食べ物について考える
校長 鵜殿 義雅(さざなみNo.6)
長い夏休みが終わり、子どもたちの元気な声が学校に再び響くようになりました。
さて、この夏もたくさんのニュース・出来事がありました。その中で私が嘆かわしい出来事に思ったのは、某ファーストフード店における子ども向けセットの問題です。景品のカードを転売して利益を得るため、商品であるハンバーガー等を食べずに、大量に廃棄したというあの現象。
なぜ、食べもしない物を買って、そのまま捨てることが起きたのか。付属のカードを転売して自分がお金を儲けるためなら、食べ物を粗末にしてもかまわないという価値観の崩壊が問われています。ファーストフードチェーンの販売方法や、フリーマーケットサイトを運営する会社への批判もありますが、でも一番悪いのは誰かといったら、それは食べ物を粗末に扱った一部の人間ではないでしょうか。この出来事を、ただ「悪いことをする人がいる」と片付けるのではなく、改めて見つめ直さなくてはいけないと感じたのでした。
日本におけるフードロスは、年間で523万トン(2022年)。これは、炊いた後のご飯に換算すると、東京ドーム約5杯分になります。とてつもない量の「もったない」ことが起きています。世界では8億人の人々が十分な食べ物を得られず、飢えに苦しんでいるといいます。その人々への各国政府や国際機関からの食料援助量は、わずか420万トン。つまり、世界中でお腹を空かせ食べ物を必要としている人たちが得る量より、日本人が食べ物を無駄にしている量の方が大きく上回っているのです。
アレルギー等がある人は仕方ないとしても、好き嫌いなく何でも食べる、無駄な買い物をしない、消費期限間近の物を忘れずに食べるなど、身近に取り組めることを家族で話し合っていきましょう。そのようなことが、世界の未来に必ずつながります。
さて、今日の朝は久しぶりの早起きで、あまり朝ご飯を食べられなかったかもしれません。明日からは美味しい給食がまた始まります。私たちが当たり前のように毎日食べられることに感謝しながら、何でももりもり食べて夏バテを吹き飛ばしましょう!
お手伝いを楽しく
校長 鵜殿 義雅(さざなみNo.5)
梅雨の期間が記録的に短かった地域も多く、ここ東北地方も例年に比べるとかなりの少雨だったよう です。「気温が低くてプールに入れない…」なんてことはもう過去の話で、今年も、「むしろ暑すぎてプー ルに入れない!」日もあった中、何度も水泳学習を楽しむ子どもたちの様子が見られました。
さて、明日からは長い夏休みになります。学校だより5月号で「早起き」、その継続のために6月号で 「習慣化」について述べてきました。夏休み中も毎日早起きは継続してほしいのですが、もう一つ何かを 習慣化するなら、やはり夏休み中の「お手伝い」でしょうね。
手伝いは、親の仕事を肩代わりさせるという側面もありますが、もっと大事なのは、仕事をすることで 自分が家族の一員であることを再認識し、自己有用感を得ることにあると思います。
玄関の靴揃えでも、カーテン閉めでもいいのですが、せっかくの夏休みですから、ワンランクアップの お手伝いを一緒に考えてみてください。毎日声掛けして親がやらせるものではなく、自分からやりたくな る仕事を与えてほしいのです。例えば、「何時間かかってもいいから、夜ご飯のおかずを一品作ってちょ うだい。」とか、「庭の端に 1 坪ほどの土地が空いているから、このお金で必要なものを買って花壇を作 り、毎日管理してごらん。」など。
お手伝いから家族の会話が増え、翌日以降のお手伝いにつながるといいですね。
「習慣化について
校長 鵜殿 義雅(さざなみNo.4)
先月の学校だよりでは、「早起き」について述べました。これをお読みいただいている皆さんの中でも取り組まれた方がいらっしゃったと思いますが、さてどうでしょう、今も継続されていますか?
