Cryopreservation Conference 2026(クラカン2026)でご講演いただく皆様を紹介いたします。
金沢大学 理工研究域 生命理工学系 教授
講演タイトル:「Cryopreservationは凍結保存?」
Cryopreservationはよく、「凍結保存」と訳される。Gemini, Copilot, Claudeに聞いてみたところ、やはり和訳は「凍結保存」であるとの返答であった。もちろん、本会にご参加なさる方々の中には、「極低温保存」あるいは「超低温保存」だと仰る方もおられるかもしれない。しかし実のところ、論文や要旨の中では「細胞を極低温保存した」ではなく「細胞を凍結保存した」と書かれることが多いのではないか。近年我々は、低温下での「非凍結保存」を達成し、Cryopreservationの和訳は「凍結保存」ではないことを改めて証明した。非凍結保存とは液中での保存を意味し、スフェロイド(細胞塊)などの柔らかい組織に適する保存法であることを示した。また本講演では、Cryopreservationや凍結保存におけるその他の課題と、新規保護剤を利用して課題を乗り越える手法についても触れる。
日本原子力研究開発機構 物質科学研究センター 研究主幹
講演タイトル:「中性子準弾性散乱による生体系の水の低温物性の解析」
中性子散乱は水素原子の運動を高感度に捉えられることから、生体物質と水のダイナミクスを分子レベルで調べる有力な手法である。これまで中性子準弾性・非弾性散乱を用いて、タンパク質の水和や動力学転移、糖ガラス中の分子運動などを研究してきた。本講演では、こうした研究を基に、生体系の水が低温化やガラス化に伴ってどのように運動性を変化させるのかを紹介し、さらにグリセロールや糖などの凍結保護物質が水と生体分子の運動をどのように制御するのかについて超低温保存との関連から議論したい。
北海道大学 大学院水産科学研究院 教授
講演タイトル:「魚類遺伝資源の保存と利用 ― 魚類特有の制約と保存技術の展開 ―」
魚類はさまざまな環境に生息し、個体のサイズや繁殖様式など非常に多様性に富んでいます。魚類でも他の生物と同様、希少種や絶滅危惧種の保全や遺伝資源の保存の必要性が増しています。また、養殖に向けた育種や効率的な種苗生産に向けても遺伝資源保存技術の需要が高まっています。本講演では、魚類で開発されてきた遺伝資源保存法について、他の産業動物とは異なる魚類特有の事情とともに、私がサケ科魚類で取り組んでいる精子凍結保存法とその利用について紹介します。