Physical Volcanology Laboratory
火山噴出物は,地下深部でのマグマの生成,移動,滞留,上昇,そして地表へ噴出してから堆積物として残されるまでの様々なプロセスを記録しています。過去の火山噴火や現在進行中の噴火現象を読み解く上で重要なヒントを与えてくれるとともに,将来の噴火について考える上での手掛かりにもなります。
私たちの研究室では,火山の噴出物から得られる地質・物質科学的情報(様々なスケールの構造や組織,形態,化学組成などの情報)をもとに,噴火に伴う諸現象(噴煙・火砕流・溶岩流など)や堆積物の形成プロセス,噴火様式や推移の多様性,過去の噴火履歴や災害などを明らかにし,火山と噴火現象の理解を深めようとしています。 陸域に限らず,海域火山(火山島や海底火山)の噴火も対象としています。
近年の火山噴火(霧島山,西之島,福徳岡ノ場,ケルート火山・インドネシアなど)の際には,噴出物の情報と表面現象の観察を組み合わせ,噴火の様式や推移を再構築し,噴火を特徴付ける物理パラメータ(マグマの噴出量や噴出率など)を解明してきました。
火山岩を構成する斑晶や石基など微小領域の化学組成・組織は,マグマの蓄積場や上昇時の条件(温度,圧力,含水量など)とその変化の情報を記録しています。それらの記録を詳細に解読することで,噴火に至るまでのマグマの挙動の復元を目指しています。
現代社会が経験したことのないような超巨大噴火も研究しています。7300年前に南九州で起きた鬼界アカホヤ噴火は,縄文文化に甚大な影響を及ぼしたと考えられていますが,前駆現象の実態など未解決の問題が残されており,堆積物の解析が鍵となります。
地質記録のみが残る古い時代(数万年程度まで)の火山噴火も対象とし,噴火プロセスやマグマ供給系を復元することで,長期活動の特徴を明らかにしようとしています。歴史時代の噴火については,古文書等の記録も噴火の様式や推移を知る上で重要な制約になることがあります。
News and topics
👍 2025年9月 水野さんが博士学位取得,10月より東北大学大学院理学研究科地学専攻助教に着任
🔨 2025年9月 PVLセミナーによる浅間山現地討論会を実施
🌋 2025年7-8月 霧島火山群新燃岳噴火への対応
📊 2025年7月 国際会議 IAVCEI 2025 (Geneva) で3名(前野・安田・春田)が研究成果を発表
⛰️ 2025年7月 日本地球惑星科学連合2025年大会で春田さんが学生優秀発表賞を受賞
最近の研究成果