今回は、早起きに限らず、何事も「習慣化」するためにはどうしたらよいか考えたいと思います。
習慣化に至るには、3日、1週間、1か月の3段階のステップがあるそうです。
① 0~3日目 意識する時期
この時期はやる気に満ちています。3日程度なら勢いで乗り切ることも可能です。子どもたちに対しても「すごいね、頑張ってるね!」と褒めてあげるだけでも大丈夫そうです。
② 4~7日目 習慣化への壁
新しいことを始めたことによる生活リズムの変化が、疲れとなって出てくる時期です。3日も行ったことで、ある程度の満足感もあります。新鮮さが薄れ、やらない理由探しも始まります。その結果、ここで挫折することがよく見られます。いわゆる「三日坊主」です。
👉 少し負荷を下げ、完璧を求めないようにしましょう。
👉 ご褒美を活用して意欲付けしましょう。
③ 8~30日目 習慣として確立させる時期
壁を乗り切ると、行動が習慣化してきます。ただ、完全な定着にはなっていないので、油断は禁物です。何のためにこれを続けようとしたのか、再確認しながら進めていく時期です。
👉 記録(手帳やアプリなど)をつけることで見える化し、満足感を得るようにしましょう。
1か月間頑張れば、あとは自然とできるようになります。さあ、夏休みまでもちょうど1か月!!
「早寝 早起き 朝ごはん」というけれど
校長 鵜殿 義雅 (さざなみNo.3)
子どもたちに限らず、大人も含めどれだけの人ができているでしょうか。かくいう自分も、胸を張って答えることはできません。現代はテレビのみならず、ゲーム、スマホ…様々なコンテンツからの誘惑がある中、なかなか布団に入るのが遅れてしまいがちです。
入学式の式辞の中で、「3つ全部やるのは大変だから、まず『早起き』に取り組んでみましょう。」と投げ掛けました。先日の朝会では、2~6年生に「まず1つ取り組むなら、どれに取り組むべきか。」と問題を出しました。答えを知っている1年生は口にチャックをしてにこにこと答えの発表を待ち、上級生はいろいろと予想し、答えを真剣に聞いてくれました。早速翌朝、「校長先生、今日は早起きしました!」と伝えてくれた児童もいて、うれしくなりました。
なぜ「早起き」なのか。早起きをすれば、自然と体が活性化して食欲も出ますから、「朝ごはん」の量や種類を多くとれるようになります。そして、早起きをルーティン化するためには、どうしても「早寝」をしないといけないことに気付きます。取り掛かりは、「早起き」の一択だと私は考えます。
夜明けが早くなり、5時前にはもうすっかり明るくなっています。この時期だからこそ、いつもより5分でも10分でも早起きして、一日を気持ちよくスタートさせてみませんか。
何でも話せる関係に
校長 鵜殿 義雅 (さざなみNo.2)
4月も後半となり、子どもたちの表情にも少しずつ笑顔が増えてきました。新しい教室、新しい先生、そして新しい友達。何もかもが新しいことばかり。新鮮な毎日が続くのはいいことですが、それだけに疲れやストレスも溜まってきている時期でもあります。
お子さんの何気ない一言に、耳を傾けてあげてください。何か言いたげな表情をしていたら、時間を取って声を掛けてあげてください。子どもたちはいま、何かを伝えたくてしょうがないはずです。我々教員も同じことを心掛けてはいますが、一番身近にいて何でも相談できるのは、やはり保護者の皆さんです。どうぞよろしくお願いします。
そして、聞いていただいたことを、私たち教員へ是非お伝えください。先日のPTA総会の挨拶で述べましたが、子どもたちを真ん中に置き、学校と家庭、そして地域が手を携えながら見守っていきましょう。
子ども同士が、子どもと大人が、大人同士が…、それぞれが何でも話せる関係となり、明るく温かい東小学校となることを目指していきましょう。
「明日も学校に行きたい」と思えるように(さざなみNo.1)
この4月に着任した,校長の鵜殿 義雅(うどの よしまさ)です。多賀城の学校で勤務するのは初めてですが,不安は少々であり,今はわくわくする気持ちの方が大きい状態です。
