名城大学 農学部 応用生物化学科

生物制御科学研究室 

Hamamoto Group

Faculty of Agriculture, Bioregulatory Science Lab. 

生物制御科学研究室では山口先生グループと濱本グループに分かれて研究を行っています。山口先生グループの研究内容についてはこちらを参照してください。

①抗酸化性分子の設計・合成

 ヒドロキノン骨格を持つ分子は抗酸化作用や美白作用を示し、医薬原料・化粧品素材・酸化防止剤等に用いられています。ヒドロキノン関連化合物はその構造の違いにより活性が変化し、ときに副作用や毒性を示すことがあるため、その合成制御法の開発は重要課題になります。当研究室では、製紙産業やバイオエタノール製造プロセスの副産物として大量に排出され、その有効活用法・高付加価値化が課題となっているリグニンの分解から得られるフェノール酸類からヒドロキノン骨格への変換法の開発をおこっています。さらに、本法を用いた多置換ヒドロキノンの設計と合成、そのDPPHラジカル消去能・チロシナーゼ阻害活性等の測定による抗酸化作用や美白作用の評価を試みています。

②藻類由来高分子媒体を用いる酸化反応制御

 水産資源に恵まれた我が国において、藻類は重要な研究対象であり、化粧品素材、医療用素材として利用することができます。藻類由来高分子質は多糖類で構成され、固有の相互作用能・吸着能・導電性等の特性をもち、また、天然における生合成反応場でもあるため有機反応場として興味深いですが反応用媒体としては脆弱で実用性に欠けます。当研究室では、藻類由来高分子と相溶性が高い合成高分子と複合化さることにより藻類由来高分子媒体を調製し、その媒体特性の特徴を生かした酸化反応制御を目指した研究に取り組んでいます。併せて、抗酸化物質変化に対して藻類由来高分子媒体が与える影響の評価も試み、化粧品素材としての活用についても検討しています。

③フランカルボン酸からフラノン関連化合物の合成

 フラノン骨格を持つ揮発性分子は、主にフルーティノートの香調を持つものが多く、あわせて、さまざまな生理作用を示すものが報告されており、機能性香気分子としても注目されています。当研究室では、食品加工残渣(トウモロコシの穂軸、籾殻、麦殻など)から得られるフランカルボン酸から酸化反応を用いてフラノン関連化合物に変換する方法を開発し、本法を活用した抗酸化性分子の設計・合成・活性評価を目指した研究に取り組んでいます。

④植物成分に着目した機能性分子開発

 植物は、紫外線・害虫・微生物といった植物にとって有害なものから身を守るために多様な化学成分(フィトケミカル)をつくりだします。フィトケミカルの中には抗酸化作用をもつものが多く存在し、それらは生活習慣病を予防する効果や老化を防止する効果を示すことが期待されるため、医薬品・化粧品・機能性食品開発における鍵物質になりえます。本テーマでは、植物の抗酸化性成分の探索と機能解析をおこない、その結果に基づいた新たな抗酸化性分子の開発に取り組んでいます。

・食用サボテンの成分に着目した検討:近年、食用サボテンは生活習慣病の予防・改善に効果がある植物として注目され、フェノール酸をはじめとする抗酸化成分を豊富に含むことが知られている。当研究室では、国内有数のサボテン産地である愛知県春日井産のサボテンを用い、その抗酸化特性の評価・成分の解析・成分をモデルとした機能性分子の開発・有効活用法の模索を試みています。

・桑葉の成分に着目した検討:クワは、養蚕の飼料としてかつては全国各地で盛んに栽培されていたが、養蚕業の衰退に伴い耕作放棄桑園の増加が地域課題となっている。桑葉は「カイコのみがクワを食べる」ことにも関わる成分として糖類似アルカロイド・ケルセチン配糖体・クロロゲン酸等の成分をもつことが知られている。当研究室では、豊田産の桑葉について、その抗酸化特性を評価するとともに、製茶方法の工夫により抗酸化機能を高めた製品の開発を目指した検討を試みています。

⑤抗酸化作用を示す美容液の評価と特性解析

 活性酸素種は肌のトラブルや老化を引き起こす要因の一つであり、抗酸化物質はその抑制に関与することができます。ビタミンCの欠点である不安定性を改善した各種ビタミンC誘導体が抗酸化物質として配合された美容液が多く用いられていますが、近年、植物由来の抗酸化物質に着目した製品も注目されつつあります。当研究室では、豊田産の繭玉の抽出液を用いて製造された美容液やサボテン抽出エキスを用いて製造された美容液について、その抗酸化成分の解析や抗酸化特性の評価を行っています。

(キーワード)

抗酸化作用、有機化学、反応制御、合成化学、有機反応場、酸化反応、機能分子、ヒドロキノン、フラノン、超原子価ヨウ素試薬、春日井サボテン、桑葉、繭エキス、藻類、食品加工残渣、美白作用、美容液

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