タウリンが液液相分離の制御に関与

近年、タンパク質や核酸が液液相分離(LLPS)により膜のないオルガネラを形成する現象が注目を集めています。特に、神経変性疾患の病因タンパク質がLLPSを起こしたのちにアミロイド化し、さらには細胞死に関与するなど、LLPSの病的な側面が解明されてきています。申請者は、細胞の浸透圧調節物質(オスモライト)として機能し、かつ、高濃度に存在するタウリンが、タンパク質のLLPS現象を抑制することを見出しました。この研究成果は、国際学術雑誌「Amino Acids」に掲載されました。

 

〇卵白リゾチームを用いて試験管内でLLPSによる白濁を起こさせることができたが、タウリンを高濃度に共存させることでLLPSが抑制された。

〇今後、神経細胞などを用いた培養細胞実験によって病因タンパク質のLLPSがタウリンによって抑制されるか、検討を進める。

〇本研究によって、タウリンが神経変性疾患などのLLPSが病態形成に関連する病気に対して有用である可能性が考えられ、今後の研究が期待される。


https://link.springer.com/article/10.1007/s00726-021-02980-2