さて,4月の学校だよりの表面ですから,ここでは校長としての経営方針をお示ししたいと思います。最初に私がお伝えしたい目指す学校像とは,「誰もが行きたくなる学校」です。
近年,不登校の児童生徒数が極端な勢いで増加していることは,報道等でご承知のことと思います。特に全国の小学校においては,令和2年度から5年度までのわずか3年間で,不登校の総数が2倍以上に増えています。また,本県は全国的に見てもその割合が非常に高いことは事実であり,これらの現実を目にする時に心を痛めます。本校に赴任して昨年度の報告を受けたとき,やはりかなりの数の子どもたちが不登校の状態になっていることが分かりました。不登校とはなってはいないけれど,なんとかかんとか学校に出てきている子どもたちも少なくないと思います。今は元気に学校に通っているけれど,我が子がもしそうなったらと不安な保護者の方もいらっしゃるでしょう。
では,どうしてこんなに不登校の子どもたちが増えてしまったのでしょうか。学校の授業についていけないから,友達とトラブルがあったから,朝はなかなか起きられない,なんとなく…。
ここで勘違いしてほしくないのは,不登校は決して悪いことではないということです。ですが,できれば学校で様々な力を身に付けさせてあげたい。そのためには学校はどうあるべきか,私たちは真剣に考えていきたいと思います。担任一人に任せず学校全体で,時には外部の力も借りながら,対応していきたいと思います。
いま,「学校に行きたい!」と,子どもたちの心を突き動かす魅力が,ちょっと足りないのかもしれません。「早く先生に会いたいし,友達にも会いたい」「明日も学校に行きたいから,もうゲームをやめて早く寝よう」そう思ってもらえるのが理想ですね。
この原稿を書いている時点で,まだ子どもたちに会っていませんし,保護者の方,地域の方ともほとんどお会いしていませんが,素直で明るい子供たち,学校教育に協力的な保護者や地域の方々と聞いております。ただ一つ,この数日で私が直接目にして分かったことがあります。それは,手前味噌な表現になり恐縮ですが,本校の教職員は本当に素晴らしい集団だということです。先生方には確かな指導力があり,常に子どもたちのことを真剣に考えています。その他の職員も,全員が学校運営に献身的に尽くしてくれています。私が最初に述べた,不安よりわくわくの気持ちが大きいというのは,この安心感からくるものです。
どうぞ保護者の皆さん,安心して子どもたちを送り出してください。地域の皆さん,そんな子どもたちを見守ってください。帰りには,「今日も楽しかった。また明日も学校に行きたいな。」そう言ってもらえる学校づくりを目指します。ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
別れは必然 出逢いは偶然
校 長 三塚 隆洋 (さざなみ第14号)
毎年のことながら、この時期は悲しみと喜び、不安と期待が入り交じった複雑な気持ちになります。令和6年度も間もなく終わりです。この1年間、本校の教育活動にご理解とご協力をいただきましたことに心より感謝申し上げます。
学校は「勉強をするところ」「友達と仲良くするところ」、学校の意味を子どもたちに分かりやすく伝えるとしたら、こんな言葉かなと思っています。そして多賀城東小学校の目指す児童像「やさしい子」「かしこい子」「たくましい子」については、ことあるごとに合い言葉的に子どもたちに投げ掛けてきました。
例えばこれらの姿を、やさしい子=いじめ認知件数、かしこい子=学力調査、たくましい子=不登校・欠席者数、と当てはめ、数値的なデータで考察すると、本校にはまだ課題が多く残されています。これらの改善に向け、今後も教職員が一丸となって取り組んでまいります。多賀城東小学校が、子どもたちが通いたい学校、保護者の皆様が通わせたくなる学校、そして地域に愛される学校になるよう努めてまいります。どうか次年度も保護者の皆様の変わらぬご理解とご協力をお願い致します。
次年度、以下のような取組を推進してまいります。
