高校生になって初めて触れた”演劇”という芸術。多くの人に支えてもらい、ついには東北大会という大きな会場に参加してその芸術の片鱗を掴んだ。劇というものはいくつかの要素でできているのだと納得した。演技、演出、装置、脚本、その他の小さな要素一つ一つが、丁寧に構築され密に絡み、繊細な一つの芸術品が生まれていく時間だった。16年間の人生で培った心を鷲掴みにされ、揺さぶられ、「何を感じるか」を真正面に問われ続ける。私達観客は激しい怒りや深い悲しみ、踊りたくなるほどの楽しさを一つの劇で味わうこともある。観客としてみた数十分間の劇を通して、「劇は心を鮮やかに彩ることもできる」と実感した。また、役者として演じた時間にも多くの学びもあった。地区や県の大会とはまるで規模が違う東北大会。観客の中には、全国大会の切符を目指し気合いの入った目もあった。そんな緊張感に包まれた会場で、普段人に晒すことのない感情を表現することはとても恐ろしい。しかし、負けじと足を広げ、腕を振り、観客の目を見ながら声を響かせた。観客から逃げず、ありったけの自分を差し出すことで、初めて観客の目に浮かんでいるであろう感情が見えた気がした。自分の劇を通して何を伝えたいのか、改めて考え直した。このような貴重な機会をいただけたことに感謝し、これからも心を彩る劇を目指して精進して参ります。
私 た ち は 、 毎 年 東 北 大 会 出 場 を 目 標 に 活 動 し て き ま し た 。 そ の た め 、 二 十 五 年 ぶ り に 、 夢 だ っ た 大 舞 台 に こ の 仲 間 と 共 に 立 つ こ と が で き た こ と を 非 常 に 嬉 し く 思 っ て い ま す 。 私 達 は 、 約 半 年 間 こ の 脚 本 と 向 き 合 っ て き ま し た 。 ま ず 最 初 に 苦 労 し た 点 は 、 ピ ザ 屋 へ の 場 面 転 換 の た め の パ ネ ル の 制 作 で す 。 パ ネ ル を 劇 中 で 回 転 さ せ る 必 要 が あ り 、 人 形 立 て な ど を 使 わ ず に 自 立 さ せ た い と 考 え て い た た め 、 顧 問 の 先 生 方 と 部 員 で 意 見 を 出 し 合 い 、 試 行 錯 誤 し て 完 成 さ せ ま し た 。 そ し て 、 今 回 は 役 者 の 一 年 生 が 五 人 も い た た め 、 私 は 舞 台 監 督 と し て 、 一 年 生 の 演 技 指 導 に も 力 を 入 れ ま し た 。 一 年 生 一 人 ひ と り が 自 分 の 役 に 責 任 を 持 ち 、 努 力 し て く れ た こ と も 、 東 北 大 会 出 場 の 大 き な 要 因 だ と 感 じ ま し た 。 個 人 的 に 苦 労 し た の は リ ハ ー サ ル で す 。 今 回 は 、 バ ミ リ テ ー プ を か な り 多 く 使 っ て い た た め 、 リ ハ ー サ ル の 六 十 分 間 と い う 短 い 時 間 で 、 効 率 よ く 作 業 が で き る よ う 、 皆 で 大 会 前 に 何 度 も 手 順 の 確 認 を 行 い ま し た 。 こ の 大 会 に 至 る ま で 、 壁 に ぶ つ か る こ と も た く さ ん あ り ま し た が 、 こ の 経 験 は 私 達 を 成 長 さ せ て く れ た 宝 物 に な り ま し た 。 後 輩 た ち に は 、 こ れ か ら も こ の 経 験 を 糧 に 、 演 劇 が で き る 環 境 に 感 謝 し つ つ 、 楽 し む 心 を 忘 れ ず に 、 最 高 の 舞 台 を 作 っ て い っ て ほ し い で す 。
高校演劇の素晴らしさと高校生の可能性というものを大いに感じた3日間でした。
12月20日から22日までの3日間、第57回東北地区高等学校演劇発表会に講評委員として参加しました。外では雪が降り積もる中、秋田県大館市のほくしか鹿鳴ホールには東北六県の様々な高校から多くの生徒が集まっていました。私は講評委員としての参加だけでなく、東北大会への参加も初めてだったのでとても緊張していました。しかし、アイスブレイクの甲斐もあって講評本番では怖気づくことなく自分の考えを共有することができました。
今回、観劇させていただいた13の学校の舞台はどれも素晴らしく、すべての作品に深く考えさせられるテーマを感じました。演者の方々の発声や演技には自分も一人の演者として多くのことを学びました。音響や証明にはたくさんの工夫が凝らされており、各学校の作品に対してのこだわりを感じました。また、舞台装置も一つ一つが考えて配置されており、数々の仕掛けはたくさん勉強になりました。どの学校の作品も非常にレベルが高く、今後の参考にしていきたいと感じました。
作品を見た後に、実際に講評を行ってみて感じたことは、深い講評を行うことはやはり難しいということです。講評を行っている中様々な話題に触れますが、どうしても物語の考察に話がそれてしまい、伝えたいテーマや物語の核心について時間内に話し合えないということがありました。講評の後半では意識して話し合うことで深い講評ができたと感じていますが、はじめから行えなかったのが少し心残りでした。しかし、同じ作品を見て、どのようなところに注目していたのか、どのようなところに感動したのか、何について疑問を持ったのかなどについて他の人の意見を聞くことは普段なかなか行うことがないので、話し合いができたのはとても貴重な経験になったと感じています。
様々な学びと経験を得ることのできた内容の濃い3日間でした。今回の経験を部活内で共有し、今後の活動に活かしていけたら良いなと思っています。