葛の成分に皮膚細胞の老化予防効果を発見。雑草利用に期待!

(2021/4/23プレスリリース)

超高齢化社会を迎えるわが国では、高齢者の健康を保持し健康寿命を延伸することは喫緊の課題であり、アンチエイジングのための食品成分について世界的に研究がおこなわれています。一方で現在、雑草の葛は福井県内並びに全国の河川敷や空き地等で大繁茂して社会問題となっており、その駆除方法や資源としての活用方法が検討されています。本学生物資源学部の伊藤崇志教授らの研究グループは、葛に含まれるイソフラボンのプエラリンという成分に皮膚を構成する線維芽細胞に対して老化を抑制する作用があることを発見しました。

 本研究の成果は、葛およびその成分を活用して、皮膚の老化をおさえるような健康食品の開発につながると考えられます。さらには、葛の新芽を春先に地域住民が採って食用とすることなどで、葛の大繁茂を未然に防ぐことが期待されます。今後のヒトを対象とした試験により、アンチエイジング効果の詳細を明らかにする必要があります。この研究成果は、国際的な主要誌「プロス・ワン」に掲載されました。

〇  葛に含まれるイソフラボンの一つ、プエラリンを培養した皮膚由来線維芽細胞に処置すると、細胞の老化が抑制されることを発見した。

〇  このプエラリンによる細胞老化に対する効果には、女性ホルモンの受容体であるエストロゲン受容体βの活性化が関与することがわかった。

〇  本研究の成果により、葛並びにプエラリンを摂取することで皮膚の老化が予防できる可能性が示された。新たな健康食品の開発や未利用資源の利用に貢献できる。


https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0249367