① これまで算数科に限定していた校内研究の取組を全教科に広げ、子どもたちの学び合い、協働的な学びの活性化を目指します。基本的な学習習慣の徹底、ICTの積極活用を推進します。
② 高学年を中心に、一部教科担任制の実施を前向きに検討し、複数の教員の目で子どもたちを見守っていく体制づくりを考えていきます。
② たてわり活動を増やし、異学年交流を大切にします。
③ 朝、始業時間までの校庭開放を継続し、遅刻・欠席の減少、体力増進を目指します。
チェンジ&チャレンジの精神をもち、年度途中からでも新たな取組を実践することも奨励します。新たなスタートを迎える多賀城東小学校に、何卒お力添えをいただきますよう、重ねてお願い致します。
この後、2週間の間に離任式での別れと始業式での出逢いが訪れます。「別れがあるから人の世は美しく、出逢いがあるから人の世はすばらしい」私の好きな言葉です。4月、子どもたちに素敵な出逢いが訪れますように・・・
この一年間、学校だより冒頭の私の長々とした文章にもお付き合いいただきました。この場を借りて、感謝申し上げます。ありがとうございました。
「ルール」と「マナー」と「エチケット」
校 長 三塚 隆洋 (さざなみ第13号)
ルールとマナーとエチケット、この似て非なる3つの言葉、改めて意味を考えてみます。この言葉の順番は、縛(しば)りの強い順と言ってもいいかもしれません。日本語に訳してみると「ルール」は「規則・約束」、マナーは「礼儀、行儀、作法、風習」、エチケットは「礼儀、作法、道徳的慣例」というように訳されるのだそうです。マナーとエチケットは似ているのですが、ニュアンス的に、マナーは社会全般に対する礼儀、エチケットは個人に対する礼儀、と考えると分かりやすいです。
「ルール」と聞いて分かりやすいのは「法律」です。守らないと罰則があります。何かを縛ろうとしたとき、一番効力を発揮するのは「ルール」です。罰則がなくても約束を守るのが理想ですが、残念ながらきれいごとでは済まない面もあるのが世の中の現実です。法律以外で、もう一つ約束を守らせる力があるとすれば、それは「教育」です。でも教育の力は法律には到底及びません。教育に携わる身としては、歯がゆい部分でもあります。
学校にも「ルール」と「マナー」と「エチケット」が存在します。学校のルールって何でしょうかね。廊下を走らないとか、学校に関係のないものは持ってこないとか、時間通りに登校するとか、これらはルールよりもマナーに近いかもしれません。罰則の一例として、過去にはバケツを持って廊下に立たせるとか本を頭に乗せて正座させるとか(マンガでしか見たことがありませんが)などがありましたが、これは現在の教育では適切ではありません。体罰はもってのほかです。代わりに、給食のお代わり禁止や宿題増量、反省文などを課す場合も考えられますが、これらも慎重に扱うべき内容です。いずれにせよペナルティでしか子どもたちを統率できないのでは、教師失格です。
小学校ではほとんど当てはまりませんが、学校に罰則がないかと言えばそうではありません。中学校に行けば、遅刻や欠席は高校進学に響くし、高校なら停学や退学といった法的な処分もあります。実は小中学校でも、あまりにも素行が悪い場合は出席停止の措置を取らざるを得ない場合もあります。
最近の子どもたちの様子を見ていると、罰則がないから調子に乗ってしまう、という側面もあります。世間では「それって決まりですか?」「それは強制ですか?」と生意気な反論をする子どもたちも出てきていると聞きます。学校という社会の中では、「決まりではないし、強制ではないけれど、みんなが気持ちよく生活するための約束事」が多数存在します。これは「ルール」というよりも「マナー」や「エチケット」ですね。私は、これを更に言い換えれば、快適に過ごすための「前提」だとも思っています。時間を守る、学習用具を揃える、あいさつをする、話を聞く・・・様々な前提が成り立ってこそ、学校という社会は安定します。
「禁止されているからやらない」「ペナルティがあるからやらない」ではなく、「禁止されていなくてもダメなことはやらない」、そういう考え方が大切だし、更に言えば、「相手の嫌がることはしない」ではなく「相手が喜ぶことをする」「自分のためになるからやる」という気持ちが必要だと思っています。
