1926年の創立以来、本校を支えてくださった皆さまへ。
理事長と校長より、節目にあたっての感謝とこれからの展望をお伝えいたします。
学園100年、そして これから
理事長 永井多惠子
「頑張った運動会!」「修学旅行、楽しかった!」「くにたちの友達、一生忘れない!」
3月の卒業式には壇上に上がった子どもたちが元気に6年間の学園生活の思い出を語ってくれます。在校生と教員も参加したブラスバンドが送る中を「明日」に向かって歩いていく卒業生を、ご家族、保護者の皆様が見守ります。
6年前、丁度、コロナが蔓延していた頃、小さなマスクをして心細そうに入学してきた子どもたちがすっかり頼もしくなりました。人生という長い道程のはじめの季節、小学生時代を終えて次へ向かう子どもたちの姿に、どうか、これからも選んだ道をゆっくりでいい、真っ直ぐ、歩いていってほしいと願わずにはいられません。背中には希望という星が煌めいて見えます。
付属中学をもたない国立学園ではみんな、「受験」という試練を経験します。
それは苦しいけれど、自らを見つめ、何が自分に適しているのか将来への道を「選択」することでもあるのです。教員の助言を参考にご家族と相談し、どの中学を受験するか、最後は子どもたち自身で決めます。ただ、子どもたちは何度も壁にぶつかります。その姿を受け止め、教員が励まし、背中を押していきます。
大正15年、それは昭和という扉がまもなく開くという頃、くぬぎ林の武蔵野の地に、小さな学園が開校しました。創立者・堤康治郎の学園都市構想のもと、神田一ツ橋から、東京商科大学(現在の一ツ橋大学)が移転し、今は知る人も少なくなったようですが、その大学教員の子弟のためにと開校されたのが国立学園、当時は教員二人に児童二人(注4人という記述もあり)のスタートだったそうです。
そして今、在校生は562人、緑にあふれた広い校庭、数々の遊具、野菜畑、豊かな自然に囲まれた環境が子どもたちの感性を育てます。
朝、国立駅から中2丁目まで、時には6年生が1年生を守るように歩いていきます。駅からやや距離がある中、友達とお喋りに興じながら、そして冬には白い帽子を頭に載せた富士山を見上げながらの登下校は楽しい想い出をつくります。
開校100年、学園は長い歴史の中で、有意の人材を排出し現在も多方面で活躍しています。教科担任制を早くから取り入れ、「豊かな人間性を培い、自主性を重んじること]を教育理念としてかかげてきたことが、多くのご家庭に支持され、私学ならではの自由な校風の中、多様な才能を育んできました。
しかし今、開校100年を迎え学園は少子化という社会現象のもと、新たな試練に遭遇しています。AIなど技術の急速な発展、国際化、多様な価値観の中で、どのように子どもたちの関心を引き出し、自ら学び行動に移せる子どもたちを育てていけるのか、新しい変革が求められています。
不易流行という名言があります。
変えてはならないもの、それが「豊かな人間性を育てること」とすれば、その教育理念を堅持し、これからの100年を見据えた教育課題をどう変革していくか、現場に近い教員方は勿論、多方面の識者、保護者など多くの方々のご意見を踏まえ、新たな一歩を踏み出して行きたいと思います。
100周年を迎えられたことに感謝
校長 佐藤 純一
本校は、西武グループ創立者で本校の初代理事長でもあった堤康次郎先生が、一橋大学を国立の地に誘致した際、一橋大学の教職員のご子息のために一橋大学構内に児童2名、教員2名の小学校を1926年4月19日に創立した。また国立のシンボルになるようにと、赤い三角屋根の駅舎を当時の国鉄に寄贈した。その後、一橋大学に隣接する現在の場所に小学校を移転し、1954年に附属のかたばみ幼稚園を創設した。それから100周年を迎える2026年4月現在、「8451名」もの卒業生を輩出している伝統と歴史ある小学校となっている。
なぜ、幼稚園と小学校しかない小さな私立学校なのに「100周年」を迎えることができたのか。それは、開校してからしばらくの間中学受験一辺倒だった学校教育の体制を、1970年度に二代目理事長となった本校卒業生でもある堤清二先生が刷新し、それまでの受験一辺倒だったカリキュラムの再編を行い、「豊かな人間性を培う」という教育目標を打ち出し、先生方と共に「与える教育から見守る教育」へと大きく教育方針を転換したからである。また、当時どの小学校も行っていなかった教科担任制を、1974年度から4年生以上で採り入れ、低学年から音楽、図工、体育、読書は専門の教員か授業を実践してきたことも評価された。こうした先人たちが行ってきた英断と努力と苦労の上に、本校は100周年を迎えることができていることを忘れてはいけない。先人たちには感謝しかない。
これからの本校は、併設の中学校がないため、一つは中学受験という当たり前にある通過点に対して、それぞれの子どもにとって相応しい選択ができるように、教員は中学校のことをしっかりと研究していくこと。そして、授業を通して基礎学力と対応力を身に付けさせていくことである。もう一つは、「自ら考え、自ら学び、自ら行動する子どもを育成する」ために、具体的にどのような教育の実践を行っているのか。その取り組み方や実践を世の中に問う機会を持っていきたい。