文学研究科
心理学専攻
心理学専攻
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文学研究科 心理学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(心理学)(東京大学)
【専門分野】
認知心理学
【研究キーワード】
注意,オブジェクト認知,社会的認知,消費者行動
【研究内容】
人間の認知行動における顕在的・潜在的プロセスについて,実社会への還元を視野に入れた実験心理学的研究を行っています。主なテーマは以下の3つです。
(1) 注意,オブジェクト認知:時間的・空間的な広がりを持つ環境の中で,人間の目や耳などの感覚器には絶えず膨大な情報が入力されています。しかし,脳の処理能力には限りがあるため,人間は入力されるすべての情報を(意識的に)認識することができません。したがって,脳は行動に必要な情報を効率的に選択し,不必要な情報を排除しなければなりません。日常生活の多くの場面では,この選択・排除が自動的に行われてオブジェクト認知(意識)が成立します。本研究室では,視覚意識の基盤となる,脳における情報の取捨選択過程およびその結果生まれる心的表象について調べています。
(2) 社会的認知:人間の心は環境に対する適応機能としてとらえることができます。そうであれば,個人の認知行動スタイルは,文化や社会規範に応じて柔軟に変容するはずです。本研究室では,他者の表情・視線の認知,顔の魅力評価など,社会的認知場面における心の働きおよびその柔軟性に注目し,人間の社会性を支える心の基本的メカニズムを多角的に調べています。
(3) 消費者行動:消費者の選好や意思決定は人間の認知プロセスそのものです。なんとなく決まっているように感じる人間の「好き」の背景には,様々な知覚的・認知的要因が潜んでいます。本研究室では,消費者の商品選択や魅力評価,購買意思決定などに注目し,現実場面で消費者の行動を規定する様々な要因について,心理学およびマーケティングの視点から検討を行っています。
その他,研究活動ではありませんが,消費者トラブルを心理学および行動経済学の視点から読み解き,その背景にあると考えられる心理プロセスについて講演を行っています。一般市民を対象とした消費者教育も行っています。
【主な論文・著書】
●"Romantic bias in judging the attractiveness of faces from the back," Journal of Nonverbal Behavior, Vol.45 (2021).
●"The sound-free SMARC effect: The spatial–musical association of response codes using only sound imagery," Psychonomic Bulletin & Review, Vol.27 (2020).
●"Spatial-musical association of response codes without sound," Quarterly Journal of Experimental Psychology, Vol.72 (2019).
●"Reading habits contribute to the effects of display direction on product choice," PLOS ONE, Vol.13 (2018).
【メッセージ】
認知心理学は守備範囲の広い学問であり,多くの分野との接点を持ちます。それは裏を返せば,認知心理学はそれらの分野を結びつけるピースにもなり得るということです。その意味で「多くの可能性を秘めている」という基礎研究ならではの面白さを知ってほしいと思います。
【担当科目】
心理学基礎理論、認知心理学演習Ⅰ、認知心理学演習Ⅱ、認知心理学特講Ⅰ、認知心理学特講Ⅱ、認知心理学特殊研究Ⅰ、認知心理学特殊研究Ⅱ
【問い合わせ先】
aariga413●g.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
個人Webサイト
文学研究科 心理学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(行動科学)(筑波大学)
【専門分野】
発達生物心理学・理論発達心理学・臨床発達心理学
【研究キーワード】
発達・性差・神経系・内分泌系・免疫系・精神神経疾患
【研究内容】
行動異常には特定の発達段階において男性または女性のどちらか一方に多く顕在化するものがあります。例えば、一部の精神神経疾患では罹患率に性差が報告されており、神経性無食欲症は思春期以降に9:1の割合で女性に多く発症します。一方、自閉症スペクトラム障害は4:1の割合で男児に多く認められ、その症状は発達の早期に現れます。また、精神神経疾患ではありませんが、様々な行動課題においても性差は認められ、これらは思春期以前に性差が認められるものもあれば、思春期以降に性差が顕在化するものもあります。当研究室では、このような発達の過程に認められる行動異常や正常な行動の性差について研究を行っています。