こういう考え方は、今の世の中でとても大切な思考です。デジタル化が加速し、利己的な人間も増える中、「相手を思いやる」「自分の成長は人のためでもある」そういう考えをもってほしいし、便利な世の中になって、いろいろなことができるようになったけれど「できちゃうけど、やらない」という自制する心も必要です。
世の中は多様性を重視する風潮があります。もちろん、様々な立場の人の考えを尊重することは大切なことです。それでも、やはり「共通に守るべき約束を守ること」、「集団が気持ちよく生活するためのマナーやエチケットを踏まえた言動」「常識的な振る舞い」は子どもの頃から身に付けなくてはいけないことです。そして、そのモデルとなるのは、我々大人でなくてはならないことは言うまでもありません。
私はこの歳になっても、まだまだ未熟な人間で、無礼、無作法が多々あるのですけどね・・・
「離す」より「話す」
校 長 三塚 隆洋(さざなみ第12号)
着任以来,子どもたちが校長室に遊び?に来ることについて容認してきました。先生方の中には,子どもたちが校長室に入ることを良いことだと思わない方もいるでしょうし,何か無礼なことをしているのではないかとヒヤヒヤしている方もいるのだと思います。私も,最低限の礼儀・マナーについては守らせたいし,校長室での態度については指導しています。ただ,子どもたちと話すことは楽しいし,本音が聞けることも多いのです。そして教室では見せない素敵な姿,意外な姿に出会うこともあります。
校長室に来る子どもたちからは,楽しい話やうれしい話をたくさん教えてもらえるのですが,最近になって学年,男女問わず,意外と多いのが愚痴や悩み相談です。私に話したって,聞いてあげることぐらいしかできないのですが,少しでも気持ちが発散できるのなら,それもいいのかなと思っています。
私は,若い頃から良好な人間関係づくりについて学んできました。人間関係は良好な方が楽しいし,学力も上がることは身をもって経験してきました。だから,学校の友達や先生と仲良く生活できることはとても重要だと考えています。そして,その楽しさ,大切さを教えるのが学校の大きな役割だとも思っています。そのためには,トラブルが起こらないような「転ばぬ先の杖」を与えることだけではなく,学校で必ず起こる様々なトラブルを乗り越えていく力を付けさせることが必要だとも思っています。
このところ,子どもたち同士のトラブルが起こると,その解決策として「距離を置く・離す」ことを選択することが多くなったように思うのです(教師も子どもも)。もちろん,その方がうまくいくこともあるし,そうしなければならないケースがあることも事実です。ただ,もっとちゃんとコミュニケーションが取れていればこんなことにならないのになあ、もっと話し合えば分かり合えるんじゃないかなあ,とことん付き合ってみればいいのになあ,と思うようなことも多くあります。そのためには,自分の思いを自分の言葉で伝える力や相手の気持ちを想像する力が必要だし,その経験を多く積ませなくてはいけません。子どもたちは未熟ですから,その力が足りないのは仕方がないのです。それでも,自分の身に起こったことを自分自身や子どもたち同士で解決する力を身に付けてほしいし,それを学ぶのも学校というミニ社会の中だと思っています。いわゆる「自浄力・自治力」のような力です。でも,近年それが薄れているように感じるのです。
このことは,学校だけではなく,世の中全般にも当てはまるようにも感じています。なるべく関わらないようにした方が身のため,「話せば分かる」は昔の話,生身の付き合いよりデジタルが楽・・・何だか寂しい時代になったなあ,と思うのは歳を取った証拠ですね。昭和生まれの戯言です・・・
かくいう私も,いつの間にかこの世の中の流れに飲まれている人間の1人です。何だか面倒なことには首を突っ込む熱意が薄れたように思うし,話しても分からないだろうなあ,と諦めることも増えました。デジタルに依存しているなあとも感じます。
