写真を信じきれないまま
写真を撮り続ける
写真を信じきれないまま
写真を撮り続ける
2025年度 八戸工業大学感性デザイン学部 卒業研究
写真表現における自己の希薄化を主題とした制作実践
社会の一員になろうとするほど、自身の存在や個性が薄れていく実感がある。こうした感覚に着目し、社会への同調のなかで生じる「自己の希薄化」を主題として、写真表現による制作実践を行った。
作品《Polygon Miller》では、格子状に配置した写真群を通して、規格化のなかに残る自己の痕跡を提示し、同調圧力のもとで生きる自己の在り方を問う作品となることを目指した。
ISSUE 課題
日常の中で「普通」に適応しようとする同調の在り方が、かえって自己の輪郭を薄め、存在感の希薄化につながっている。併せて、デジタル写真のように機械的に生成される表現では、自身の身体や自己が十分に介入していないという違和感を問題意識として捉えた。
IDEA アイデア
自己の希薄化という感覚を写真表現で可視化するため、社会の規格性を象徴する証明写真機で自己像を撮影し、さらに露光や水洗いなど身体的工程を伴うサイアノタイプで出力した。また、規格化された自己像と、身体的な制作工程の両方を取り込むことで、同調と自己の痕跡がせめぎ合う状態を表現。
DESING デザイン
当初は通勤風景や集合住宅、100円ショップの商品陳列など、均質性を感じさせる日常風景を撮影していたが、主観が強く入ることから方針を転換。証明写真機によるセルフポートレートへ移行した。
その後、同一のネガフィルムから約100枚をサイアノタイプで出力し、壁面に格子状に配置した作品《Polygon Miller》を制作した。遠くから見ると均質な青の集積に見える一方、近づくと濃淡や発色の差異が現れる構成にした。
NEXT 展開
社会の枠組みの中で自己が規格化されながらも、完全には消え去らない差異や痕跡が残ることを示した。
今後は、写真表現を通して自己を固定的に示すのではなく、社会との関係の中で揺れ動く存在として捉え直す表現へ展開する。