現地に留学する感覚を味わいながら、日常の言語と生活文化を学ぶユニークな空間、それがMULC(Multilingual Communication Center)です。MULCではコミュニケーションのための新しい学びが可能です。
中国語、韓国語、インドネシア語、ベトナム語、タイ語、スペイン語、ブラジル・ポルトガル語の7つの言語エリアには、各々の生活文化を代表する街並みや建物が再現されています。
ネイティブの教員や留学生と出会って会話ができるだけではなく、CDを聴いたり、DVDを観ることもできます。
さらに、インターナショナルエリアには、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロシア語、アラビア語、日本語の教材がそろっています。ここでも、各言語のCDやDVDを楽しんだり、参考書を使って自習をすることができます。
多言語コミュニケーションセンター(Multilingual Communication Center、MULC)
センター長ごあいさつ
Sau Kuen FAN, Ph.D.(サウクエン・ファン)
近年、テクノロジーの発達により、人と人とがバーチャル空間で容易にコミュニケーションを行えるようになりました。さらに、人工知能(AI)の活用により、誰もが機械から情報を得たり、相談したりするなど、新たなかたちで「コミュニケーション」を図ることが可能となっています。
その一方で、人と直接向き合い、文脈を読み取りながら対話を重ね、目的の達成へと至るようなコミュニケーションの機会は、相対的に減少しているとも言えるでしょう。
こうした時代にあって、「マルク(MULC)」の愛称で親しまれている本学の多言語コミュニケーションセンターは、きわめて重要な役割を担っています。ハード面の特徴としては、中国語、韓国語、インドネシア語、ベトナム語、タイ語、スペイン語、ブラジル・ポルトガル語の7つの言語エリアが同一フロアに配置されている点が挙げられます。
これらの言語が選ばれている背景には、本学において英語以外に専攻可能な7言語であるという事情があります。また、各エリアの配置には建築デザイン上の工夫も反映されています。しかしながら、その配置は必ずしも地理的・文化的な境界に基づくものではなく、いわば恣意的に引かれた「地図上にない国境」とも言える区分を生み出しています。
だからこそ、この空間は固定的な境界を越え、多様な言語や文化が交差する場として機能しています。多言語が共存し相互に影響し合うこの環境は、世界の縮図とも言えるものであり、多文化共生社会の実践を促す、国内外でも類を見ない貴重な学習空間となっているのです。
ソフト面においては、まず本学の学生が授業内外を問わず、学修している言語のネイティブスピーカーと日常的にインターアクションできる環境が整えられています。各言語エリアには複数の語学専任講師が常駐し、さらにそれらの言語を母語とする外国人留学生も会話パートナーとして関わることで、海外に赴くことなく擬似的な留学体験を実現しています。また、各種イベントの実施を通じて、同一フロアに共存する他言語エリアとの交流が促進されるほか、これら7言語圏から来日している外国人教員同士の自然な交流も生まれています。こうした日常的かつ多層的な関わりの中で、「本物の国際交流」が育まれることが期待されます。
2026年度よりMULCセンター長を務めさせていただくこととなり、大変光栄に存じます。これまでの香港、オーストラリア、日本での生活経験を活かし、微力ではございますが、MULCのさらなる発展に貢献できれば幸いです。
2026年4月
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Multilingual Communication Center (MULC)
Greetings from the director
Sau Kuen FAN, Ph.D.
In recent years, advances in technology have made it increasingly easy for people to communicate with one another in virtual spaces. Moreover, with the use of artificial intelligence (AI), anyone can now obtain information from machines or seek advice, enabling new forms of “communication”.
At the same time, opportunities for face-to-face communication—where individuals engage directly with one another, interpret context, and achieve goals through sustained dialogue—can be said to be relatively declining.
In this context, the Multilingual Communication Center at our university, affectionately known as “MULC,” plays a highly significant role. One of its defining physical features is that seven language areas—Chinese, Korean, Indonesian, Vietnamese, Thai, Spanish, and Brazilian Portuguese—are arranged on a single floor.
