慶應×ライフサイエンス
第2回慶應ライフサイエンスシンポジウム
2018年9月13日(木)日吉キャンパス 協生館 藤原洋記念ホール
2018年9月13日(木)日吉キャンパス 協生館 藤原洋記念ホール
細胞表層由来の複合脂質は、細胞膜構成成分としてのみならず、シグナル分子として多様かつ重要な働きをすることが明らかになりつつある。微生物由来あるいはヒトの内在性の複合脂質が、脂質抗原としての提示あるいは自然免疫受容体等による認識を介して、免疫機能およびバランスの調節、炎症作用の増強/抑制に関わることが明らかになり、最近のリピドミクス研究の進展とともに、脂質分子の機能解明が進んでいる。一方、複合脂質は天然からの単離が難しい場合も多く、化学合成的に純粋な化合物を得ることが分子の機能解析において必須となっている。
本講演では、我々が現在、有機化学を基盤とした手法で構築している免疫調節性の複合脂質化合物ライブラリについて紹介するとともに、自然界からは入手が困難な天然型あるいは機能付加型も含め、純粋な複合脂質分子を基盤とした機能解析について紹介する。例えば、免疫バランスを調節する作用をもつNKT細胞への脂質抗原提示において、脂質構造がその免疫バランス調節へ大きく影響することを、我々の複合脂質化合物ライブラリを用いて発見しており、関連する複合脂質分子を認識する自然免疫受容体の機能調節、疾患治療への展開を含めた、最近の成果を紹介する。