招待講演

招待講演者(敬称略)

向川均

Hitoshi Mukougawa

京都大学 理学研究科

教授

竹村和人

Kazuto Takemura

気象庁大気海洋部 気候情報課
異常気象情報センター 

気候解析係長

伊東瑠衣

Rui Ito

海洋研究開発機構

特任研究員

宮本佳明

Yoshiaki Miyamoto

慶應義塾大学 環境情報学部

准教授

髙木雅史

Masashi Takagi

日本気象協会 環境・エネルギー事業部

講演詳細(講演順)

向川均

京都大学理学研究科 教授

講演タイトル

大気大規模運動の力学と予測可能性変動 

講演要旨

私はこれまで約45年間「大気大規模運動の力学と予測可能性変動」について、ときに彷徨いながら、またあるときは脇道を行きつ戻りつしながら研究してきました。

この研究分野に誘ったのは、学部3回生の頃からご指導賜っている京都大学名誉教授廣田勇先生の名著「大気大循環と気候」との出会いです。

講演では、これまで取り組んできた「天候レジームと関連する大気運動の非線型力学」、「ブロッキングや成層圏突然昇温発生時の予測可能性変動」、

「惑星規模波の下方伝播」などの話題ついて研究背景も含めてご紹介したいと思います。

受講生の皆様には、「大気大循環と気候」、特に、その掉尾を飾る「研究のおもしろさ-あとがきにかえて-」を予めご一読されることをお薦めします。


参考文献:廣田勇, 1981:大気大循環と気候. UP Earth Science 7, 東京大学出版会.

学生へのメッセージ

ときにはスマートフォンをカバンにしまい、大空を流れる雲をボーッと見上げながら、ご自身の研究について思いを巡らしてみては如何でしょうか?

脳内でデフォルト・モード・ネットワークが活性化し、何か良いアイデアが浮かぶかもしれません。日々精進ください。

竹村和人

気象庁大気海洋部 気候情報課

異常気象情報センター 気候解析係長

講演タイトル

気候解析業務と研究の二刀流を目指して 

講演要旨

私は京都大学大学院修士(博士前期)課程において「ブロッキングの予測可能性」に関する研究を行い、修了後は気象庁に入庁しました。

入庁後2年間は航空地方気象台での観測業務を経験し、その後は現在の部署において異常気象の要因分析を含む気候解析業務に携わっています。また、現在の部署に在籍しながら、人事院の派遣制度を活用して京都大学大学院(博士後期課程)に社会人として編入学し、「夏の日本付近に異常気象をもたらすテレコネクションパターン」に関する研究にも取り組みました。

講演では、現在の業務内容の紹介に加えて、業務と研究活動の二刀流を目指した近年の奮闘記についても触れたいと思います。

学生へのメッセージ

私は、大学院を卒業して社会人となるのか、あるいは大学院博士課程まで進学して研究者を目指すのか、悩んだ時期もありました。私は結果的に前者の進路を選択しましたが、その後、職場の環境にも大変恵まれ、もう一方の進路(博士課程への進学)も経験することができました。

キャリアの歩み方に関しては、皆さんが想像されているよりもはるかに多くの選択肢が用意されていると思います。私の講演が、皆さんの今後のキャリア形成の参考になればと思います。 

伊東瑠衣

海洋研究開発機構 特任研究員

講演タイトル

地域気候研究の発展の下で 

講演要旨

都市気候に関する研究で学位を取得後、地域スケールでの気候変動に関する研究コミュニティで研究を続けてきました。

最近では猛暑の将来予測をはじめ、猛暑や熱波が原因となる健康リスクに関しても研究対象を広げています。

講演では、これらを含む地域気候研究の最新の動向を紹介するとともに、私自身のこれまでのキャリア(編入学、新卒就活、海外での研究生活etc.)も振り返ってみたいと思います。

学生へのメッセージ

好きなこと、なんか面白そう、と思うことをどんどん増やして、「自分」を広げてみるのはいかがでしょうか。

そうすれば「私の人生、なかなかオモロくなってきたな」と思う機会が増えていくように思います。

当日は、何か新しい気づきがある時間をお互いに過ごせればと思っています。

宮本佳明

慶應義塾大学 環境情報学部 准教授

講演タイトル

気象学研究の魅力 

講演要旨

これまでに私は、台風や対流などについて、日本・米国で研究を行って来ました。今は私立大学の教員で、研究時間は限られてしまうのですが、仕事を頑張った褒美としてひっそり研究しています。それでも、好きなことを仕事の一部にできていることは幸せに感じます。 元々私は学部の時に機械工学を学んでいて、大学院に進学する時に気象学に専門を変えたのですが、研究を始めるとすぐにのめり込みました。気象学を学ぶほとんどの方は、おそらく仕事を得るためではなく、興味があって分野に入ってきたのだと思います。好きなことを深めることは、どのような道に進んだとしても、人生において非常に重要なことだと思います。今回は、僕が気象学にのめり込んで行った皆さんと同じ年頃の頃に、具体的にやっていた研究内容をご紹介しつつ、研究者を選んだ過程などをお話できればと思います。 

学生へのメッセージ

好きなことを突き詰めることは人生の糧になると思います。迷うことなく進んで下さい。 

髙木雅史

日本気象協会 環境・エネルギー事業部

講演タイトル

民間気象会社に就職した元理系学生の一体験談 

講演要旨

私は大学院で海岸工学研究室で研究をしたのち、民間気象会社に就職しました。

学生時代は海を中心に取り扱っていましたが、会社に入って最初の数年は陸上や上空のことを取り扱っていました。

最近はエネルギー事業に関する海洋分野の仕事をしています。

講演では4年目職員の目線で、気象・海象を幅広く取り扱う民間気象会社に入るまでの過程とこれまでの仕事内容についてお話しできればと思います。

学生へのメッセージ

気象会社で働いていると、生活のあらゆるところに気象が関わっていることを実感させられます。

奥が深い気象・海象の分野を取り扱う同志として、少しでも皆さんのお役に立つことができれば幸いです。