これらの性差が生じるメカニズムとして、多くの先行研究は、1)遺伝的性が引き起こす脳の性分化、2)発達に伴う性腺ステロイドホルモン環境の変化、3)発達過程に影響を与える養育環境や生活環境を原因に挙げています。このように、発達の過程に認められる行動異常や正常な行動の性差を引き起こす原因は、生物学的な要因から社会的な要因まで多岐にわたります。そのため、これらの性差の原因解明にあたっては多角的かつ系統的視点からのアプローチが必要となり、介入方法も同様に多角的かつ系統的特性を備えたものでなければいけません。当研究室では、特定の発達段階において男性または女性のどちらか一方に多く顕在化する行動異常、または正常な行動の性差の研究に際して、精神科医であるEngelが提唱した生物・心理・社会モデルを採用しています。つまり、行動異常、または正常な行動の性差が生じる原因を、生物学的な要因のみに求めるのではなく、心理的要因、社会的要因も含めて総合的に検討を行っています。この生物・心理・社会モデルに基づく研究を通じて、行動異常への介入方法の開発や、正常な行動の性差是正につながる基礎的知見を提供したいと考えています。
このような性差を中心とした研究テーマの他に、当研究室では心理学の学際研究の可能性を広げるべく、様々な分野の研究者と共同研究を推進しています。現在までに、基礎医学(主に生理学、解剖学、生化学等)、臨床医学(小児科学、麻酔科学、精神医学等)、哲学、政策科学、情報工学、美術等、多様な分野との共同研究を実現しています。
【主な論文・著書】
● “Understanding Sensory-Motor Disorders in Autism Spectrum Disorders by Extending Hebbian Theory: Formation of a Rigid-Autonomous Phase Sequence,” Perspectives on Psychological Science, Vol.,No. (Nov.2023).
● “Assessments of prolonged effects of desflurane and sevoflurane on motor learning deficits in aged AppNL-G-F/NL-G-F mice,” Molecular brain, Vol.15,No.1 (May. 2022).
● “Altered behavior in mice overexpressing soluble ST2,” Molecular brain, Vol.13,No.1 (May. 2020).
● “Neonatal isolation augments social dominance by altering actin dynamics in the medial prefrontal cortex,” Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, Vol.113,No.45 (Oct. 2016).
● “Comprehensive behavioral study and proteomic analyses of CRMP2-deficient mice,” Genes to cells: devoted to molecular & cellular mechanisms, Vol.21,No.10 (Oct. 2016).
【メッセージ】
心理学の研究を適切に進めるには理性(科学的思考)と感性のバランスが大切です。ぜひ大学院での学びを通じて、これらの能力を培ってください。
【担当科目】
心理学基礎理論、心理支援に関する理論と実践、心理実践実習①、心理実践実習②、生涯発達心理学演習Ⅰ、生涯発達心理学演習Ⅱ、生涯発達心理学特講Ⅰ、生涯発達心理学特講Ⅱ、生涯発達心理学特殊研究Ⅰ、生涯発達心理学特殊研究Ⅱ
【問い合わせ先】
こちらのフォームよりお問い合わせください。
【リンク】
研究者情報データベース
文学研究科 心理学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(人間科学)(早稲田大学)
【専門分野】
臨床心理学、トラウマ心理学
【研究キーワード】
グリーフ、トラウマ、マインドフルネス、コンパッション
【研究内容】
こころの「ケガ」はからだのケガ以上にダメージがあるとよくいわれます。なぜでしょうか?そういうケガを負った人はどうすれば自分の人生をしなやかに生きることができるのでしょうか?
