研究内容 : グリーンプロセスの深化:エネルギー利用の視点からの環境負荷低減技術の開発
研究概要:
カーボンニュートラル社会に向けた環境負荷低減技術の開発を行っています。具体的には炭化水素資源から水素生成と炭素の固定化を行うことや独自に開発した炭素担持金属触媒を用いた水素利用技術に関する研究を行っています。また、革新的な省エネルギー手法として活性ラジカル種を用いたプロセスの開発も行っています。
地球温暖化防止の観点から,厳しい二酸化炭素の排出抑制が国際的に取り決められており,そのための技術開発が強く求められています。水素利用は非常に有用な技術ではありますが、水素は一次エネルギーから製造しないといけません。太陽光発電+水電解は水素製造の有力な手段ではありますが、現状では発電量がまったく不足しています。そのため、化石資源を大切に、高効率で利用する技術の開発も非常に重要であると考えています。化石資源だけでなく再生可能資源であるバイオマスに代表される炭化水素資源を高効率かつ二酸化炭素の排出を極力抑制できる方法で使っていかなくてはいけません。廃棄物の処理に関しても広く一般的に行われている単純な焼却処分は避けなければなりません。
本研究室では,低炭素社会構築のため,二酸化炭素の排出抑制と効率的な水素生成,革新的な省エネルギーの観点から実験とシミュレーションを通したプロセスの開発に取り組んでいます。研究内容は、主に以下の3つのテーマに分けられます。
研究テーマ群
1)熱化学変換を利用した炭化水素資源の炭素固定化技術の開発
炭化水素資源を高温で熱処理(熱分解)すると、水素や一酸化炭素のような低分子化合物と固体炭素が生成します。固体炭素は非常に安定な化合物で材料として利用すると炭素貯留にもなります。天然ガスの主成分であるメタンは、有効な触媒を用いると水素とカーボンナノチューブのようなナノ構造炭素に転換することができるので、最適な操作条件やプロセスの開発をしています。
2)炭素担持触媒金属触媒を用いた高効率CCUプロセスの開発
当研究室では,イオン交換性の樹脂に触媒となる金属イオンをイオン交換してから炭素化することで、金属ナノ粒子が多孔質炭素中に高分散した触媒を開発しました。この手法を利用して,二酸化炭素を吸収する機能と二酸化炭素をメタン化する機能を付与することで,二酸化炭素の回収とメタネーションを可能とするDual-Function Materialsを開発し,効率よく二酸化炭素を付加価値のある物質に転換するプロセスの開発を行っています。
3)促進酸化の制御手法の開発と応用に関する研究
鉄イオンと過酸化水素から酸化活性が非常に高いOHラジカルが室温で生成します(Fenton反応)。この反応をうまく制御することができれば、バイオマス廃棄物であるリグニンから付加価値の高いジカルボン酸を得ることができます。また、固体高分子型燃料電池の高分子電解質膜は、Fenton反応で化学劣化すると言われています。そのため、Fenton反応による化学劣化過程を検討し、高分子電解質膜の分子量分布に着目した化学劣化シミュレーターの開発も行っています。