〇成果
昨年度からの取組を継続し、今年度もさまざまな場面で「人権」を核とした取組を進める中で、学校全体として 人権意識の高まりを実感することができた。具体的には、児童一人ひとりの中に、「ちくちくことば」ではなく積極的に「ふわふわことば」を使っていこうとする態度が定着してきた。また、自分の「当たり前」が、他の人の「当たり前」とは必ずしも同じではないことに気付き、ちがいや多様性を受け入れていくことの大切さに気付く児童が増えてきた。公開授業後の研究協議では、3年間、継続して児童の様子を見て下さっている外部講師より、「児童の授業に対する取組姿勢が変わってきた。落ち着いて学習に取り組める児童、自分の思いを伝えることのできる児童が増えてきている。安心して自分の思いを表現できているということは、互いが互いを認め、人権が保障されているということである。」という指導助言をいただいた。
また、多くの校内研修を通し、教職員の人権意識の高揚と指導力の向上を図ってきた。特に、6年生の公開授業「民衆から見た日本の歴史」では、教科の中でどのように人権教育を取り入れていくのかについて研修を深めることができた。このような研修を通じて、児童一人ひとりに寄り添った言葉かけや見守り等、児童と教師の温かな関係性が広がりつつある。全ての教職員が人権意識を高め、全ての児童を大切にした授業づくり、学級づくりに継続して取り組んできたことが、児童の変容にもつながっていると感じている。
〇課題
今年度から学校運営協議会が発足し、地域での見守りが強化され、地域によるサポート体制がより整備されてきている。今後も、学校教育目標や「めざす子ども像」についての意見交換および情報共有をしっかりと行う中で、保護者や地域と連携しながら児童を見守り、人権意識を育てていく必要がある。また、教職員自身が地域を知り、地域とのつながりを深めていくことも大切である。そして何より重要なのは、この2年間の取組を次年度以降も継続して進めていくことである。今年度の保護者アンケートを見ると、昨年度と比べ割合は減ってはいるものの、家庭での言葉遣いには、まだまだ課題がある。学校だけでなく家庭でも「ふわふわ言葉」を話す児童が増えていくよう、家庭と連携した取組をより推進していきたい。さらには、学習を通して学んだことがその場限りで終わってしまい、普段の生活に生かしきれていないと感じる児童も少なからず存在する。学びを自分事としてとらえ、互いの人権を尊重できる児童の育成、安心して自分の思いを伝えることのできる仲間づくりをめざし、さらなる取組を計画的、組織的に進めていくことが必要である。