HLA検査には抗原検査と抗体検査の目的によって、様々な方法がある。
HLA抗原検査法は、血清学的、細胞学的、生化学的、DNAタイピング検査法の4種がある。HLA抗原系の基礎は血清学的検査法によって構築されていった。1952年、Jean Daussetが頻回輸血患者血清中に白血球凝集を起こす抗HLA抗体を発見した。そして、1958年にはRose O Payneが、この抗体が妊婦血清中にも存在することを発見した。しかし、これまでの抗HLA抗体検出法であった白血球凝集反応は、時間の経過により反応性が変化するという欠点があった。1964年、Paul I Terasakiは、これに代わる方法として、現在、血清学的な方法として広く用いられているリンパ球細胞毒性試験(LCT)を確立した。LCTの対象となる抗原は、HLA-A、B、C、DR、DQ抗原である。
細胞学的な検査法としては,HLA-D抗原(主にDR、DQ抗原の両分子の抗原部位を総合的に反映していると考えられている)を同定するリンパ球混合培養試験(MLC)とHLA-DP抗原を同定する二次刺激MLC反応によるPLTがある。また、細胞障害性Tリンパ球(CTL)クローンがクラスⅠの微妙な差異を認識できることを利用した細胞性リンパ球融解反応(CML)などが研究に利用されている。
血清学的検査法は、リンパ球膜表面に表現されたHLA分子を抗HLA抗体による反応性によって、タンパク質、アミノ酸レベルで解析、タイピングする方法である。これに対して、DNAタイピングは、HLA抗原の高度な遺伝的多型性を特定の遺伝子領域を指数関数的に増幅することが可能であるPCR法を用いてDNAレベルで検出し、HLAアレルを決定する方法である。DNAタイピングにはPCR-SSP、PCR-SSOP、PCR-RFLP、PCR-SSCP、PCR-SBT、NGS等がある。現在、NGSの進歩に伴い、これまで検査されていなかった遺伝子領域の多型が急速に発見されている。
抗HLA抗体検査法はLCT以外に最近では、高感度で特異的な検査法として血小板またはEBウイルス形質転換B細胞腫瘍株から抽出・精製した複数のHLA抗原やリコンビナントHLA抗原を用いた酵素抗体法または蛍光マイクロビーズを用いたフローサイトメトリー法、Luminex法があり、有用である。