多賀城東小学校は,特殊な地域性もあり,私立中などを選択しなければ,全員が東豊中に進学します。人間関係が安定していれば,それは良いことでもありますが,うまくいっていなければこの9年間はつらい期間になってしまいます。年度末を迎え,子どもたちの中には,すでに来年度のクラス分けや担任の先生が気になっている様子も見られます。保護者の皆様にとっても,できるだけ安心できる環境で学ばせたいという思いがあるのは当然です。学級の人員構成や担任の力量が学びに少なからず影響することも事実です。しかし,公立学校は,学級,担任を選べないというのが現実です。近年,学級編制に関してご要望をいただくことが増えたなあという実感があります。できる限りの必要な配慮はいたしますが,すべて望みを叶えることは不可能だということはご理解ください。学級編制に関しては,先生方もかなり頭を悩ませます。よかれと思った組み合わせが,蓋を開けてみたら良くない状況になることも多々あります。
「離す」よりも「話す」。人間は本来,誰かとつながりたいという欲求をもっていると言われています。人と人との関わりの中で,集団も個人も成長する,学校はそんな場でありたいと思っています。
新年にあたり 各学年に伝えたいこと
校長 三塚 隆洋(さざなみ第11号)
2025年になりました。本年もどうぞよろしくお願い致します。
昨年のこの時期に出した学校だよりを読み返しますと、文章は元日に発生した能登半島地震のお見舞いから始まり、新たに取り組みたい2つのこと(①時程の変更、②tetoruの導入)について書いていました。そして、大谷翔平選手から寄贈していただいたグローブについても紹介していました。早いものであれから1年が経ちました。
能登については、1年が経過したとはいえ、復興にはまだまだ時間がかかる様子を報道で見る度に、他人事とは思えない感情になります。
昨年から始めた ①時程の変更(月、木の5校時限固定)、②tetoruの導入 については、いくつかの課題はあるものの、皆様のご理解もあって概ね順調だと思っています。
そして大谷翔平選手の昨年の活躍については皆様もご承知のとおりです。成績はもちろんのことですが、大谷さんの立ち振る舞い、意識の高さ、愛される人柄・・・、もう本当に頭が下がります。自分の人間の浅さが恥ずかしくなります。
さて、今日は冬休みを終えての新年初日の登校日なので、全校集会(オンライン)を行います。これを書いているのは集会の前なので、未来的な話になりますが、子どもたちにはこんなことを伝えようと思っています。いつもよりもちょっと厳しい話になるかもしれません。
1年生には「しっかり本(文字、文)が読めるようになりなさい」という話をします。そのためには毎日の本読みを続けて、本もたくさん読みなさい、と言うつもりです。お家の方にもお願いがあります。多賀城市全体で1年生に対して行っているスクリーニングテストの結果については、重く受け止めてください。ここでつまずきがあると判断された子は、今のうちに読解指導アプリ等も活用しながら改善させないと、これからずっと苦労します。勉強が分かるようになりません。
2年生には「必ず九九を完璧にマスターしなさい」という話をします。九九は、上がり九九、下がり九九(上から順に、下から順に)だけではなく、どの段でもパッと答えが出るようになっていないと覚えていることになりません。九九ができない子は、算数、そして数学の時間はずっと苦痛の時間になります。お家の方も時々、九九の問題を出してみてください。
3年生には「家庭学習の習慣を身に付けなさい」という話をします。ある小児科医は、3年生の冬までの間が家庭学習の習慣を身に付けるラストチャンスだと言っています。逆に言えば、ここで家庭学習のよい習慣(時間を決めてやる、自分で考えてやる)が身に付けば、だいぶ安心ということになります。お家の方には、学習環境の整備や声掛けをお願いします。
