人工知能概論

授業の内容

人工知能の最新技術である深層学習(deep learning)を使った画像認識能力の飛躍的な向上、車やドローンなどの運転に関する完全な自動化時代の到来、人間の知的な営みと思われていた将棋や囲碁においてプロを打ち負かすプログラムの開発などによって、21世紀に入って人工知能のいわゆる第3次ブームが到来し、インターネットなどでも人工知能のニュースを見聞きしない日はないと言ってよい。このブームに後押しされて、企業はもちろんのこと、大学や研究機関でも人工知能をどのように活用すべきかということが火急の話題となり、分野を問わず様々な研究者が人工知能に興味を持ち出している。その結果、大学生が人工知能の最低限の知識を習得することは「読み書きそろばん」のように、必須のこととなった。

そこで本ユニットでは文科省等の推進する「数理・データサイエンス・AIリテラシー教育」の内容に則って、人工知能に関する入門的な授業を行う。まずこれからの社会においてデータ思考が重要であることから解きほぐし、データの種類やそれを活用するシミュレーションに関する議論、データの様々な表示の仕方や解釈の仕方、現実社会でのデータの利活用のされ方、以上を解析するためのデータサイエンスの必要性、最新の人工知能研究などについて概観する。授業の半分は討論やレポート作成のための資料作りなどに当てられる。また本学の医学部における人工知能教育の特色として、実際の医療データ(医療診断画像やバイタルの時系列など)を用いた講義や実習を行う。

行動目標

  1. データ思考がなぜ重要なのかを説明できる。

  2. Society5.0 という言葉について説明ができる。

  3. AI の歴史(第1 次、第2 次、第3 次)について説明ができる。

  4. カーツワイルのシンギュラリティについて説明ができる。

  5. データにはどのような種類があるか、1 次、2 次データとは何か説明できる。

  6. Python の簡単なプログラミングができる。

  7. データを用いたシミュレーションについて説明ができる。

  8. 画像処理や音声処理の仕組みについて説明ができる。

  9. ビッグデータについて説明ができる。

  10. データサイエンスのサイクルについて説明ができる。

  11. データAI の利活用領域について具体例を挙げて説明ができる。

  12. データAI の最新動向について説明ができる。

  13. 人工知能と医療・医学との関係について説明ができる。

  14. 人工知能に関する総合的な議論、発表ができる。

評価方法

基本的に、行動目標に掲げた項目に関するレポートと小テストを課し、その内容を評価に合算する。またユニットの最後に人工知能に関する総合的な発表を行うこととし、その内容を主たる評価の対象とする。


評価基準

優 :80点以上。到達目標に十分達している。

良 :70点以上80点未満。到達目標に概ね達している。もう一歩深く踏み込んだ学習が必要である。

可:60点以上70点未満。到達目標にもう一歩のところであるが、個人による更なる努力を期待して、不合格とはしない。

不可:60点未満。到達目標に達していない。もう一度、初めから当該科目を学習し直す必要がある。