私は人間のこころの「ケガ」についてとても興味があり、これまでにさまざまな研究や臨床を行ってきました。最近は、こころのケガから回復して、自分をケアしつつ、しなやかに生きていくためにはどうすればいいのかについて、マインドフルネスやコンパッションを中心とするアプローチを学んでいます。さらに、さまざまなメンタルヘルスの問題に興味をもっています。
公認心理師、臨床心理士を目指す大学院生の方々と一緒に、研究を楽しく、科学的視点と臨床的視点から多彩に取り上げていきたいと思っています。これまでの大学院生のテーマは多岐にわたり、さまざまな研究活動をしてきました。個人的に興味のあるテーマは下記の通りです。
1)トラウマ、グリーフに関わるさまざまな臨床課題、健康課題の解明
2)マインドフルネス、セルフ・コンパッションの健康におよぼす影響に関わる実証的研究、ならびに臨床とセルフ・ケアへの応用の展開
3)特に思春期から青年期の学校臨床に関わるさまざまな臨床課題の解明
4)アディクションに関わるさまざまな課題の検討と解明
修士・博士の論文指導を希望される方、学振PD等の受入に関するお問い合わせ、研修講師(例:セルフ・コンパッション)のご依頼、メディア取材は随時受け付けております。はじめに富田のresearchmap(https://researchmap.jp/tomitatakuro)の基本情報を必ずお読み頂いた上で、お問い合わせください。
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専門:学校臨床心理学、臨床心理学、トラウマ心理学、グリーフ研究、マインドフルネス、セルフ・コンパッション
資格:臨床心理士、公認心理師、Mindful Self-Compassion®️(MSC)講師(Trained Teacher)、TFT診断レベルセラピスト、他
テレビ出演:「いじめをノックアウト」(NHK Eテレ)など
大学院修了生の進路実績:松蔭大学講師、国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター研究補助員、東京都健康長寿医療研究センター研究所非常勤研究員 等
マインドフルネスとコンパッションの教育研修・講師歴:researchmap (https://researchmap.jp/tomitatakuro)を参照のこと
【主な論文・著書】
●「セルフ・コンパッションは心理療法家に役立つのか?『精神療法』、50(2)、2024年。
●『マインドフル・セルフ・コンパッション プラクティスガイド』(監訳)、星和書店、2022年。
●『マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック』(監訳)、星和書店、2019年。
●「マインドフル・セルフ・コンパッション(MSC)とは何か:展望と課題」『心理学評論』、64(3)、2021年。
●「流産・死産を経験した人のグリーフとグリーフケア -システマティックレビューとメタ解析の概括的展望-」『精神科治療学』、 2020年。
(他は研究者情報データベース、researchmap (https://researchmap.jp/tomitatakuro)を参照のこと)
【メッセージ】
意欲があり、向学心に満ちた方、ご興味のある方は是非ご連絡ください!
【担当科目】
学校カウンセリング演習(教育分野に関する理論と支援の展開)、学校臨床心理学特殊研究Ⅰ、学校臨床心理学特殊研究Ⅱ、心理学基礎理論、臨床心理査定演習Ⅱ、臨床心理実習A(心理実践実習③)、臨床心理実習B
【問い合わせ先】
tomitat●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
文学研究科 心理学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(人間科学)(早稲田大学)、博士(医学)(埼玉医科大学)
【専門分野】
臨床心理学,健康心理学,コミュニティ心理学,行動医学
【研究キーワード】
行動変容,ストレス・マネジメント,心の健康教育,援助要請,予防行動
【研究内容】
1.「ストレスはなぜ続くのか、どのようにつきあっていくのか」「自分で自分の心身健康をどうやって保とうとしているのか」に関する心理学・行動科学に基本的な関心を持っています。
心の健康を維持する心理的メカニズムについては、ストレス・マネジメント、心の健康教育、メンタルヘルスに関する援助要請行動(メンタルヘルス不調に気付き、専門家に相談する行動)などのテーマで研究と実践活動を行なっています。
身体の健康を維持する心理的メカニズムについては、慢性疾患のセルフケアにおける行動変容というテーマで研究と臨床活動を行なっています。行動科学理論・行動変容技術を用いた行動変容は、クライエントの個別支援から社会改善まで広く応用できるアプローチだと考えています。以下の記事もご参照ください。https://psych.or.jp/publication/world106/pw03/
臨床活動では公認心理師・臨床心理士として、主に認知行動療法を用いたカウンセリングに携わっています。
2.「心理的支援で行なわれていることの可視化」にも取り組んでいます。「専門家としての心理職の技術を言語化し系統立てること」「心理療法や医療面接で、言語的・非言語的に生じている現象の測定」「共感・納得という主観的な感覚を客観指標で説明する試み」について、領域横断的なチームで取り組んでいます。
【主な論文・著書】
●「Resistance exercise for hemodialysis patiens on depression and cognitive function: A 12-month follow-up」,『Health Psychology and Behavioral Medicine』 第9巻, 2021年8月
●「Stress underestimation and mental health literacy of depression in Japanese workers: A cross-sectional study」,『Psychiatry Research』 第262巻, 2018年4月
