ハイブリッド授業の実施方法

ハイブリッド授業の実施方法

対面授業の実施にあたっては、同時に、基礎疾患を有している、あるいは高齢で基礎疾患を有する家族と同居しているなどの理由で通学や対面授業への参加に不安を感じる学生への配慮が必要となるなど、非対面授業の活用も引き続き求められます。

対面授業を何らかのかたちで非対面でも受講できるようにハイブリット化し、かつ現実的な対応として、最小限の労力と機材で実現できる方法を考案しました。いくつかの授業類型を想定しており、必ずしも全ての授業にそのまま適用できるものではありませんが、参考となりましたら幸いです。

対面授業の分類

1.資料解説型授業:

  主として資料を教室プロジェクターに投映、または配布した資料を用いて解説する授業

2.板書解説型授業:

  主として板書を用いて解説する授業(板書とプロジェクター投映資料や配布資料の併用の場合を含む)

3.演習型授業  :

  外国語の演習、または学生の発表や討論が主となる授業

ハイブリッド形態の分類

1) HA-type   :対面授業を同時配信する

2) HB-type   :対面授業を録画し、録画授業を配信する

3) HC-type   :対面授業を録音し、音声解説を配信する

HA-type はハイブリッド授業の中でもハイフレックス型と呼ばれるタイプです。同期型の授業であるため、遠隔受講者も授業中に質問できたり、討論に参加できたりと、適切に実施することにより教室受講者と近い学習環境が期待でき、幅広い授業に対応できることが特長です。学期を通じて通学が困難な学生への対応に適しています。また、録画機能を併用することで、急遽配慮が必要となった学生へも対応が容易となります。

HB-type 及び HC-type は同期型の授業ではなく、遠隔受講者はオンデマンド型の学習を行うこととなり、時間や場所の制約なく受講が可能になります。新型コロナウイルスに感染した、濃厚接触者と認定された、あるいは類似症状のために授業を欠席した学生に対する配慮として有効である他、教室で受講していた学生にとっても授業を復習する機会が得られる副次的な効果があります。

1.資料解説型授業


この授業類型は、中規模以上でマイク設備が設置されている教室での実施を想定してハイブリッド化を検討します。

1-1) HA-type

Zoomを用いて授業を同時配信することによりハイブリッド化が可能です。ノートパソコンのカメラの撮影範囲内にスクリーンが入らないようにご注意ください。音声のエコーを防ぐために、教室内でZoomのコンピュータ―音声に接続するノートパソコンは先生用の 1 台のみとすることが重要です。

映像に関しては、プロジェクター投映資料や配布資料をZoom上で画面共有いただき、先生はノートパソコンのカメラの撮影範囲内で解説してください。遠隔受講者はその画面共有された資料を見ながら授業を受けます。教室受講者向けにはノートパソコンでZoomを全画面表示した状態で教室プロジェクターへ出力してください。配信と資料提示用のノートパソコンは1台で十分と考えられます。

音声に関しては、教室ウェブカメラが設置されている教室では、直接ノートパソコンに取り込むことが可能です(機器・教室設備ページの教室ウェブカメラマニュアルを参照ください)。それ以外の教室でもマイク設備等を活用すればノートパソコンだけで十分と考えられます。教室音声を遠隔受講者に聞かせるためには、教室スピーカーの音声をノートパソコンの内蔵マイクやスピーカーフォンで拾います。授業開始時に遠隔受講者に音声が聞こえるか確認してください。教室受講者の発言も発言者にマイクを使用させる(マイクの共有にあたっては消毒を徹底してください)、または先生が復唱することにより遠隔受講者に聞かせることが可能です。遠隔受講者の発言は、ノートパソコンをHDMIケーブルで接続するか、またはノートパソコンのスピーカー付近に教室マイクを置いて音声を拾う方法によって教室スピーカーから出力することが可能です。

1-2) HB-type

撮影時の映像、音声に関する要点は上記1-1)と同様です。通常どおりの対面授業を行いながらZoomを利用して撮影・録画してください。Zoomのクラウドレコーディング機能を利用して録画ファイルを残すと、動画をアップロードする手間が省けます。クラウドレコーディングで録画動画を公開する準備ができるとメールで通知が届きますので、遠隔受講者にPandAの「Zoom (KU license)」経由でアクセスするように連絡してください。Zoom以外で撮影した録画ファイルはPandAの「メディアギャラリー」等にアップロードしてください。

1-3) HC-type

通常どおり対面授業を行っていただき、その授業音声をICレコーダー等で録音し、音声ファイルを授業で提示した資料とともにPandAの「授業資料」等にアップロードしてださい。