4年生には「たくさん友達と関わりなさい」という話をします。4年生は東小の中で、学級の人数が一番少ない学年で、学級集団としてとてもふさわしい人数だと思っています。今のうちに誰とでも仲良く学習できる、話し合える、そういう力が身に付いていると、高学年での学習が著しく伸びます。お家の方は、子どもたちの話をたくさん聞いてあげてください。聞くだけでいいです。解決は自分たちでできる子たちです。
5年生には「間もなく最上級生になる心構えをもちなさい」という話をします。具体的に言えば、例えば委員会活動、学級の係活動や当番活動や清掃などの仕事に責任をもって取り組むことも大切です。そういう姿が、校風を作るし、友達同士の信頼関係を深めることにもつながります。お家の方には、自立・自律のお手伝いをお願いします。家での手伝いを任せるなどということもいいですね。
6年生には 「時間を大切にしなさい」という話をします。卒業までの登校日は50日足らず。おそらくこれまで感じたことのない時間経過の速さを経験します。授業の時間、友達や先生との時間をどう過ごすか、今まで以上に意識して生活してほしいです。これまでの経験上、6年生のこの時期は、ともすると、馴れ合い、惰性、諦めのような様子が見られる場合があります。「終わりよければすべて良し」ではないけれど、卒業するとき「東小で学べて良かったな」「このクラスが解散するのは寂しいな」と思えるか、それは一人一人の心掛け、言動が大きく影響します。そして、下の学年からも「6年生がいなくなるのは悲しい」と思われながら卒業する6年生でいてほしいです。お家の方には、貴重な日々を元気に生活できるように健康への配慮をお願いします。
お家の方へのお願いばかりが続きました。でもこれはもちろん、学校がしっかり指導すべきことです。今年も教職員一丸となって、児童のよりよい成長を見守ってまいります。
今年も何卒、ご理解とご協力をお願いいたします。
目標に向かって努力する価値
校長 三塚 隆洋(さざなみ第10号)
元日に能登を襲った大地震から早1年。今年も間もなく終わろうとしています。そして9月の豪雨。東日本大震災を経験した我々にとっても他人事とは思えず,被災された方は,どんな思いで今年を過ごしてきたのかと思うと胸が痛みます。自分自身を振り返ると,「今年成し遂げたことって何だろう?」「そもそも今年の初めに立てた目標って何だったっけ?」毎年同じようなことを繰り返しているようにも思います。それでも,何とかこうして生きていることに感謝です。そして,東小学校も大きな事故なく,1年を終えようとしていること,本当によかったなあと思っています。皆様のご理解とご協力にも感謝です。
さて,先日,東豊中・東小の小中連携の取組である「東翔塾」の一環として「東翔塾漢字検定」が行われました。小学生と中学生が同じ問題に挑みます。小学校の対象は6年生です。今回,およそ20人の子どもたちが挑戦しました。読みと書きで100問の100点満点。前もって出題される問題は分かっているものの,全員の平均点が90点を超えています。90点以上をとると1級と認定され,証明書がもらえます。「そんな証明書もらったって,何の意味もないじゃん」「漢字なんて覚えなくても何とかなるよね」そう思う人もいるかもしれません。でも私は,点数の良し悪しではなく,その子たちは,チャレンジ精神の旺盛な子,目標に向かって努力できる子と評価します。実は,6年生対象に案内を出したのですが,その兄弟で4年生の子からも申込みがあったのです。すばらしい意欲ですね。残念ながら,今回は対象学年外ということで参加できませんでしたが(問題を渡して小学校で採点しました)これを期に対象学年を広げようかという話も出ています。
チャレンジすること,目標に向かって努力すること,これは別に1年の初めじゃなければできないことではありません。いつでもいいのです。何か目標を決めて努力する習慣,これが身に付くことって,人生においてとても価値のあることだと思います。とはいえ,新しい目標を立てるのにはいい節目です。楽しいイベントが続く冬休みですが,家族で今年の目標を決めてシェアする(例え3日坊主になったとしても・・・)そんな団らんもいいですね。どうぞ楽しい年末年始を過ごしてください。そして来年もどうかよろしくお願いいたします。