観測企画
~気象夏の自由研究~
気象学を学ぶ皆さんは、せっかく琵琶湖まで出かけるからには何か気象観測をしたくてたまりません。
そんな皆さんの希望に勝手に答えて、本年度の夏学では任意参加型のレクリエーションとして気象観測を行います。
題して、「気象夏の自由研究」!
課題:琵琶湖には海陸風ならぬ「湖陸風」はあるか?
海と陸では、比熱の違いにより日中は陸側が比較的高温に、夜間は海側が比較的高温になります。これにより右図のような海陸風循環ができます。
では、日本最大の湖である琵琶湖でも、果たして同様の「湖陸風」循環はできるでしょうか?
皆さんの手で確かめてみましょう。
(ネタバレ:参考文献)
図1 日中:海風 (湖風)
図2 夜間:陸風
2時間に一度程度屋外に出て風向・風速を測り、ホドグラフに記入していきましょう。
もし図3のような湖陸風があるならば、図4のようなホドグラフが描けるはずです。
また、朝昼夜にラジオゾンデを放球して上空の風も測り、図1,2のような鉛直循環があるかも調べます。
図3 予想される湖陸風
図4 予想されるホドグラフ
内容
地上観測:2日目の日中から夕方にかけて、屋外で風向・風速を測定して記録します。1枠2-3人ずつの当番制とします。
※悪天候時は近隣の今津アメダスの観測値で代用します。
アメダス:琵琶湖周辺には12のアメダス観測点・気象官署があります。他の地点での風向・風速もホドグラフにしてみましょう。
ラジオゾンデ観測:2日目の朝昼夕に計3回、施設の外でラジオゾンデを放球します。風向風速や気温などの鉛直分布を調べましょう。
※都合によりラジオゾンデ観測は実施できなくなる可能性があります。
評価:先行研究を参考に、どのような条件で発生した風の場であるかを考察しましょう。
発表:観測結果をまとめて最終日に発表を行います。
参加方法
夏の学校に参加申し込みをする際に「観測企画への参加を希望する」の項目に記入してください。
※本企画の定員は約12名の予定です。申込多数の場合は参加申込順、学年、所属大学の分散性などを考慮して参加者を選別いたしますので、予めご了承願います。
皆さんの積極的なご応募をお待ちしています。
なお、ホドグラフの記入用紙は参加者全員にお配りします。観測結果は掲示しますので、観測に参加されない皆さんもぜひ各自でホドグラフを作成してみてください。
参考文献
中島鴨太朗、後町幸雄、井上治朗 (1977) : 琵琶湖周辺の気象(1)、京大防災研年報第20号 B-2, 553-569
枝川尚資、中島鴨太朗、 (1979) : 琵琶湖周辺の気象(2)、京大防災研年報第22号 B-2, 143-154
枝川尚資、中島鴨太朗、 (1981) : 琵琶湖における湖陸風の研究、地理学評論 54-10, 545-554
枝川尚資 (1992) : 琵琶湖北部流域における夕刻の局地風について、地理学評論 65A-10, 735-746
玉井昌宏、石井義裕、磯野知信、(2001): 琵琶湖湖上風の数値シミュレーション、水工学論文集、第45巻、1231-1236