浅間山から見た富士山
<参考>
研究室の基本的な考え
私たちの研究対象は火山とそれにまつわる諸現象であり諸物質です。研究は,地質学・物質科学を基盤としスタートさせます。研究を進めるにあたっては自らの存立基盤を確立し,対象とする現象・地質・物質を理解するのに必要かつ実現可能なあらゆる方法を用いることに努めてほしいと考えています。
基本となるのは地質学的手法・岩石学的手法です。その上でとくにこの研究室で重視しているのは調査能力と観察力(気づきの力)です。私たちは,キロメートルからサブミクロンまでさまざまな空間スケールの事象を相手にします。観察力は,フィールドでだけでなく顕微鏡による観察など室内での作業においても重要です。これらの力を鍛錬し,研究に十分活用して欲しいと考えています。
一方で,私たちにとって新しい手法,あるいはやや疎遠な手法ついても,自らまたは共同研究により果敢にチャレンジし,活用してほしいと考えています。伝統的だからといって軽んずること,未経験だからといって恐れ避けることはせず,研究に必要な知識と手法は積極的に取り入れていこうというスタンスです。
どのような手法と道筋を取り入れれば自らが知りたいことを知ることができるかを常に考え,研究室メンバーと議論することも重要だと考えています。
セミナーの開催
PVLセミナー
火山の地質と物質について深掘りするセミナーです。新たな調査結果や取得データに対する考察,調査や分析の過程で生じた問題に関する議論,新着論文の批評,学会発表練習などを行います。メンバーによる忌憚ない質問やコメントは,自身の研究をより深いところまで見つめる機会になり,また,新たな展開を生むきっかけになることもあります。基本,週1回開催。
火山物理セミナー
専門性を高めることは重要ですが,視野を広げることも大切です。このセミナーでは,地質や岩石だけでなく,地球物理・化学観測(地震・測地・電磁気,熱,火山ガスなど),理論,実験的手法など,火山現象の理解に対してさまざまなアプローチ手法を用いるメンバーが会します。教科書の輪読や論文講読,研究紹介,学会発表練習などを通して,各々の研究の意義や位置づけが明確になったり,新たな視点に気付かされることがあります。基本,週1回開催,他の研究室との共催。
大学院生の研究テーマ
学生の関心と進行中のプロジェクトなどを考慮し,研究テーマを決めていきます。フィールドに出て自分の目で観察し,データを取得し,考えることを重視しています。しかし,フィールドでの活動が必須というわけではありません。研究室では国内外さまざまな火山の噴出物試料・データを所有しているので,それらを活用した室内での観察・分析・解析,手法開発などに重点を置いた研究も可能です。いずれにしても研究対象は火山とそれにまつわる諸現象・諸物質であり,それらに対する新しい理解を得るためにフィールドや室内での作業を通して研究を進め,論文にまとめてもらうことになります。
# 過去の修士論文
Haruta, Y., Reconstruction of pre-caldera-forming phases during the 7.3 ka eruption at the Kikai Caldera based on geological analyses and plume modeling.
Zushida, K. Magma storage conditions and ascent processes of two Plinian eruptions with contrasting eruptive sequences at Asama volcano in 16 ka.
正畑沙耶香, 霧島火山群御鉢火山1235年噴火の堆積物物性の定量化による玄武岩質爆発的噴火の解明.
水野 樹, 噴出物の組織と粒子物性から推定されるプリニー式噴火の推移変化の要因―浅間火山天明噴火の例―.
池永有弥, 伊豆大島安永噴火の推移とマグマシステム.
# 過去の博士論文
Mizuno, T., Magma ascent processes in explosive volcanic eruptions revealed from bubble microtexture analyses of pyroclasts.
(火砕物の気泡解析に基づく爆発的噴火のマグマ上昇過程に関する研究)
Ikenaga, Y., Sequences and mechanisms of explosive eruptions caused by basaltic magma in Izu-Oshima.
(玄武岩質マグマによる伊豆大島の爆発的噴火の推移とメカニズム)