●『その心理臨床、大丈夫?心理臨床実践のポイント』(共編著:遠藤裕乃・佐田久真貴・中村菜々子)日本評論社, 2018年9月
【メッセージ】
現実社会から研究テーマを発見し、科学的方法論で論文を作成する経験を通じて、科学的な問題解決スキルを身につけましょう。
【担当科目】
心の健康教育に関する理論と実践、心理学基礎理論、臨床・健康心理学特殊研究Ⅰ、臨床・健康心理学特殊研究Ⅱ、臨床心理学特論Ⅱ、臨床心理基礎実習Ⅰ、臨床心理実習A(心理実践実習③)、臨床心理実習B、臨床心理面接特論Ⅱ
【問い合わせ先】
nanako●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
文学研究科 心理学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(教育学)(中央大学)
【専門分野】
臨床神経心理学
【研究キーワード】
高次脳機能障害、認知症、発達障害、脳機能亢進
【研究内容】
私が専門としている臨床神経心理学は、脳と心の関係を明らかにし、それを患者さんや家族に活かし、さらには多くの人に知ってもらうことで、お互いが生活しやすい環境を作ることを目指しています。病気やケガで脳が障害されると、体が動かなくなったり、うまく話せなくなったりしますが、周囲が気づかない形で(本人も気づいていないこともあります)、記憶や思考、あるいは感情や意欲の問題が生じることがあります。しかし、動きや会話がスムーズでないことは周囲に理解されやすいですが、記憶や思考の問題は周囲には伝わりにくく、怒りっぽくなったり、やる気を出さなかったりしても、本人の努力や人格の問題と思われてしまう事があります。近年では「高次脳機能障害」として知られるようになってきましたが、それでも十分には理解されていません。
心理学は大きく分けて、基礎心理学と臨床心理学の分野に分けられることがあります。基礎心理学は実験や調査を通じて人の心の法則性を明らかにしようとする立場であり、一方の臨床心理学は心に困難がある方の支援を行う立場になります。基礎心理学を背景とする人々は、大学や企業、あるいは研究所などに所属するため、出会うことは少ないかもしれません。一方で、臨床心理学を背景とする人々は、病院やクリニックの心理士、あるいは中学や高校のスクールカウンセラーも含まれるため、人々に接する機会も多く、一般の人々が持つ心理学のイメージに近いかもしれません。しかし、基礎的な心理学で得られた知見は、多くの人々に役立てられていますし、私たちが使う製品にも活かされていたりします。中央大学の文学部や大学院にも両方の立場の教員が揃っており、それぞれの立場から研究・教育をしていますが、私が専門とする臨床神経心理学は両者の接点にあたる領域になります。たとえば次のような例から、その役割を見ることが出来ます。
私たちには左右対称の二つの大脳半球がありますが、その間は脳梁と呼ばれる太い神経の束で繋がれています。この脳梁が病気やケガで傷つくと、本人には気づきにくい形で認識の問題が生じることがあります。そのような問題を明らかにするためには、実験心理学的な手法が役に立つことがあります。
一方で、脳に障害がある方々の中には、今までとは異なった人生を歩むこととなり、その事が本人や家族、あるいは関わりがある人々を苦しめることにもなります。そのような本人や家族を支えたり、周囲の方々との調整を図ることが臨床神経心理学のもう一つの大事な役目となります。
臨床神経心理学は、基礎と臨床の両方を学んだ上で、臨床の現場や研究においても活躍することができる領域です。なお、神経心理学の代表的な学会である日本神経心理学会や日本高次脳機能障害学会では「臨床神経心理士」という資格を創設し、その多くが現場で活躍されています。このように臨床神経心理学は今後も活躍が期待される領域です。
【主な論文・著書】
● Ochi, R., Saito, S., Hiromitsu, K., Shigemune, Y., Shinoura, N., Yamada, R., & Midorikawa, A. (2022). Sensory hypo-and hypersensitivity in patients with brain tumors. Brain Injury, 36(8), 1053-1058. https://doi.org/10.1080/02699052.2022.2110943
● 越智隆太, 浜本加奈子, & 緑川晶. (2022). 在宅介護者の心理的負担感と心理的支援ニーズ─ 高次脳機能障害と認知症との比較─. 高次脳機能研究 (旧 失語症研究), 42(3), 374-381. https://doi.org/10.2496/hbfr.42.374
● Hiromitsu, K., Shinoura, N., Yamada, R., & Midorikawa, A. (2020). Dissociation of the subjective and objective bodies: Out‐of‐body experiences following the development of a posterior cingulate lesion. Journal of neuropsychology, 14(1), 183-192. https://doi.org/10.1111/jnp.12199
● 語られないことの理解 ─ 認知症の残存機能. 学術の動向, 24(5), 44-51. (2019). https://doi.org/10.5363/tits.24.5_44
●Midorikawa, A., Leyton, C. E., Foxe, D., Landin-Romero, R., Hodges, J. R., & Piguet, O. (2016). All is not lost: Positive behaviors in Alzheimer’s disease and behavioral-variant frontotemporal dementia with disease severity. Journal of Alzheimer's disease, 54(2), 549-558. https://doi.org/10.3233/JAD-160440
【担当科目】
