて既存の社会秩序や学問体系を問い直します。また、性自認や性的指向を含む個々の多様性を尊重し、誰もが自身の可能性を十分に発揮できる社会の実現を目指します。
本プログラムのカリキュラムは、【基幹科目】と【展開・トピックス】の2つのカテゴリーから構成されています。基幹科目は、本学群の人文・社会・自然・統合領域の学問分野において、ジェンダー概念を講義の中心テーマとして取り上げる科目、および性の定義を根本的に考えるために生物学の科目で構成されています。展開・トピックスには、労働経済学や家族社会学のようにジェンダーを重要な要素とする科目、小説や特定の歴史・地域を題材にジェンダー問題を扱う科目などで構成されています。これらの科目群を履修することによって、ジェンダーの問題を学際的・多面的に理解する力を養います。
必修または選択必修を含め;
マイナー:合計16単位