この方式では安定した録音レベルを保つため、教室マイクを利用し IC レコーダーやノートパソコンを教室スピーカーの近くに設置してください。

教室では IC レコーダーのオンオフだけで済むことから先生方にとって最も負担の少ないハイブリッド化と考えられます。しかし、例えば、教室内で説明の強調のためレーザーポインター等で指示していることを知り得ない、など遠隔受講者は教室内の視覚情報を得ることができません。また、極力、指示語を用いないなど、音声のみでも理解できるように丁寧な解説を心がけてください。

2.板書解説型授業


板書解説型授業のうち、先生方の解説、プロジェクター投映資料や配布資料のハイブリッド化は、1.資料解説型授業と同じ対応になるため、ここでは板書のハイブリッド化に焦点を当てます。

2-1) HA-type

黒板(白板)から3メートルぐらい離れ場所がノートパソコンの設置位置の目安です。通常画角のカメラでは黒板の半面(約4メートル)、広角のカメラでは黒板の全面(約8メートル)が撮影範囲になります。通常画角のカメラで撮影する場合は板書の位置によってノートパソコンの位置を移動させてください。教室後方に着席する学生にも見えるように大きな文字で板書いただければ、遠隔受講者は Zoom を通じて十分視認できます。

ノートパソコンの内蔵カメラより、ウェブカメラを利用いただいた方が画質が良いです。ウェブカメラが設置されている教室では、教室のウェブカメラをご利用ください。

ノートパソコンの設置位置によりHDMIケーブルが接続できない場合は、遠隔受講者の声を拾うため、ノートパソコン内蔵マイクまたはスピーカーフォンの近くに教室マイクを置いてください。

なお、撮影用ノートパソコン上は映像が左右反転している場合がありますが、遠隔受講者には正常に見えています。ノートパソコン上も正常に表示させたい場合は、Zoom の左下のビデオアイコン隣の上向き矢印をクリック>>ビデオ設定から「マイビデオをミラーリング」のチェックを外してください。

2-2) HB-type

2-1)と撮影時の注意点等は同じですが、板書によって進められる授業はビデオカメラで撮影することもできます。固定したカメラで黒板(白板)を俯瞰的に撮影することも可能ですが、文字の視認性にご注意ください。TA等の撮影補助者がいれば、適宜撮影方向や映像の拡大、縮小により視認性を確保しながら撮影することが可能です。

2-3) HC-type

撮影にビデオカメラ等を用いない方式ですので、板書をデジタルカメラ等で撮影し、板書写真を授業資料として提供する方法が考えられます。撮影した板書は、そのままでは授業のどの部分の板書であるか分かりづらいため、同時に配布する音声解説資料のどの部分の板書であるか説明を加えて、PandA の「授業資料」等にアップロードしてください。

3.演習型授業


演習型授業は、小規模でマイクが設置されていない教室での実施を想定し、その特性に応じたハイブリッド化を検討します。

3-1) HA-type

演習型授業もZoomを用いて授業を同時配信することでハイブリッド化が可能です。

外国語の演習や討論の授業では、教室を俯瞰できる位置にノートパソコンを設置して撮影し、Zoomをギャラリービュー表示にした上でノートパソコンの映像をプロジェクターに出力することで、教室受講者と遠隔受講者がお互いの参加状況を見ながら授業に参加することが可能になります。

一般的に一教室内でZoomに接続した端末 2 台以上のマイク・スピーカーを同時にオンにした場合、エコーなど、音の問題が発生します。この問題を回避しつつ、教室受講者と遠隔受講者を混成させたペアやグループを実現できる方法を考案しました。教室受講者と遠隔受講者が混在する授業内で、ペアやグループを編成すると、(1)教室受講者のみ、(2)遠隔受講者のみ、(3)教室受講者と遠隔受講者の混成、以上のいずれかとなります。(1)については、従来の対面授業と同様、Zoomに接続せず学生間の距離を保ちつつ直接会話等させてください。(2)については、Zoomのブレークアウトルームでペアやグループに分けることで会話等をさせることが可能です。(3)については、一教室内でZoomに接続した端末は同時に2台以上マイク・スピーカーをオンにしない原則から、混成を1ペアまたは1グループに限定し、他は教室受講者だけ、遠隔受講者だけに分けてしまうことが1つの解決策です。しかし、ペアやグループが固定されている、あるいは頻繁に入れ替える必要があるなど、さまざまな理由から複数の混成ペアやグループを編成する場合も想定されます。複数の混成ペアやグループを編成しZoomのブレークアウトルームに移動させた後、ペアの場合は教室参加者のマイク・スピーカーを、グループの場合はグループの教室参加者の中で誰か1名のみマイク・スピーカーをオンにさせることで、ブレークアウトルームごとに音声が独立することを利用して音の問題を回避することができます。ただし、当然、教室内の他のペアやグループの学生の話し声が Zoom 側に入ることがあります。また、ブレークアウトルームからミーティングに戻る前に再度マイク・スピーカーを切る(コンピュータのオーディオから退出する)ことを学生に徹底させてください。

