慶應×ライフサイエンス
第2回慶應ライフサイエンスシンポジウム
2018年9月13日(木)日吉キャンパス 協生館 藤原洋記念ホール
2018年9月13日(木)日吉キャンパス 協生館 藤原洋記念ホール
DNAの共通一次配列からDNAやヒストンの化学的修飾であるエピゲノムが特異的遺伝子発現パターンを形成する。早老症のモデルであるWerner症候群やHutchinson-Gilford症候群などで共通して過剰なDNA損傷が観察される。DNA損傷はSirtuinなどのエピゲノム修飾因子のゲノム上局在を変化させ、老化関連遺伝子の脱制御を起こすことが酵母および哺乳類細胞で報告されている。今回David A. Sinclair 研究室においてDNA損傷によって生じるエピゲノム変化に着目され、DNA損傷依存型エピゲノム変化による老化モデル、ICE(Inducible Changes in Epigenome)が構築されている。I-PpoI エンドヌクレースを用いた変異非誘導型のDNA損傷を3週間だけ与えることで、その後記憶、筋肉、視力、骨密度の低下、白髪など老化関連する組織の機能低下が引き起こされる。さらに筋肉でH3K27acやH3K56acなどのヒストン修飾やDNAメチル化において炎症細胞様エピゲノムや遺伝子変化が観察される。アイデンティティ喪失が老化や疾患をどのように誘導するのか、またその可逆性について議論したい。