バヌアツ・Gaua島山頂のLetas湖とGaret山
バヌアツ・Gaua島山頂のLetas湖とGaret山
プロジェクト
科学研究費助成事業
国際共同研究加速基金B (2020-2024)
噴出物の複合的解析にもとづく水蒸気爆発を駆動する火山システムの解明
水蒸気噴火を発生する火山のマグマ供給系―浅部熱水系の特徴を明らかにするために,La Soufriere火山の噴出物の研究を行いました。とくに1976年水蒸気噴火について,当時の観察記録に残る現象に対応する一連の堆積物を初めて網羅的に調べ,この噴火による降下テフラ,ブラスト堆積物,avalanche堆積物などを見出しました。堆積物には浅部熱水系に由来すると考えられる複数種の変質溶岩片が含まれており,熱水系の温度・深度等の情報に関する手がかりを得ることができました。また,この噴火と2014年御嶽山噴火との間に多くの共通性があることも明らかになりました。
仏・グアドループ島(カリブ海)La Soufriere火山の山頂溶岩ドーム上に形成された火口群と噴気域
基盤研究B (2025-2029)
火山砕屑物の粒子物性・組織統合解析にもとづく噴火様式の分岐要因の解明
火山噴火では噴火様式が短時間のうちに変化し,時として周囲に甚大な影響を及ぼすことがあります。そのため,噴火様式の急変(分岐)を生み出す要因の解明は,学術・防災の両面で重要です。この研究では,噴火事象の急激な変化に対応する火砕物について,粒子形状・空隙率等の物性や岩石組織・化学組成を明らかにし,マグマ上昇時の揮発性成分収支や減圧速度などのパラメータとその変化を推定します。粒子物性と組織・組成から得られる情報を合わせて解析することで,噴火様式の分岐要因について考察します。
特徴的な空隙構造を持つ,爆発的噴火による火山灰粒子(SEM像)
JICA/JST SATREPS 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム
南太平洋島嶼国における広域火山災害リスク軽減プロジェクト(詳細はこちら)
南太平洋の島嶼国(バヌアツ・フィジー・トンガ)と共に,海域噴火による広域災害の軽減に資する知財,対策を生み出し,日本列島を含む世界の海域火山へ応用することを目的としています。自然災害の脅威が世界で最も高いとされる本地域において,固体地球と大気海洋を包括する火山現象の研究を進めることにより,地震や気候変動も含めた高頻度の災害への対応能力が高まることも期待されます。 このプロジェクトの Group 1「噴火シナリオ・ハザード評価」で活動中です。
カンダブ島(フィジー)Nabukelevu火山,れっきとした活火山
その他資金によるプロジェクト
島弧離島火山モニタリングプロジェクト
島弧の離島火山はプレート境界における火山活動やそれに起因する災害現象の解明のための重要な研究の場と言えます。離島での噴火は時として住民に長期の避難を強いることもあります。近年の西之島や福徳岡ノ場の噴火では人的被害はありませんでしたが,周辺を航行する船舶に脅威が生じました。三宅島や伊豆大島では次の噴火が迫っている状態にあります。浅海噴火では,火山性津波の他,マグマと海水との相互作用による爆発や漂流軽石など海域固有かつ多様な表面現象が発生します。このような海域火山の調査・観測を進め,火山の監視体制を整備・維持することの重要性は近年急速に高まっています。このプロジェクトでは,浅海噴火による影響の理解の深化,課題の洗い出しと解決,基礎的な知識や情報の拡充,島嶼の厳しい環境を克服する防災対策に資する研究を進めています。
西之島は2020年に大噴火を起こしたが,その後活動は低下している