慶應×ライフサイエンス
第2回慶應ライフサイエンスシンポジウム
2018年9月13日(木)日吉キャンパス 協生館 藤原洋記念ホール
2018年9月13日(木)日吉キャンパス 協生館 藤原洋記念ホール
世界的にゲノム合成の研究開発の流れが加速している。ゲノム合成と遺伝子合成は全く別物で、我々は枯草菌を用いてゲノムを設計し完全合成する技術を提案、開発している。ゲノムは生体分子としては巨大分子であり、対象を微生物ゲノムに限っても、数百から数千の遺伝子を含む長鎖DNAである。2005年に我々が報告した最初の微生物合成ゲノムは、ラン藻ゲノム(3.5 Mbp)が枯草菌ゲノム(4.2 Mbp)と連結したキメラ形態である。このキメラゲノム株は枯草菌の培地(LB)では問題なく生育するが、ラン藻の培地(BG11)で生育することはなかった。我々は枯草菌で合成されるゲノムを再起動させるためのいくつかのシナリオを持っており、それらの取り組みと最近の実施例を紹介したい。このシナリオがブレイクすれば、新規ゲノムを設計し、完全合成して、研究、産業に有用な微生物株を構築するシステムが現実味を帯びると期待している。ゲノム合成は、世界的にも前例が皆無の取り組みで試行錯誤の連続である。なぜ枯草菌なのか、なぜ慶應大学なのかも含めて伝えたい。