心理実践実習①、神経心理学特殊研究Ⅰ、神経心理学特殊研究Ⅱ、臨床心理実習A(心理実践実習③)、臨床心理実習B、臨床神経心理学演習Ⅰ、臨床神経心理学演習Ⅱ、臨床神経心理学特講Ⅰ、臨床神経心理学特講Ⅱ
【問い合わせ先】
green●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース
文学研究科 心理学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:博士(人文科学)(お茶の水女子大学)
【専門分野】
実験心理学
【研究キーワード】
知覚・認知・顔認知・発達
【研究内容】
赤ちゃんは大人とは全く異なる世界に生きています。その世界を、実験的に解明することが研究テーマです。たとえば当たり前のように世界が安定して見える「恒常性」を持たないこと、赤ちゃんは老人と同じように視野の周辺部分を見る抑制が低いこと。その一方でこれまで言葉を獲得することによって分けられていた色世界である赤青緑といった「色カテゴリ」が、言語獲得以前に獲得されることも脳活動から示すことができました。これらの研究は海外のトップジャーナルに掲載され、海外のニュースサイトでも多く報道されてきた成果です。
視覚を司る脳が発達していく1歳以下の赤ちゃんは、大人とは全く異なる世界を見ているのです。そこから私達大人の世界の見方を知ることができます。また、これまで科学的知見に基づくことなく、主にお母さんの好みで作られてきた赤ちゃん向けの玩具、1歳以下と2~3歳では劇的な見方の違いがあるにもかかわらず同じ年齢区分で売られていた赤ちゃん向け絵本、そんな商品のあり方を提言する活動につながっています。また、発達障害の子ども達の見方、日本で多く産まれる早産児の発達について、小児医療の先生方と一緒に研究をすすめています。
一方で、顔を見ることや身体性について、その文化差や個人のあり方について、心理学・哲学・文化人類学の観点から探る「トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築―多文化をつなぐ顔と身体表現」(略称「顔・身体学」)領域という研究チームのリーダーもしています。HPで最新の成果を訪ねていただければ幸いです。
研究室のホームページ: https://ymasa.r.chuo-u.ac.jp/index.php
「顔・身体学」のホームページ: http://kao-shintai.jp/http:/kao-shintai.jp/
【主な論文・著書】
●Tsurumi, S., Kanazawa, S., & Yamaguchi, M. K. (2024). Infants’ visual perception without feature-binding. Proceedings of the Royal Society B, 290(2012), 20232134.
● Nakashima, Y., Kanazawa, S., & Yamaguchi, M. K. (2024). Metacontrast masking is ineffective in the first 6 months of life. Cognition, 242, 105666.
● Yang, J., Ganea, N., Kanazawa, S., Yamaguchi, M. K., Bhattacharya, J., & Bremner, A. J. (2023). Cortical signatures of visual body representation develop in human infancy. Scientific Reports , 13, 14696.
● Nakashima, Y., Kanazawa, S., & Yamaguchi, M. K. (2021). Perception of invisible masked objects in early infancy. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 118, e2103040118.
● Tsurumi, S., Kanazawa, S., Yamaguchi, M. K., & Kawahara, J. (2021). Attentional blink in preverbal infants. Cognition, 214, 104749.
● Nakashima, Y., Yamaguchi, M. K., & Kanazawa, S. (2019). Development of center-surround suppression in infant motion processing. Current Biology, 29, 3059-3064.
● Geangu, E., Ichikawa, H., Lao, J., Kanazawa, S., Yamaguchi, M. K., & Caldara R., Turati, C. (2016). Culture shapes 7-month-olds' perceptual strategies in discriminating facial expressions of emotion Current Biology, 26 (14). R663-R664.
● Yang, J., Kanazawa, S., Yamaguchi, M.K., & Kuriki, I. (2016). Cortical response to categorical color perception in infants investigated by near-infrared spectroscopy. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 113(9), 2370-2375.
● Yang, J., Kanazawa, S., Yamaguchi, M.K., & Motoyoshi, I. (2015). Pre-constancy vision in infants, Current Biology. 25(24), 3209-3212.