講読や発表の授業では、発言者が教室受講者の場合は、発言者にカメラを向けて撮影してください。遠隔受講者の場合はZoomが発言者を自動的に大写しする機能を有しているので、特段の操作の必要はありません。資料を提示して発表する場合は、教室受講者、遠隔受講者のどちらもZoomの画面共有とカメラ撮影の併用によって実現が可能です。遠隔受講者が画面共有するためには、参加者の画面共有を可とする、あるいは発表者に共同ホスト権限を割り当てる設定が必要ですのでご注意ください。

小規模教室はマイク設備がないため、遠隔受講者の音声はノートパソコンをHDMI接続して教室スピーカー(一部教室はプロジェクターのスピーカー)から出力してください。

3-2) HB-type

Zoomを用いてノートパソコンで撮影する場合の注意点は3-1)と同様です。ビデオカメラを用いて撮影する場合の撮影位置も3-1)と同様に外国語の演習や討論の授業は俯瞰で、講読や発表の授業は発言者を撮影してください。録画ファイルは、PandAの「メディアギャラリー」等にアップロードしてください。

3-3) HC-type

教室でICレコーダー等を用いて授業を録音し、授業で提示した資料とともに音声ファイルをPandAの「授業資料」等にアップロードしてください。小規模教室ではICレコーダーやノートパソコンの設置場所による影響は少ないと考えられます。

ただし、演習型授業は、授業方法の特性上、発表や討論が中心となることから、このタイプによるハイブリッド化は遠隔受講者にとって受講しづらいものとなることが想定されます。例えば、遠隔受講者は教室内の視覚情報が得られないため、討論など複数人が発言する場合に発言者を特定して議論を追うことが困難になる等の問題が生じ、さらに補足を加えたとしても効果は乏しくなることが予想されます。このため、HC-typeはこの授業形態をハイブリッド化するに適したタイプとは言えないと考えられます。

参考

Bluetoothヘッドセットを教室マイクの替わりに利用するには?(Windows PC)

新型コロナウイルス感染症対策のため、お手持ちのBluetoothヘッドセットを教室のマイクの替わりに利用できないかというお問い合わせを伺っています。

初期設定では、パソコンに対するBluetoothヘッドセットによるマイク入力は可能(例:Zoom参加者にはマイクの音が聞こえる)でも、マイク音声を教室スピーカーに出力できないことが多いようです。オンライン授業を教室から配信するだけであれば問題ありませんが、対面授業あるいはハイフレックス授業を実施する上では、教室スピーカーからの出力がなければ教室参加者が先生の声を聞き取りにくくなってしまいます。


教室スピーカーにBluetoothヘッドセットのマイク音声を出力するための手順を次に示します。(添付のマニュアルもご参照ください

1.AVボックス内の主電源を入れてください。

2.ノートパソコンにAVボックス内のHDMIケーブルまたは音声ケーブルを接続してください。HDMIケーブルを接続した場合はスイッチャーの「HDMI」ボタンを、音声ケーブルを接続した場合は「PC」ボタンを押してください。

3.Bluetoothヘッドセットをノートパソコンに接続してください。この時点でエコーが発生する場合がありますので音量にご注意ください。


4.タスクバーのスピーカーアイコンを右クリックして「サウンド」を選択してください。


5.サウンド>>録音からBluetooth接続しているヘッドセットを選択して「プロパティ」をクリックしてください。

6.「このデバイスを聴く」にチェックを入れてOKをクリックしてください。

7.タスクバーのスピーカーアイコンを今度は左クリックしていただき、再生デバイス(=音声の出力先)を選択してください。HDMIケーブルで教室スピーカーに接続している場合は、教室スイッチャー(例:KSM0601HM2(インテルディスプレイオーディオ))を選択してください。音声ケーブルで接続している場合は、ノートパソコンのスピーカーを選択してください。教室スピーカーからBluetoothヘッドセットのマイク音声が出力されるようになります。


8.Zoomをお使いの場合、マイクはBluetoothヘッドセットを選択してください。スピーカーは、HDMIケーブルで接続している場合は、教室スイッチャーを選択してください。音声ケーブルで接続している場合は、ノートパソコンのスピーカーを選択してください。