学び合い思考力を高める授業づくり
~互いに認め合い高め合う児童の育成~
これまで本校は、算数科において、算数用語や図や表、式などの算数的な表現を用いて学び合う言語活動を重視した取組や学習スタンダードに基づいた授業改善、主体的・対話的で深い学びに向けた「問い」や「対話のある授業」を実践することにより、児童の学力を向上させ、論理的な思考力や表現力を身に付けられるとともに児童が主体となる授業づくりの研究を進めてきた。
三年間で、各学年で授業スタンダードに基づいた問題解決型の授業を展開し、授業のゴールイメージをもって学習に取り組んできた。昨年度の主な取組としては、「動き」のある授業を創造するために児童が友達の関わりあう場面を設定し、児童が主体的に解決する「問い」を意識した授業研究を進めてきた。
それらの取組を通して、児童が授業の中で自然に動いて友達に教えにいったり自分の考えを述べようとしに行ったりする場面が増え、自分の考えを確認したり、自分の考えと友達の考えの違いに気づいたりできてきた。また、授業者が「問い」を意識することで、児童が問題の内容に興味・関心を持ち、主体的に解決しようとする姿にもつながってきた。しかし、常に「対話的」で「動き」のある授業であったか、すべての児童が興味・関心を持つ「問い」であったかというと、十分に達成できたとまでは言えない。
今年度は、昨年度までの成果と課題を生かし、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業づくりをめざし、学習スタンダードのより一層の充実を目指すとともに、「深い学び」に向けて教科研究、児童主体の学習活動の充実、「動き」のある「対話系」の授業の充実を図ろうと考えた。
研究するにあたって、一つ目に教科の本質である「教材の特性」を理解し、より深い教材研究を進めていく。そこには、児童が主体的に取り組む「数学的な問い」がある。「問い」を指導者が吟味し、授業の流れの中心にすえることで、児童の課題意識も高まり、主体的な授業へとつながっていく。
二つ目には、問題解決の流れの中で、学び合う活動を意図的に設定し、対話系の学習を進め、考えたことを深めていく取組を行う。そのために、発問や教材などを吟味し、学び合う価値がある内容を提示することや、内容に応じた学習形態や学び合うスキルを身に付けさせることで、児童が課題に対して対話的に関われるような授業改善を図る。
三つ目に、上記の取組の評価活動の充実を図り、取組のチェック機能を向上させる。授業の評価規準を精査し、C評価児童をB評価へ、B評価児童をA評価へ向上させる手立てを考える指針とする。児童による授業評価の分析から、授業者自身が自らの実践を振り返ることで、目指す児童像の達成を果たす。
この学び合いのベースとなるものが、いの町が取り組んでいる「菊池学園」の取組である。「ほめ言葉のシャワー」「成長ノート」「価値語の植林」をベースにした温かい学級づくりや人間関係づくりを行い、「学級ディベート」を積み重ねることで主体的な対話力や学び合いの基礎力、コミュニケーション力を培う。
このような実践に取り組むことによって、児童は様々な場面で出合う問題に対して主体的・対話的に問題解決する能力が高まり、自己と他者をかかわらせながらコミュニケーションを構築する21世紀型の能力である「思考力」や「実践力」へとつながるものと考えた。
そこで、研究主題を「学び合い思考力を高める授業づくり~主体的・対話的な算数の学習~」と設定することにした。