These languages have been selected because they are the seven languages, other than English, that students at our university can major in. In addition, the layout of each area reflects careful architectural design. However, this arrangement is not necessarily based on geographical or cultural boundaries; rather, it creates divisions that may be described as arbitrarily drawn “borders that do not exist on any map.”
For this very reason, the space functions as a place where fixed boundaries are transcended and diverse languages and cultures intersect. In this environment, where multiple languages coexist and interact, one can see a microcosm of the world. It provides a rare and valuable learning space—both domestically and internationally—for fostering the practice of a multicultural and inclusive society.
On the “soft” side, the Center offers an environment in which students can interact on a daily basis with native speakers of the languages they study, both inside and outside the classroom. Each language area is staffed by several dedicated language instructors, and international students who are native speakers also participate as conversation partners. In this way, students are able to experience a form of immersive “study abroad” without leaving Japan.
In addition, various events encourage interaction among different language areas on the same floor, while natural exchanges also occur among international faculty members from regions where these seven languages are spoken. Through such everyday, multilayered interactions, the Center fosters what may be called “authentic international exchange”.
It is a great honor for me to serve as Director of the MULC Center starting in the 2026 academic year. Drawing on my experiences living in Hong Kong, Australia, and Japan, I hope to contribute, in whatever small way I can, to the continued development of MULC.
April 2026
蘇州にある古典庭園「拙政園」と「留園」は、世界遺産としても有名です。ここでは、ロマンと華やかさに満ちたそんな中国庭園を再現しています。注目は、中国庭園の定番ともいえる太湖石です。幾つもの穴が空いていて、ちょっと不思議な形をしたこの石を、昔の中国の人たちは大変珍重しました。
家の中央に小さな庭空間を持つ、瓦屋根の平屋で造られた韓国の伝統家屋・韓屋(ハノク)がモチーフです。床下に積まれた薪は暖房のオンドル用のものです。以前はこうした薪を燃やし、煙を床下に通して部屋を暖めていました。どこかしら懐かしさを感じる空間から、庶民の伝統的暮らしがしのばれます。
バリ島の伝統家屋は外壁に囲まれ、門を入るとすぐに衝立状の壁があります。これは悪霊の侵入を防ぐアリン=アリンと呼ばれる壁です。悪霊は直進しかできないため、入ろうとすると壁に衝突し気絶してしまう、と信じられています。こうした独特な建築様式を中心に、インドネシア生活風景が垣間見える空間です。
ベトナム中部にあるホイアンの旧市街には100年以上前に建てられた木造家屋が立ち並ぶ街並みがあります。世界遺産にも登録されたこの港町には、日本文化のほか、中国文化や少数民族チャム族の伝統文化が、ところどころに残っています。そのホイアンの旧家の店舗となる部分を再現しました。
バンコクを歩けば、そこかしこに見える金色に輝く建築物が目に止まります。ここではその、朱の柱に豪華な細工が施された屋根を持つ「サーラー」を再現しました。サーラーは、日射しや雨などを逃れる休憩所ですが、ときには集会所や社交の場にもなります。街や村でも普段に見られる施設で、タイ王国のシンボルにも選ばれました。
アンダルシア地方の美しい都市コルドバ。その旧市街では涼気をとるため、白く塗られた塀で家を四角く囲み、真中をパティオ(中庭)にしています。壁にたくさんの植木鉢が掛けられた空間は、風通しの良い吹き抜けの場所です。家族や友人たちが集まって憩います。そんな民家に見られるパティオを再現しました。
ポルトガルのコロニアル建築を彷彿させる美しい白壁のアーケードには、アズレージョと呼ばれる青い装飾タイルがお似合いです。鳥の模型やコーヒーの麻袋、民族楽器などの装飾品は、ヨーロッパやアフリカの文化が熱帯の自然と融合して生まれたブラジル社会の魅力を存分に伝えています。
東洋エリアと西洋エリアを区分するスペースです。神田外語大学では、8つの専攻言語の他にもさまざまな言語を学ぶことができます。国籍にとらわれないこのエリアは、そうした世界のいろいろな小物が配置された多言語空間です。