● 顔身体学ハンドブック(2021)河野哲也・山口真美・金沢創・渡邊克巳・田中章浩・床呂郁哉・高橋康介編、東京大学出版会
● 「こころと身体の心理学」岩波ジュニア新書、(2020)
● 「自分の顔が好きですか?――「顔」の心理学」岩波ジュニア新書、(2016)
● 「発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ」講談社ブルーバックス、(2016)
【担当科目】
文化・認知心理学演習Ⅰ、文化・認知心理学演習Ⅱ、文化・認知心理学特講Ⅰ、文化・認知心理学特講Ⅱ、文化・認知心理学特殊研究Ⅰ、文化・認知心理学特殊研究Ⅱ
【問い合わせ先】
J_yamalab●tamacc.chuo-u.ac.jp
文学研究科 心理学専攻 教授
最終学歴・学位・取得大学:新潟大学医学部卒業、医学博士(順天堂大学)
【専門分野】
精神医学、臨床心理学
【研究キーワード】
津波被災者の心理、ひきこもり、発達障害特性 大学生
【研究内容】
東日本大震災の津波被災者の心理を、2011年3月から継続して調査しています。私はボランティアの精神科医として現地に赴き、地元の自治体関係者と連携して被災者の支援に携わりながら、一部の被災者の面談を今日まで継続しています。支援としては時間をかけてじっくりとお話を聴き、継続して通いつづけることが何より大事なのですが、研究としては語りの分析をする学問的な視点が必要です。これまで、震災を機に精神科病院に入院になった人の診断に関する調査、現地で活動した保健師の「心的外傷後成長」に関する調査、気質・性格論に立脚した被災者の心理過程についての研究論文をまとめました。このような、支援と研究が一体になった活動は今後も長く継続するつもりでいます。
ひきこもりの支援と研究活動も、同じ地域で継続しています。津波被災者への支援を行っていて分かったのですが、震災以前から現地の精神保健関係者が一番困難に感じていたのが、ひきこもりの人に対する支援でした。それは震災後も変わりありませんでした。そのため、被災者の支援の傍ら、現地の関係者と一緒にひきこもりの人がいる家庭を訪問する活動を続けながら、得られた知見を少しずつ学会などで発表している段階です。
もう1つの研究の柱が、発達障害のある大学生への支援です。これも、被災地でのひきこもり支援活動が原点となっています。ひきこもっている人の中には、大学を中退して地元に戻り、そのまま長期のひきこもり生活に移行している人が少なからずいました。生きにくさ(それは発達障害特性ばかりとは限りませんが)を抱えている大学生を、どのように支援すれば、社会の中で人との繋がり(すなわち居場所)を獲得できるようになるのか、当事者と手探りで関わりながら、見いだそうとしています。当然ながら、この研究は私1人で出来ることではありません。大学全体の中で少しずつ支援システムを整え、志を共にする人を増やし、ゆっくりと前に進んでいるところです。
このように、私の研究は、精神科医・臨床心理士として、目の前にある事象を出発点として、実際に当事者に関与し支援を行いながら、有効な支援策とその背後にある理論を見いだしていくという、支援と調査が一体となった方法を一貫して採用しています。それが、臨床研究の基本であると同時に、社会貢献に繋がる研究でもあると考えています。
【主な論文・著書】
● 山科満編著:「キャンパスにおける発達障害学生支援の新たな展開」中央大学出版会,2022.
● 山科満:「東日本大震災被災者の心的状況と回復過程:気質の異なる2例の対比を通して」『臨床精神病理』40 (2), pp. 137-147, 2019.
● 酒井美緒・山科満:「東日本大震災における保健師の心理的過程」『保健師ジャーナル』73 (2), pp. 156 - 161, 2017.
● 山科満・長岡重之・大塚耕太郎:「過疎地域におけるひきこもり者に対するアウトリーチ活動―転帰に影響する精神医学的要因について―」日本精神神経学会第113回学術総会,2020.
【担当科目】
心理学基礎理論、精神医学特殊研究Ⅰ、精神医学特殊研究Ⅱ、臨床心理学特論Ⅰ、臨床心理基礎実習Ⅱ、臨床心理実習A(心理実践実習③)、臨床心理実習B、臨床心理地域援助特講、臨床心理面接特論Ⅰ(心理支援に関する理論と実践)
【問い合わせ先】
m-yama●tamacc.chuo-u.ac.jp
【リンク】
研究者情報データベース